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Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ
PROFILE
Rinko Kikuchi 1981年、神奈川県生まれ。15歳のとき、菊地百合子の名前でデビュー。映画デビュー作は新藤兼人監督の『生きたい』(99年)。アメリカ映画初出演となる『バベル』では米国映画批評会議賞などの新人女優賞の受賞をはじめ、2006年度米国ゴールデングローブ賞、アカデミー賞などで助演女優賞にノミネートされる。今後も6月公開予定の『図鑑に載ってない虫』や『恋するマドリ』、『Genius Party BABY BLUE』(声の出演)、海外進出2作目となる『The Brothers Bloom』などが待機中。
http://www.anore.co.jp/rinko/
片岡真由美=インタビュー、文
奥村恵子(Image)=写真
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菊地凛子 インタビュー
おくれてきたシンデレラ
映画にこだわることが
自分のポリシーだったし、
遅咲きのタイプだとわかっていたから
まったくあせることは
なかったです。
映画への情熱は
誰にも負けない
昨年の秋ごろからアメリカのメディアで“リンコ・キクチ”という若手女優が注目されているという話を耳にしたが、それがあの菊地百合子のこととは思いもよらなかった。2001年に公開された熊切和嘉監督の『空の穴』では、寺島進が演じる孤独な中年男の人生にふらりと入り込む若い女の子を演じた。幼女のような屈託なさと色気をもつ女の子を、独特の魅力で演じ、多くの人に新鮮な女優の誕生を確信させた。
だが以後の5年ほどは大きな役がなかった。その忍耐の歳月を経て、名前も変え、いきなりハリウッドで大注目!と、会心の大逆転劇を組み立てたくなるのだが、本人にそんな気負いはない。
「映画にこだわり続けることが自分のポリシーだったし、遅咲きのタイプだとわかっていたので、あせりはなかったです。でもアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が日本で新作を撮ると知った時、これは最初で最後のチャンスだと思いました。日本にはあまりオーディション制度がなくて、ちょっとはみだしているような役をいただくパターンが多かったんです。だけどアレハンドロのオーディションでは映画への情熱では誰にも負けないという、ちょっとした自信がありました。最終決定まで1年待ちましたけど、絶対の確信が得られるまで時間をかけたいというアレハンドロの姿勢には納得がいったし、だからこそ選ばれて自信がつきました」
インタビューは数日後にアカデミー賞受賞式がひかえたある日の午前9時、電話でおこなった。約束の時間の10分前にかかった電話の受話器をとると「もしもし、菊地凛子です」と聞こえてきた。世界が注目する女優さんからの電話! 意外な展開にあわてるこちらの気持ちをよそに、まるで友人との会話のように彼女はリラックスした口調で受け答えしてくれた。
名前を本名の百合子から凛子に変えた経緯にも、天性の勘のよさや度胸がうかがえる。
「アノレ(現在の所属事務所)に移ってから会った人たちで、いちばんインパクトが強かったのが(スタイリストの)北村道子さんなんです。いまでは“お母さん”と呼んで尊敬しているんですが、知り合ってすぐに『あんたって天才か馬鹿かわからない、紙一重よね』って(笑)。それから『百合子って名前はしっくりこない。凛子がいいんじゃない』って。私は『あ、それ、いいですね』と即決です(笑)」
アノレは浅野忠信や加瀬亮が所属する事務所。菊地凛子も加わって、いまや日本で最強の俳優事務所になった。
「映画といえば浅野さんが代表だと思っていたし、加瀬さんとは前からの友だちで、前の事務所を辞めたときに『いま女の子を募集しているらしい』って教えてもらいました。社長がとてもポジティブなんです。いつも先を見ているし、先ばかりではなくてもっと広い視野でも見ているし。『バベル』のオーディションのときにも、精神的なバックアップをしてくれました」
ミニスカート姿で
たくさん食べた日々
「撮影中はスタッフのことも目に入らないぐらい、チエコという役に集中しました。アレハンドロは日本での撮影にとくに力を入れていたと思うし、最後のロケ地だったから、ものすごい気合を感じました。彼から言われたのは、集中力が途切れないように撮影の合間も手話で話せって。その手話を日本語にしてから英語に訳すというまわりくどい方法でしたが、それも作品のテーマのひとつ、コミュニケーションに関わることですよね」
そうした集中力もさることながら、プレッシャーや不安は相当なものだったろうと想像する。
「私はあらゆることを考えすぎるし、まわりを気にしすぎるタイプなんです。撮影が進んでシリアスになっていくにつれ、細かなこと、ちょっとした音も気になってしまう。でもキャスティング・ディレクターの奈良橋陽子さんから『深呼吸するといいよ』と教わりました。それからは『アクション!』がかかる前に呼吸を整えるのが習慣になりました」
16歳の役を演じる準備にも、独特な洞察力を感じさせる。
「若い子の体形って、見た目にはアンバランスですよね。でも実際の若い子たちはそれを気にするよりも、むしろ出しちゃう。出すことが恥ずかしくないというか。そういう感覚を自分のものにするために、めったにはかないミニスカートで何日もすごしたりしました。ミニには慣れてないからつい意識してしまうけど、その意識を消すために、あえてパステル調の服を着てみたり。あるいは心理的にチエコの悲しみが出るような色を着ました。そうしながら、若い子並みに食べていたんです(笑)」
最後の質問は『バベル』にまつわる注目の中、変わったことはあるのか?
「すごい勢いで周囲が変わっているだけで、私自身は何も変わっていません。だから取材の多さも含めて、冷静にあたりを眺めている感じですね」
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