女のシックスエレメント

桜沢エリカ

PROFILE

1963年、東京都生まれ。幼いころから一条ゆかりさん、竹宮惠子さん、山岸凉子さんらの作品に親しみ「女の子の絵を描くこと」を職業とすることを漠然と意識。19歳でのデビュー以来、女の子や女性の繊細な気持ち、強さと弱さなどをリアルに描き、読者の共感と支持を得ている。代表作『天使』シリーズ、『シッポがともだち』のほか、5月末にドラマ化された『贅沢なお産』などの出産・育児に関するエッセイや漫画も手がけ、はや第4弾となる『今日もお天気』の“卒園編”が今月8日に発売された。現在、雑誌『NIKITA』『コーラス』などで連載中。


インタビュー、構成=若山あや
写真=峯 竜也


桜沢エリカさん
Erica Sakurazawa 漫画家・エッセイスト

1st element

私の“美しい”子どもたち


 美といえばねぇ……。うちの子はふたりとも名前に「美」の字がつくんです。上の子は辰年生まれだから、まず「龍」を選んだのね。ところが龍+○だと、「ロクデナシ決定!」といわんばかりの運勢の悪い名前になると姓名判断の本に書いてある。逆に9画の漢字に龍を組み合わせると最高らしい。そこで美龍(びりゅう)と決め、ふたり目の女の子も美魅(みみ)にしちゃった。


2nd element

きっかけは深夜の自動販売機


 80年代のはじめごろ、“宝島少女”という言葉が生まれ、世はサブカルブームのまっただなか。多感な高校生だった私もどっぷりはまりましてねぇ。『少女アリス』というタイトルに惹かれて、自動販売機でしか売っていないエロ本まで買うようになった。でも、ひと目をしのんで女子高生がエロ本買いに走るなんて、たいへん。だから出版社に直談判に行ったんですよ、「売ってください!」って。そしたら「リアル少女がやってきた!」ってめずらしがられちゃって。その場のいきおいで、あろうことか「じゃ、何か書いてみない?」と誘われたわけです。ユルい時代ですよねぇ、素人の高校生にですよ。それが漫画家になったキッカケ。だからこれまで一度も賞に応募したことはありません。酷評されるのが恐いから。だからネットの書き込みも、みないようにしてる(笑)。


3rd element

女房元気で留守がイイ?


 うちは夫が家のことをしてくれています。食事もお風呂のしたくもしてくれるし、子どもにお弁当をつくってもたせて、幼稚園へ送るのも彼の役目。さらには小学校のPTA役員までしている。夫と子どもはうまくやっているみたいだから、私がいなくなっても大丈夫だと思う。って冗談だけど(笑)。漫画家をやめたいと思うことは何度もあったけど、子どもを産んでからは肝が座ったし、深く考えすぎないようになった。「私が家族を養っていくんだ」っていう自覚が芽生えたんでしょうね。


4th element

東京ナイトライフはおまかせあれ


 びっくりするような値段のブランド品をさんざん買ってきたけど、最近ようやく高いことに気づきました(笑)。それでもこの前イタリアを旅行した時、忙しくて買い物する時間がまったくとれなかったから、帰国間際に「何か買ってやる、クソッ!」って免税店に飛び込んで、なぜかエルメスの灰皿を2個買ってしまいました。タバコなんて吸わないのにね! そういえば最近、クラブ通いが復活。遊びに行く日は母に留守をあずけて夫婦で出かけます、夫にも息抜きが必要ですから。とくに好きなのは『ageHa(アゲハ)』。ゲイナイトの日はガイドつきのバスツアーなんていうのもあって、車内はものすごく盛り上がっているんですって。私も乗ってみたいわ。


5th element

夫婦で歩く道のりにみえるもの


 場の空気が読めて雰囲気を壊さずに出しゃばらない、これが賢い女だと思う。友達になるなら、さらにやさしくておっとりしている人がいい。実際私にはそういう女友達が多い。以前は「この人は苦手だ」って、初対面の印象で決めつけてしまうことが多かった。でも結婚してからは夫婦単位で遊ぶことが多くなって、考えが少し変わった。たとえその女性が苦手なタイプでも、「こんな素敵なだんなさんと一緒なら、奥さんもいい人に違いない」って。私自身も、結婚したことで、ものの見方、感じ方が深くなったんでしょうね。


6th element プラスα

バスタイムに訪れた奇跡


 まわりの子は2歳ぐらいからお受験モードのようですけど、うちは自由奔放、野放し。でもある時期になると、子どもが自分から興味をもつようになるんですよね。お風呂場にイラスト付きのひらがな表を貼って「カキの“か”、カニの“か”」というふうに話してたら、息子が突然「カホちゃんの“か”だネ!」って。自発的に学ぶ楽しさをみつけた、その瞬間に立ち会えて、すごくうれしかった。子どもにはイライラさせられることもある。でも子育ては、待つのがいい。ムリに教えるよりも子どもが自分で発見することって、本人はもちろん、親にとっても感動が大きいんです。これは子育てを経験してはじめて味わったこと。