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アフリカから 力自慢
ハポ ザマニザカレ(むかしむかし、あるところに)、力自慢の男がおりました。
あるとき、女の子が瓶を頭から落とした拍子に、中に入っていた牛の乳が地面にこぼれてしまいました。
「どうしよう。ママにぶたれる。どうしよう」
女の子はおろおろ、そのうちめそめそ泣きだしました。
その様子を見ていた力自慢の男は、えっへんおっほんと咳払いしながら、牛の乳がこぼれた場所に行くと、下に這いつくばり、両手を広げて地面をつかむと、思いっきり地面を引きよせました。
すると、驚いたことに、地面はまるでカンガ布のように男の両手に寄せられて、真ん中にくぼみができました。そのくぼみには、さっき女の子が地面にこぼした牛の乳がたまっていたので、女の子は大喜びでその乳をすくって瓶に入れなおしました。
女の子はすっかり感心して、力自慢の男に言いました。
「おじちゃん、どうもありがとう。これでママにぶたれずにすみます。それにしてもすごい力ね。私も、大きくなったら、おじちゃんみたいに力持ちの人のお嫁さんになりたいわ」
その様子を見ていた村人達も、「あんたは国一番の力持ちだ」とかなんとか、口々に男を誉めたので、力自慢の男は、ますますいい気になって、地面をさらにぎゅうっと引き寄せ、こぼれた牛の乳の最後の一滴まで女の子にすくわせました。
女の子や、村人が行ってしまうと、力自慢の男は疲れはて、その場にへたり込んでしまいました。なにしろ、地面を引き寄せて、こぼれた牛の乳を集めたのですから、疲れるはずです。
すると、その様子をみていた井戸が、ワハハハ、ワハハハと大笑いして、男に言いました。
「なんだ、なんだ、それぐらいで疲れちまったのかい、だらしがないなあ。俺なんか、生まれてこのかた、地面を引っ張りっぱなしだぜ。なにしろ俺は、人々が毎日使う全ての水を、用意してやらなくちゃいけないのだからな。
とは言っても、これは偉大なるアラーから授かった仕事、俺は毎日一生懸命やるだけさ」
力自慢の男は、井戸の言葉を聞いて、とても恥ずかしくなりました。人間のできることなどたかがしれているのに、力持ちともてはやされて有頂天になっていた愚かな自分の姿に気がついたからです。
そのときから、男がへたり込んだその場所には、毎日牛の乳が湧くようになりました。
それもこれも、みんな慈悲深いアラーのお陰です。
今日の話は、これでおしまい。
ほしけりゃ持っていきな、いらなきゃ海に捨てとくれ。
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