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Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ
PROFILE
Mirai Moriyama 1984年、兵庫県生まれ。99年の『ボーイズ・タイム』以降、『BAT BOY THE MUSICAL』『メタル マクベス』などの舞台作品のほか、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』、テレビドラマ『WATER BOYS』『危険なアネキ』『役者魂!』など各方面で活躍。またみずからダンスライヴの演出も手がけている。2007年は舞台『血の婚礼』のほか、主演作となる映画・陣内孝則監督作品『スマイル~聖夜の奇跡』が今冬公開予定。
金原由佳=インタビュー、文
森本美絵=写真
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森山未來 インタビュー
表現者のカラダと言葉
黙っていては伝わらないことをカラダで表現する。
それが自分を保つ
ひとつの要因だったりするのです。
ぼくをダンスへと
両親が導いた理由
「1歳のとき、いつも柵の中に入れられていたらしいんですよ」
どんな子どもだったのかと質問すると、森山未來さんは自分の記憶がおよばない遠い過去までさかのぼった。
「目のまえに窓ガラスがあるのに正面からぶちあたって割っちゃったりする子どもだったそうです。両親が出かけて、姉と2人で留守番をしていたときに、姉が目を離したすきに家の柵を飛び越えて散歩にでかけ、何キロも先で保護されたこともあった。とにかく、じっとしていられない子でした」
どんな質問に対しても、「うーん」と考えて真剣にこたえる姿を見ていると、森山未來という人を理解するには多くの言葉をついやすよりも、彼の肉体が織りなす動きをみるほうがずっと的確で、劇的なのではないだろうかと申し訳なく思ってしまう。ともあれ、とほうもないエネルギーで一日じゅう動き回り、かずかずの日用品の破壊工作に励む(?)息子の正当な発散方法としてご両親はダンスを選ぶ。5歳だった。
「最初は週に一日レッスンに通っていたのが、やがてタップに夢中になり、次はバレエ、その次はヒップホップと、小学校4年生になると、気づけば毎日レッスンに通っている状況に。だから放課後に友達とマンガを読んだり、ゲームをしたりという記憶がないんです。もちろん授業でやったんでしょうけど、球技をした覚えもない。物心がついたときから踊っているので、趣味や楽しみといった言葉で説明できるものじゃない。しいていえば、ダンスはぼくにとってのコミュニケーションの手段で、ぼくの一部なんです」
宮本亜門演出のミュージカル『ボーイズ・タイム』の主要キャストに選ばれたのが15歳のとき。それからずっと表現の世界に身をおいているわけで、じつに無駄のない人生の歩みかたにみえる。
大学では、高校時代に出合って魅了されていたフラメンコをより深く知るためにとスペイン語学科を選んだというから、未來さんの場合、やりたいことにブレがない。テレビや映画、舞台と多彩な活動をしているのも、それらで身につけた血肉をダンスに還元するためなのかもしれない。
その意味で、東京グローブ座で5月3日からはじまる『血の婚礼』は森山未來の本領に触れる機会となりそうだ。スペインの内戦時代、自由を追い求めた詩人で劇作家のフェデリコ・ガルシア・ロルカが35歳のときに発表した作品。未來さんが演じるのは妻も子どももいるのに、かつての恋人の結婚式当日、家族も常識も何もかも捨てて花嫁と駆け落ちする男、レオナルドだ。
「どんな世界であろうと、毎日の生活のなかで、『あれ、これ、何か違うな』と自分をとりまく環境への違和感を抱く瞬間があると思うんです。人によってはその違和感にのみこまれたり、苛まれたり、悩んだり、なかには気づかずに日々を送ったりする。ところが、『血の婚礼』のレオナルドはその違和感に気づいた瞬間、理屈じゃなく、本能的に打ち破ろうとする。戯曲のなかで彼だけが名前を与えられているのは、彼だけが宿命から出ていこうとした人だからかもしれないですね」
悲劇をいろどるのはフラメンコ。未來さんが魅了されつづけている世界である。
「フラメンコは激情の踊りと思われがちですが、それだけではない。踊り手はみずからの肉体にこもる感情や哀愁を一気に全部放出するのではなく、精いっぱいためて、ためて、そこから徐々に搾りだし、最終的には自分のなかを全部えぐりだすような、一筋縄でいかないダンス。熱さだけでは踊りきれないからおもしろいし、深いし、むずかしい」
銀世界のイーハトーブにて
それにしても、人生の早い段階で、自分の一部といえる対象をみつけてしまった未來さんがうらやましい。もっともそれはそばでながめているより、ずっと、大変なことなのだろうけれど。
「言葉でいろいろ説明しようとするとまどろっこしいし、ときに誤解も生じる。だからといって黙っていては、気持ちは伝わらない。そのジレンマを中和してくれるのがダンスだけど、ずっと踊っているわけにはいかないし、もやもやすること、よくあります」
一度、仕事がたてつづけに入り、ダンスから離れている状況に煮詰まったとき、ふと足を向けた岩手県の風景に救われたことがあったという。
「四方を山で囲まれた花巻の景色をながめていると、冬になると雪しか見えない閉塞的な世界のなかで、弱々しい肉体をかかえながらも夢をふくらませていった宮沢賢治の姿を思い浮かべ、すごく腑に落ちたんです。なんだかわからないけれど、今の自分とつきあっていくしかないって。そして踊っていこうって」
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