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Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ
Kyoko Koizumi 1966年、神奈川県生まれ。2008年は3年ぶりに主演をつとめる現在公開中の『グーグーだって猫である』(犬童一心監督)につづき9月27日公開の『トウキョウソナタ』(黒沢清監督)に出演。また8月10日に開催された「SUMMER SONIC 08」には「小泉今日子SPECIAL BAND」として出演するなど、女優として、アーティストとして次々とあたらしいことに挑戦している。また9月19日に写真集『グーグーと麻子さん』(撮影・佐内正史、角川書店、1575円)が発売される。さらに現在5年ぶりとなるオリジナルアルバムの制作中。 http://www.koizumix.com/
森 鈴香(ジェイヌード) =インタビュー、文
ミズカイ ケイコ=写真
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小泉今日子 インタビュー
乙女心は永遠なり
空気変えるのに
「ビール飲む?」とか
食べものを利用することが
多いよね、女性は。
食べさせてあげたいっていつも思うし。
おいしいものを食べると
機嫌がよくなったり。
男のひとより動物的なのかもね。
ひとはみな孤独。
それを前提に
生きたほうがいい
東京のとある住宅街。線路沿いに立つ一軒家。大手企業の総務部で働く夫(香川照之さん)と専業主婦の恵(小泉今日子さん)。そして大学生と小学生のふたりの息子が暮らしている。
夕食のしたくができているというのに息子たちは箸をつけずに無言のまま待つ。そうして現れた一家のあるじがようやく食卓の席につくやいなや、恵は夫のグラスにビールを静かに注ぐ。何日も何日もくりかえされてきた家族のありふれたひと幕。
そのなかで恵はちょっと古風な良妻賢母のようにみえるのだが……。
「恵はきっと高等教育を受け、ちゃんとした社会人の経験も積んだ女性だと思ったのね」
でも小泉さんの最新作『トウキョウソナタ』には恵の経歴はいっさい描かれていない。撮影現場に用意されたインテリアや食器の観察をして、脚本に描かれた女性とこの空間に暮らしている女性を直感的につなぎあわせる。出てきた答えは妻であることよりも、母であることよりも、ひとりの女性だということ。小泉さんは役の女性の人生を現場で“感じとる”。頭で考えるのではなく。
「わたしの世代って、現代的と古典的、その両方の女性の生き方を見て育ってる。どっちにもいいモデルがいるから迷うんですよね。恵も社会でひとりで生きていく自信はあるけれど、家庭に入る道を選んだ。ときには生きがいを見失いがちになることもある。それでもやっぱりこの家で生きていこうって腹をくくったんだと思うんです」
そうしてつかんだイメージでまず演じてみる。黒沢清監督の表情に不安や迷いはない。OKなのだ。
「ひとって本来みんな孤独。それを前提に生きたほうがいいと、わたし
は思う。それはさびしいとはちがう。
でもいつもだれかがそばにいると、孤独じゃないと錯覚して変に求めあったり、言いたいことを言えずに隠したりしてしまう。恵はそうと知りつつもつらかったんでしょう」
恵は自宅に押し入った泥棒(役所広司さん)に誘拐される。でも、さらわれていることに怯えるでも死を覚悟した様子でもない。ついて行くというふうにも見えるほど冷静で
淡々としている。
「女のひとって『ぜったい自分はだいじょうぶ』って信じているところがあるじゃない? いい方向に考えるし夢をみようとするしね(笑)」
水平線のかなたにも光をさがそうとするのが女。行き止まりや壁につきあたると、絶望やあきらめに支配されてしまうのが男。その対照的な姿が『トウキョウソナタ』には映し出されている。
「黒沢監督があるシーンの演出でこんな話を香川さんにしてました。
『家に帰るとテレビをつけたまま妻がうたた寝している。その寝顔をのぞきこむあなたの胸に広がるのは、やっぱり美しい、そういう思いでしょうね』って。その話を眼をつぶって聞いていたわたしは、しあわせな気持ちになりました」
この映画には女性に向けたやさしいまなざしがある。
人生の折り返し地点で
はじめて理想の夢が
もてました
「わたしの記憶は視覚とつながっているみたい。だから台本も画像として記憶して、必要なときに頭のなかでページをめくる。子どものころから強く印象に残ったものも映画のようにこころに残っていて、カメラワークやアングルを鮮明に覚えているんです。“思い出す”というより“残ってる、まだある”という感じかな。だから今でも“撮影”当時と同じようなアングルに出合うと、身体の感覚までさぁーっとよみがえる。今よりずっと軽くて、ちっちゃいひざこぞうやサンダルからのぞく足の指まで見えてきます」
そしてゆっくりと瞬きして「その記憶がいとおしい」とつぶやく。
「そういう少女心や乙女心って、女はこころのまんなかに大切にしまっているもの。でも男のひとは少年心を見せびらかしたくなっちゃうみたい。『かわいいでしょ?』って! だから乙女心がわからないんじゃないかな(笑)」
小さいころから見るもの聞くことが気になり、考えすぎて慢性的に睡眠不足だったという小泉さん。そうして至ったのが「ものごとはすべて変化するもの」という境地。
「ある意味、どんなことが起きても失望しないように自己防衛していたのかもしれません。気がついたら予測もつかない大変なことが起きても、楽しむことを覚えてた。『新しい体験ができておもしろいじゃん!』って」
だから“いま”にしがみつくことはないし、明るい未来を夢みることもなかった。
「でももう先が短くなったから具体的に考えてます(笑)。将来仲間と土地を買ってコミューンをつくろう、とかね。40歳になったとき、ちゃんと死にむかって生きていると実感したら、なんだか安心した。生まれることと死ぬことはきっとおなじ。10代、20代、30代とがんばってきたら、こんな楽しい40代が待ってたんだよね。30代は、どうめんどうかって? それは自分で体験しなさい! 飛び級はしちゃダメよ」
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