女のシックスエレメント

風吹ジュン

PROFILE

1952年、富山県生まれ。75年、テレビドラマ『寺内貫太郎一家2』で女優デビュー。91年、映画『無能の人』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞、98年、『コキーユ』で報知映画賞主演女優賞受賞。近作は『ベロニカは死ぬことにした』ほか、昨年のヒット作『ゲド戦記』では声優をつとめた。またテレビドラマ『ほんまもん』『輪舞曲 ロンド』など出演作多数。現在、NHK大河ドラマ『風林火山』に出演中。同世代はもちろん、若い女性のファンも多い。


インタビュー、構成=若山あや
写真=上田佳代子


風吹ジュンさん
Jun Fubuki 女優

1 st element

ひとりで立つ強さがほしい


多くの女性は親や夫、子どもといった守るものができると、知らずのうちに強さを身につけている。でも守るべきものを突然失うと、もろくも崩れ落ちてしまうもの。そこで立ち止まってしまうのではなく、弱い自分を認め本当の自分を知ること。それが女性本来の強さなのだと私は思うんです。強さって、もしかしたら女性としての美しさにも通じるかもしれない。私は子どものころからどこかに安住することなく生きてきました。夫と別れてからも、仕事をしながらひとりで子ども2人を育ててきた。つねに前に進むしかなかったんです。ふりかえると子どものころからずっとそのようにして生きてきたと思うんです。


2 nd element

大人の女の“萌え”って?


“萌え”の意味はたくさんあるけど、敏子役を演じた映画『魂萌(たまも)え!』では“気づき”と解釈するとわかりやすいと思います。この作品に出合って、いまの世の中ってみんな自分自身の魂を忘れているなあ、と深く感じました。世にあふれる情報に追われ、取捨選択するのに精一杯。でも敏子は“ひとりのひと”として“ひと”と対峙していく。だから彼女は永遠に妻でも母でもない、敏子として生きつづけようと決意する。どんな境遇や立場であっても、“ひとつの魂”として生きていくべきなのだと気づく(=萌え)んです。「魂+萌え」という言葉を生み出した原作者の桐野夏生さんはやっぱりすごい。


3 rd element

真夜中のひそやかな愉しみ


お酒がダメな私にとって、“飲む”といえば中国茶。いい茶葉を手に入れることができれば、あとは熱いお湯があればOK。5月は鉄観音、7月はジャスミン茶、10月は秋鉄観音。冬の寒い日には岩茶(がんちゃ)かな。子どもたちが寝静まってから、ひっそりとひとりで香りと味わいを愉しんでいます。


4 th element

年齢を超えた友人にかこまれて


人生、出会いの数だけ友人がふえていく。つながりはどんどん広がって、そのぶんたくさんの情報をもらう。それは私という人間の“ソフト”になるんです。最近は子どもたちを通じて知り合った友人も仲間に加わり、若いアーティストやカメラマン、洋服屋さんと食事をしたり、映画を観に行くことも。いまはまだみんな若いけど、これから先すごくいい関係が築けそう! いつかみんなで何かかたちにしたいね、って夢をもっているんです。


5 th element

“妻”から学んだこと


32歳、34歳と出産がつづき、30代は子育てがすべて。私が私ではいられなかった。そこから解放されたのは、子どものお弁当を作らなくてよくなったときもそうだけれど(笑)、やっぱり妻をやめたとき。夫の価値観に合わせることがなくなって、思い出したんです。「やっぱりあの映画も音楽も、実は好きじゃなかった。私が本当に好きなのはこっち」って(笑)。妻という立場は精神的な束縛がとても大きいし、強い。でもその事実を受け入れ、自覚的に行動すれば変われるじゃない? だから私にとって結婚生活はけっしてムダではなかったと思うんです。


6 th element プラスα

茶葉を探して中国へ


いつも留守の札がかかっている不思議な茶館を見つけ、あるとき台湾人の女性店主に「あなた何やってるの?」って聞いてみたんです。そうしたら彼女みずから年に何度も中国の茶畑へ買いつけに行っていると聞いて、2年前ぐらいから私もついて行くように(笑)。去年の3月は浙江省(せっこうしょう)杭州の龍井(ろんじん)からはじまり、碧螺春(へきらしゅん)、4月には広州といろいろまわりました。旅行中は農家に泊まって食事をいただき、茶葉に埋もれて寝ころびながら選別をして焙煎する。先にめざすは雲南省の奥地にある樹齢2700年の茶樹。中国人もほとんど知らないといわれているその葉っぱをいつか噛んでみたいの。