Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ

杏

PROFILE

あん 1986年生まれ、ファッションモデル。パリ、ミラノ、ニューヨーク、東京などの主要ファッション・コレクションでさまざまなブランドのランウェイモデルとして活躍中。今年6月には第49回日本・ファッション・エディターズ・クラブ(FEC)賞のモデル・オブ・ザ・イヤー賞を受賞。現在、ファッション誌やワールド「UNTITLED」などの広告をはじめ、国内外で活躍している。オフィシャルウェブサイトはhttp://www.anne-coro.net/


インタビュー、文=齋藤正弘
(ジェイヌード)
撮影=奥村恵子(Image)


ANNE & UNTITLED
ファッションノート

世界を舞台に活躍するUNTITLEDイメージキャラクターの杏さんが、スタイリスト青木貴子さん、カメラマン桐島ローランドさんとともにお届けするウェブサイト。杏さんおすすめのクリスマスコーディネートやスタイリストがセレクトするトレンドアイテムなど写真とともに公開中。12月15日からは、この本紙の取材風景をリポートしたメーキング・ストーリーがサイトアップされている。またUNTITLED各店舗では、12月25日までクリスマスフェアを開催中。www.anne-untitled.com


Fashion Date

(表紙&2ページ)
シフォンドレス 3万7800円
ビーズクラッチバッグ 1万2075円
サテンウェッジパンプス 3万2550円
ハートネックレス 8925円
ボールネックレス 1万0290円
ロングパールネックレス 8925円
(3ページ)
ニットコート 4万7250円
プリントドレス 2万9400円
ハートネックレス 8925円
(以上、すべて UNTITLED)


杏 インタビュー
美しい日本のわたし

男らしさと女らしさ。
それぞれの伝統的な価値観を
大切にしたいです。
わたしは、たおやかな女性で
ありたいと思っています。

ホームパーティーでは手料理をふるまいます。
時間があるときは前の晩から準備しますよ

 おだやかな夏の海辺をイメージしてほしい。あたりに聴こえるのは、波打ち際を洗う波の音。寄せては返すその音に聴き入るうちに、こころもからだも癒やされてくる。夏の海辺にあるのは誰も傷つけることのない、やすらぎに満ちたバイブレーション。
 杏さんとの出会いはさまざまな印象を残してくれたけど、活字にするのがむずかしいからこそ、どうしてもいっておきたいことがある。それは声の魅力。ちょっと高めのトーンだけど、口調はどこまでも静かでおだやか。それは夏の海辺の波動のようだ。
 以前、聖歌隊で歌っていたから、クリスマスに聴きたい曲というと、まず賛美歌を思い浮かべるという。でも5000曲も入っているというiPodのプレーリストに、イマっぽい曲はないのかな?
「なんだろう……。アヴリル・ラヴィーン(注・パンク・ポップ・プリンセスと称されるカナダ出身のロック歌手。22歳)とか? でもわたし、アヴリルは持っていませんでした(笑)」
 杏さんから届く静かなバイブレーションが、一瞬こわれることがある。それは彼女の機転の利いたユーモアに、あたりから歓声があがるとき。
 一時期パリに暮らしていた経験がホームパーティー好きのセンスをさらに磨いた。アロマキャンドルをともして、ゲストが好みそうな曲をiPodのプレーリストに入れてかける。そして最大のこころづくしは、料理研究家になるのも夢のひとつという手料理をふるまうこと。
「この季節だと、鍋パーティーですよね。栄養のバランスを考えて、お鍋に大根おろしとダシ汁を張ったみぞれ鍋をよくつくります。このお鍋には大量の大根おろしが必要なんです。だからわたしは大根とダシ汁をいっしょにミキサーにかけてつくります。でもミキサーにかけるとき、ひとつは目がこまかく、もうひとつは粗めの2種類を用意するんです。そうすると大根の食感が残せますから。葉っぱも無駄にはしません。昆布を敷いたお米に、お酒をひと振りしてから炊いて、大根葉めしにします」  そして、ふたたび波動がこわれる。
「友達といっしょのときのわたしのキャラクターですか? できたお料理をテーブルに運びながら、『さあ、喰いな!』っていうタイプです(笑)」
 どうやらアネゴ肌でもあるらしい。


歴史の扉を開いてめぐりあえた
美しい女性の6原則

「ヨーロッパやアメリカで国籍をたずねられて、日本人と答えると、相手の表情からこわばりが消えるのを感じることがあります。日本というだけで、信頼していただけるんですよね。これはほんとうにありがたいことです。外国にいると、日本に生まれてよかったと感じることがよくあります。それと以前ニューヨークを歩いていたら、年上の女性に呼びとめられて『あなたはどこのひと? 日本人? そのジーンズすてきね、どこで買ったの? トーキョーのどこ?』って質問攻め(笑)。世界が日本に注目しているのがよくわかります」
 だから自分自身も日本への理解をもっともっと深めたいという。
「歴史好きの祖父の影響もあって、史跡めぐりや歴史書を読むのが好きなんです。先日も江戸文化歴史検定を受検しました。不勉強がたたってあまり自信はありませんが(笑)、この検定をとおして通信教育でも古文書が学べることを知りました」
 この検定直前の1カ月以上、杏さんはニューヨーク、ミラノ、パリのコレクションでランウェイモデルを務めていた。たとえどんなにいそがしくても、住み慣れない不自由な環境であっても、自分のための時間をちゃんとつくりだす。待ち時間が多い撮影の日には習得中のアコースティックギターや、英語の気になるフレーズを収録したiPodとパソコン、それに『大人の常識力トレーニング』を挿したNINTENDO DSをスタジオに持ち込む。時間を無為にすごすようなことはしない。
「モデルという仕事は、自分で切り開くというよりも、お仕事をいただく立場。ですから将来を考えると不安がないとはいえません。それでもこの先にどんな出会いが待っているか、楽しみにしている部分のほうがうんと大きいです。そしてモデルはつづけること自体むずかしい仕事。ですから、ずっとモデルでいられたら、それだけでもすてきなことです。でもある日突然『旅に出ます』のひと言だけを残して、ちがう人生に進むかもしれません(笑)」
 しなやかで凛とした姿に、あたらしい現代女性の姿をみる。
「あこがれているのは、与謝野晶子や津田梅子といった明治の女性です。いまでは多くの女性が社会に出ていますが、当時は女性としての人生にあらたな地平線がみえはじめたころ。それなのに社会人として家庭人として懸命に生きた彼女たちの姿に、こころが打たれるんです。わたしは、たおやかな女性でありたいと思う」
 最後に杏さんがいつもこころがけていることを、アドバイスとして教えてもらった。
「頭をおこして、ひざがくっつくように意識しながら歩いたり、座ったりすることです。きれいなお洋服が美しく映えるのは、しゃんとした立ち居振る舞いなんだと思います」