Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ

伊藤由奈

Yuna Ito 1983年、ハワイ出身。2005年、映画『NANA』のレイラ役に抜擢され、9月に『ENDLESS STORY』でデビュー。07年1月にリリースしたファーストアルバム『HEART』はオリコン初登場1位を記録。R&Bをベースに、ソウルやヒップホップ、そして自身のルーツミュージックであるハワイアンなど、さまざまなフレーバーの楽曲で多彩な魅力を披露。最新シングルはセリーヌ・ディオンとのデュエット・ソング『あなたがいる限り~A WORLD TO BELIEVE IN~』。 http://www.yunaweb.net
af_toyokawa.html


齋藤正弘(ジェイヌード)
=インタビュー、文
枦木 功=写真


伊藤由奈 インタビュー
ナミダの奇跡を 信じよう

ラブストーリーの小説を読むとあたまのなかに
BGMが流れてきて映像のフィルムがまわりだします。
まちがいなく、ロマンティストですね。


2000年
ホノルルの映画館にて


 写真スタジオに響くのは、まだトラックダウンを終えていない『あなたがいる限り~A WORLD TO BELIEVE IN~』。被写体の伊藤由奈さんは曲のリズムにあわせて、コーラスやハミングを奏でます。そのたびに取材作業の手をやすめて、このまま聴き入りたい。そんな気分にさせられるほど、由奈さんの声にはふんわりとした華やかさとさわやかさがあります。
 歌っている由奈さんのほうは、まだカラダの奥底で眠っている太くて丸い声へと手を届かせようとしているふうにもみえるし、この奇跡のデュエット曲の完成をみずから祝福しているようです。
 そう、『あなたがいる限り~A WORLD TO BELIEVE IN~』は伊藤由奈さんとセリーヌ・ディオンさんのデュエット・ソング。ふたりは今年10月、ラスベガスのとあるスタジオで、はじめて対面しました。
「この世界が、もっと愛に満ちあふれてほしい。その願いでセリーヌさんとわたしはシンクロしています。ここでいう愛とは、恋愛だけでなく、家族の絆、友情、世界平和、すべてを包んでくれる、とってもとっても大きな愛のことです」
 由奈さんのいう、大きな愛の奇跡。その体験は彼女が歌手になる以前からはじまっています。
 それは、いまから7年くらい前のこと。当時ハワイに暮らしていた高校生の由奈さんは、人前で涙を流すようなことはキライでした。だって泣いている当人のそばには、どうしていいかわからない、とまどい顔の人たちの姿が目に浮かぶから。
「いつだって由奈は笑っていて、他人をこまらせたりしない」。そう信じていた自分自身への約束は、ある日、ホノルルの映画館で捨てることになります。
「あの映画のあの曲で、わたしの壁は壊れました。『タイタニック』です。ドラマティックな愛の物語にのせて、『My Heart Will Go On』が流れてきたとたん、涙があふれてとまらなくなって。それがわたしが人前で流した、はじめての涙です」
 セリーヌさんの名曲に出合ったこの日、由奈さんは愛の奇跡を知りました。
「デビューしてからはうれしい時、感動した時、それからくやしい時、全部泣きました。泣けるようになりました。以前は感情をおもてに出さないよう、こころを閉ざしていたのかもしれません。ですから、アーティストとして届けたいのは『ひとりぼっちと思っている人も本当はそうじゃないよ。絶対にひとりじゃないからね』というメッセージです」


07年10月
ラスベガスの
録音スタジオにて


 ホノルルの映画館での出来事以来、セリーヌ・ディオンさんは特別な存在。
「インタビュー記事を読んだり、ネットで情報収集して、『あれだけのバラードを歌えるということは、きっと本物の愛を知っている女性なんだろう』というイメージを抱いてました。それが実際にお会いしたら、そのとおりの人だったんです」
 いまは涙がたいせつな感情表現であることを由奈さんは知っています。
「目の前のセリーヌさんからは本物の愛が伝わってきました。『ユナ、あなたの声はほんとうにすばらしいわ』とかけてくれた言葉に、まず涙。『落ちこんだ時や、希望がみえないと思った時、わたしはいつもセリーヌさんの曲を聴きました。そうするとかならず希望がみえてくるんです』と伝えると、今度はみんなで涙(笑)」
 ひとりのアーティストの歌声で愛の力を知った少女が、いまでは多くの涙を誘う歌姫に。セリーヌさんと由奈さん、そのふたりの出会いから生まれた『あなたがいる限り~A WORLD TO BELIEVE IN~』は、この冬を大きな愛で包みこむ奇跡のラブバラードなのです。