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カン・ドンウォン

PROFILE

姜 棟元 1981年1月18日生まれ。韓国慶尚道出身。漢陽大学機械工学科在籍。街頭でスカウトされモデルとして活躍後、2003年ドラマ『威風堂々な彼女』で俳優デビュー。同年、映画『彼女を信じないでください』に初主演し、04年映画『オオカミの誘惑』で大ブレイク。韓国映画評論家協会賞の作品・監督・撮影賞受賞作『デュエリスト』(05年)は4月22日、丸の内プラゼール他全国松竹・東急系で公開。初のオフィシャルDVD+写真集『カン・ドンウォン オフィシャル プレミアムBOX channel#dongwon』が発売中。


写真=飯田安国
インタビュー・構成=林るみ


カン・ドンウォンインタビュー
言葉を交わさなくても、ひかれあってしまう男と女がいる

心のなかの言葉を
眼差しに込めたかった

「目がきれいですね」
 撮影中にカメラマンがそう水を向けると、端正な顔がはにかんだ。186センチの長身に、すらりと伸びた腕と脚。9頭身、いや10頭身にも見える抜群のスタイルとしなやかな立ち居振る舞いには、圧倒的な存在感がある。
 デビューから3年。一気にトップスターに躍り出た、韓国で若手としては最も人気がある俳優である。とくに女性たちからの視線が熱い。いまや日本での人気も韓流四天王に並ぶほどだが、ファン層は20代から30代の女性が中心だ。
 カン・ドンウォンの魅力は、「花美男」(コンミナム=美男子)としてばかりではない。何よりも、演技力が問われる韓国芸能界にあって、着実に役者としての力をつけてきたことだ。2004年秋に主演映画『オオカミの誘惑』で来日したときは、まだ少年のあどけなさと純朴さを残していたが、最近はぐんと精悍な顔つきとなり、大人の男の落ち着きも感じさせる。
 そんな彼が新たな魅力を存分に見せるのが、3作目の主演映画『デュエリスト』だ。
「時代劇であるにもかかわらず、非常にモダンな作品です。さまざまな見方ができて、観るたびに違う面が見えてくるはずですよ。これまで僕は、自分の出演作は、観るのがつらくて1回しか観てないんですが、この『デュエリスト』は3回も観てしまいました」
 インタビューでは長身を屈めてソファに座ると、身を乗り出して真剣な眼差しで語り出す。口数は多くはないものの、答えをしばらく考えては、自分の言葉を探そうとしている。
 デュエリストとは、決闘者・対決者の意味。スタイリッシュな映像で知られるイ・ミョンセ監督が、独創的な映像と色彩美で見せる新感覚の時代劇だ。カン・ドンウォンの役は、剣の達人で悲しい目をした刺客。これまでは田舎の純朴な青年、快活な高校生番長と、母性本能をくすぐるかわいげある役を演じてきたが、今回は妖しく、美しく、せつない。ドラマ『チェオクの剣』などで人気の女優ハ・ジウォンが演じる女刑事との息をのむ対決、宿敵同士の許されざる愛が物語の軸となり、見る者の心を揺さぶる。
 カン・ドンウォンは見事な剣さばきと剣舞を見せるが、クランクイン前に、6カ月に及ぶ、武芸とダンスの訓練を積んだ。撮影では激しいアクションにもスタントを使わなかった。
「自分の感情を、自分の体を動かすことで表現したかったんです。スタントの方のほうがうまくできたかもしれないけれど、それは僕の感情ではないということで欲を出しちゃいました。撮影中は、つらいというより、とても幸せでしたね。監督はもとより、共演のアン・ソンギさん、ハ・ジウォンさん、素晴らしいスタッフの方々から多くのことを学べましたから。僕の役者人生のなかで、一生涯、記憶に残る作品です」
 彼のセリフが極端に少なく、目の表情だけで感情を表しているのも、見どころのひとつだ。イ・ミョンセ監督は、目で内面を表現できる俳優としてカン・ドンウォンを抜擢したそうだが、期待どおりの演技だと撮影後に高く評価した。
「自分のセリフがないもどかしさはすごくあったんです。でも、心のなかの言葉を眼差しに込めようと努力しました。映画のなかでは説明されていない主人公の生い立ちや、アイデンティティーも目で語れればいいな、と」
 撮影現場での集中力には定評がある。どのように精神を集中させて、感情移入をしているのか。しかし、恥ずかしそうに照れて頭をかく。
「難しいですねぇ、感情移入させるのって。現場では、なかなかうまくできないんですよ。それが僕の宿題です。まぁ、これから少しずつ、よくなっていくだろうとは思うのですが……」


楽しめれば一生懸命に
なれる――仕事も恋愛も


 映画では、言葉を交わさなくても互いに見つめあったとたん、どうしようもなくひかれあっていく男女の愛を描いている。ひとめ見ただけで恋に落ちてしまう、その気持ちは理解できるか、とたずねると大きくうなずいた。
「十分に共感できますね。見たとたん、相手がわかる、僕もそういうタイプの人間ですから。実際に、ひとめ見ただけでひかれてしまう、そういった経験は僕自身にもあります」
 映画のなかで彼がひかれる女性は、男まさりでワイルドなキャラクターである。
「僕はどちらかというと、自分に似た人にひかれますね。まず、自分の仕事にとても熱心な女性が好きです。でも正直言って、劇中のハ・ジウォンさんが演じたキャラクターはタイプじゃありません。だって、飲み屋でうかつなことを言えば、トックリで頭をかち割られてしまいそうじゃないですか(笑)。ああいう激しい性格の女性は、実際には大変でしょう。僕は自分の世界をしっかりと持った女性が好きです」
 彼自身の仕事への熱意がうかがえる言葉だ。そんな彼が俳優として最も大事にしていることは何だろうか。即座にこう答えてきた。
「役者としてだけでなく、生きていくうえでも重要だと思うのは、何事も楽しんでやることだと思います。楽しめれば、一生懸命にもなれるし、いい結果も出てくると思うんですよね」
 何事も前向きにとらえる。が、そう簡単にできることでもない。かくいうカン・ドンウォン自身もシャイで、かつては人見知りが激しく、人前で口をきくのもつらかった、という。
「(仕事を始めて)自分の性格をずいぶんと変えてきました。前は自分から歩み寄っていくことができない性格だったんですけど、楽しめるよう、努力してきました。ささいなことなのですが、自分なりにいろいろと心がけてきましたね」
 韓流の俳優たちを取材して感じる共通点は、いい役者になる以前に人間としていい生き方をしなければならないという思いが強いことだ。カン・ドンウォンもまた然りである。
 撮影を終えると、のどが渇いたと自ら部屋の冷蔵庫を開けてドリンクを探しつつ、「何かお飲みになりませんか?」。周囲への気づかいも忘れない。ふだんは気取らず、スター然としたところがまったくない。こんな謙虚さも彼の魅力だ。
 撮影中の次作『僕たちの幸福な時間』(原題)では、3人を殺(あや)めた死刑囚役に挑んでいる。『デュエリスト』で得た演技への自信をどう進化させていくか。これからの韓国映画界を担っていますねと告げると、大きく息を吸い込み、「一生懸命、がんばります!」。いい笑顔を見せた。