女のシックスエレメント

カヒミ・カリィ

PROFILE

1968年東京都生まれ。1991年『BLOW UP』でデビュー。以来、海外アーティストとの共同プロデュース作品を中心に活躍し98、99年には全米ツアーを行う。近年では菊地成孔氏やm-floのアルバムにも参加。音楽活動とともにラジオパーソナリティや連載コラム、映画の字幕監修など幅広く活動。また映画初出演となる『いちばんきれいな水』は、ユナイテッド・シネマ豊洲ほかにて公開中。


インタビュー、構成=若山あや
写真=峯 竜也


カヒミ・カリィさん
KAHIMI KARIE ミュージシャン

1st element

誰もがもっている“美しさのタネ”


たとえば音楽を聴くとき、その場所やボリューム、居合わせた人々、そのときの自分の感情すべてが共鳴して、音は美しくも、ときに雑音にもなる。どんなに汚い看板でも、夕陽に照らされればすごくきれいな絵に映ったり、おなじ景色でも時間や天気、光、空気によってずいぶん変わって見える。人間もそう。美しくなる可能性を秘めた“タネ”って誰にでもある。私はそれを見つけることができる人になりたいんです。


2nd element

おもいきってジャンプしてみたら…


公開中の映画『いちばんきれいな水』で女優デビュー。脚本を読んでみると、与えられた真理子という役は37歳の未婚で、世界を飛び回るカメラマン。私自身、以前にカメラマンをしていたし、37歳で未婚、海外にも住んで…… と共通点がたくさんあった。真理子には何かの縁というか、“偶然の必然”を感じたんです。これまで「自分にはできない」とあきらめたことは、あとからだいたい後悔している。逆におもいきってジャンプしてみたことが思いのほかいい結果だったり、次につながったり。だから今回は思いきってジャンプしました。


3rd element

東京にてパリを想う


パリでは賃貸でも出る時に元に戻せばいいので、自由に改装できるんです。だから私はあえてボロボロのアパートメントを借りて床を張り替えたり、キッチンを改造したり、壁を水色に塗ったり。自分だけの空間“巣”を作るのが本当に楽しかった。8年ほど暮らしていたパリから日本に戻ってきて2年。あらためて見る東京という街は、パリと比べて一長一短。設備がしっかりしていて便利だし、水回りひとつとっても安心。それはいい面でもあるけれど、私にはちょっとさびしい。


4th element

真剣で高度な遊び…それが音楽


お金をもらってすることを“仕事”というなら、私にとって音楽は仕事かもしれない。でも私はお金をもらわなくても音楽を作り続けたい。音楽でも写真でも、いいものができると誰かに見せたくなっちゃうんです。このあいだ、友人と2人、砂漠でキャンプをしながらモロッコの旅を撮影しました。同時期にレコーディングもしていて予想以上にたくさんの曲ができ、1枚のアルバムには収まらなくなった。だからはみ出た曲にモロッコの映像をつけてDVD(『KOCHAB』ビクターエンタテインメントから発売中)にしました。あえていうと音楽は真剣で高度な遊びかな。


5th element

知識→カヒミ・カリィ→知恵


地球や生き物、人生、哲学など私はいろいろな本を読むのが好きです。でも、ただ読んでおしまいにしたくない。植物にアブラムシがついてそれをアリが食べて、花が咲いて枯れて、こぼれたタネからまた自然と芽が息吹く。そういう生命のサイクルを見たくてタネをまく。すべての生命はつながっていてどれも必要なものだと実感すると、死に対しての恐さがなくなったりするんです。本を読んで身につけた知識や考えは、そのあと実際に体験して自分のフィルターに通すことで初めて知恵になるのではないでしょうか。


6th element プラスα

眠っているあいだの奔放な発想


本来、睡眠は8~10時間とるのがベスト。『いちばんきれいな水』に出てくる“いばら姫”じゃないけれど(笑)、私はたくさん眠るのが好きだし、どこでも寝られる。一時期、夢を見るたびにその日記をつけていました。常々、自分の悩みや喜びなどの構造を分析したいと思っているんですが、どうしても整理がつかないこともある。もしかしたら夢にヒントがあるんじゃないか、と思ったのが夢日記を書きはじめたきっかけです。夢の中では日常で気にも留めていなかったことや人、モノが、何にもとらわれない自由な発想で出てくる。常識という枠を取り払った発想で音楽を作りたいという思いもあり、枕元のノートに夢をしたためるのです。