仁こそ尊し――孟子の訓(おし)えを信じる儒者の小瀬甫庵(おぜほあん)は、戦国の変転に巻き込まれて主君、親友を失いながら生き抜き、やがて信長、秀吉の評伝である「信長記」「太閤記」を書き進める。仁は人の世の礎(いしずえ)であるとの思いを込めて甫庵が著わしたそれらの物語はついに――。実在した儒者の生涯を感動的に描く、オリジナリティあふれる歴史時代小説。
目次:
一章 孟子訓戒
二章 諫議大夫
三章 仁者秀吉
四章 関白秀次
五章 小瀬甫庵
六章 善善悪悪
終 仁者無敵
◯著者略歴
志野靖史(しの・やすし)。1971年、石川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。在学時に漫画家デビュー、代表作に『内閣総理大臣織田信長』(全8巻)、『本土決算』など。2015年に『信長の肖像』で朝日時代小説大賞を受賞し作家デビュー(受賞時「信長の肖像」を改題)。本作は受賞後第一作となる。