Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ

アン・ハサウェイ

PROFILE

Anne Hathaway 1982年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。高校時代、テレビシリーズで女優デビュー。2001年には『プリティ・プリンセス』で映画デビューを果たす。その後、05年公開の問題作『ブロークバック・マウンテン』ではアイドル的なイメージを払拭、大人の女優への脱皮を印象づける。待望の最新作『プラダを着た悪魔』は11月18日から日比谷スカラ座ほかにて全国拡大ロードショー。また、07年公開予定の『Becoming Jane(原題)』では、夏目漱石も敬愛した英国女流作家のジェーン・オースティンを演じる。


インタビュー、文=片岡真由美
(映画ライター)
写真=峯 竜也


『プラダを着た悪魔』

米国版『ヴォーグ』誌の名物編集長の元アシスタントが 書いた小説が原作の『プラダを着た悪魔』。映画化にあたっては『セックス・アンド・ザ・シティ』の監督とスタイリストがコンビを組んだ。主演はアン・ハサウェイとメリル・ストリープ。


アン・ハサウェイ インタビュー
おびえることに背をむけず笑顔を忘れない

パーティ・ガールに
なりたかった?

 日本ではまだ、彼女の名はあまり知られていない。それなのに初来日の記者会見場には、実に多くの取材陣がつめかけた。最新作『プラダを着た悪魔』で主役のアンディ(アンドレアの愛称)を演じた彼女──アン・ハサウェイには大きな期待が寄せられているのだ。
 大学を出たばかりのアンディは、超一流ファッション誌を牛耳るカリスマ編集長ミランダのアシスタントに採用される。だがミランダのハイレベルな要求と細かく決められたルールにてんてこ舞い。やがてファッションセンスにも磨きがかかり、有能なアシスタントへと変貌していくのだが……。
「わたし自身がどんな女性に“変貌”したいか? その質問には、うまく答えられないわ。小さいころからあこがれていた仕事につけたわけだし、今は自分が将来に思い描く女性をめざして努力している途中だから。その将来像も言葉で説明するのではなく、『10年後のわたしを見て』としか言えません。いまという時間にフォーカスをあて、真面目に生きていくこと。それが大切だと思っています」
 ハサウェイが彗星のごとくハリウッドに登場したのは、2001年の映画デビュー作『プリティ・プリンセス』で。地味な女子高校生が実はヨーロッパの小国の王女になる身分と判明、みるみるうちにプリンセスらしく変身するストーリーを愛らしく演じ、人気を得た。04年には続編も作られ、溌剌とした魅力はさらに増したが、次の『ブロークバック・マウンテン』(05年)では一転。結婚生活に失望して、とげとげしい中年女性に変貌する役を好演した。
 取材当日はスケジュールが過密だというのに、笑顔を絶やさない。その姿には愛情豊かに礼儀正しく育てられたことが見てとれる。適当にあしらえば済むような質問にも、本心を伝えようと言葉を尽くそうとする。まっすぐな女性なのだ。
 そんな彼女だから、記者会見で“変身願望”についてきかれたときに答えた自分の発言を、あとあとまで気にかけていた。
「もし別の人間になれるとしたら、普通の青春を送って、パーティ・ガールにもなってみたい。会見ではそう答えましたが、それは誤解を招く言い方でした。実際のわたしは高校時代にデビュー、大学に進学してからは学業と仕事の両立がとても大変で、結局、今は休学せざるをえなかった。ですから若さゆえに何をしても許される時期が、わたしにはほとんどなかったの。だから責任感に縛られることなく、いまを楽しむ生活をもう少し謳歌したかったという意味だったんです。これからパーティ・ガールのように暮らしたいというわけではありません。そんなふうに伝わったら、母に叱られちゃう(笑)。この言葉も誤解してほしくないんですが、わたしがやりたいと思ったことは何でも応援してくれる素晴らしい両親なんですよ」


アン・ハサウェイ流
美しい女性の6原則


『プラダを着た悪魔』では、“悪魔”である辣腕編集長ミランダを、メリル・ストリープが余裕たっぷりに演じて大いに笑わせる。
「俳優なら誰でも彼女と共演したいと熱望する存在です。それだけに最初はとても緊張しました。いちばん難しかったのも、彼女との対決シーン。でも素顔のメリルはとても素晴らしい人で、ただ彼女を見ているだけで多くのことを学べたと思います」
 ただし『プリティ・プリンセス』シリーズで共演したジュリー・アンドリュースにしても、メリル・ストリープにしても、必ずしも自分の目標とする女優像に結びつくわけではなさそうだ。
「やっぱり未来のことはあまり話したくないんです。でも50年たっても女優としてやっていたい。これだけは確かに言えることです」
 すでに撮影を終えた新作では、ニューヨークのファッション業界で成長する現代女性とは一転して、イギリスが誇る19世紀初頭の小説家ジェーン・オースティンを演じている。作品の幅広さからも、女優としての意気込みが感じられる。
「わたしが作品を選ぶ決め手は、たったひとつ。それは演じることに、恐怖を感じるかどうか。怖気づくのは、自分に自信がないからですよね。わたしは自信が持てないことにこそ、挑戦していきたいんです」
 最後に彼女が考える“美しい女性”の定義をきいてみた。
「何かひとつは秀でているものを持っていること。ウイットに富んでいて、気持ちが優しく、頭もいい人。あれが欲しい、これが欲しいという物欲をあまり持たず、周囲のひと握りの人たちの支えがあれば自信を持って生きていける人。自分の外見よりも、他人を尊重する気持ちを持っていることのほうが大事だし、それから好奇心は絶対に必要。あと、どんな時でも楽しく笑える人。そういう女性が美しいとわたしは思います」