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Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ
Kenichi Matsuyama 1985年、青森県生まれ。『デトロイト・メタル・シティ』(李闘士男監督)で第32回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、2008年は飛躍の年に。1月クールの連続ドラマ『銭ゲバ』(日本テレビ系)の主演ではじまった09年は6月6日公開の『ウルトラミラクルラブストーリー』(横浜聡子監督)、『カムイ外伝』(9月19日公開予定、崔洋一監督)、『ナクシタキオク(仮)』(09年公開予定、ハンスカノーザ監督)が待機中。
http://www.horipro.co.jp/hm/matuyama/
森 鈴香(ジェイヌード) =インタビュー、文
奥村恵子(Image)=写真
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松山ケンイチ インタビュー
今日の気分は ワン・トゥー・スリー
こんど監督に会ったら聞いてみたい。
「やりたいことが、ぼくでできましたか?」って。
監督の真意をとらえきれて
いなかったかもしれないし
ぼくの感じたことが観てくれるひとたちに
完璧に伝わるかもわからない。
だからおもしろいんですけどね
ほんとうのリラックスは
ストレスのなかにある
「ぼくにとって大事なのは、ストレスなんだと思うんです」
1年前のインタビューでは「一日じゅう頭を休めることができない」と話してくれた松山ケンイチさん。「なぜあんなにリラックスしたかったんだろう」と当時の自分に疑問符を投げかけながら、静かに“いま”を語りはじめました。
「ちょうど昨日気づいたんです。ぼくが本当に求めているのは外に出てひととコミュニケーションすることだって。お芝居でいえばアドリブみたいなもので、いい意味でストレスや緊張を感じるんです。この感覚いいなぁ、と。それがぼくにとってはリラックスしている状態なんです。こういう取材もそう。客観的に自分を知ることができたり、引き出されたり。それがすごくおもしろくて刺激になる。でも一日じゅういろんな取材を受けると、後半は取り調べされてるんじゃないかと思うこともありますけれど(笑)」
昨日発見したばかりの最新トピックスを明かしてくれた松山さんは、いい意味でのストレスを楽しむかのように、近況をすがすがしく言葉にしはじめました。
「どの作品に出演するか。以前はやりたくないものはやらない、やりたいものだけをやる、自分の意思をはっきり伝えなきゃと思っていました。でもそれは驕りでした。ぼくの“まだまだ”なところは、そのときに考えていることや気分で物事を決めてしまうこと。先を考えられないんです。でも周りにはぼくの先を見てくれるひとがたくさんいる。そういうひとたちのことを意識していなきゃいけないし、ときには信じてみることも大事かなと思うんです。自分がすべてと思うのは、ちがうんじゃないかって。もちろん自分を信じているし、やりたいことをやるという気持ちに変わりはありません。むしろ、だからこそ周囲の言葉に耳をかたむけてみようと思うんです」
その意識の変化は表現にもいい影響をおよぼしているのではないかとたずねると、それはないと松山さんは断言します。
「芝居じたいは変化していくんじゃないでしょうか。でもキレイにまるくおさまるようなことは絶対ないかな(笑)」
耳をすませば
あちこちから
聴こえてきたものが
あります
「東京に住み、仕事をしているけれど、ほんとうに“住む”という行為と認められないところがあって。自分でちゃんと『住んでいるんだ』と納得できる土地に住みたいという気持ちはずっとあります」
こころはいつも生まれ育った青森にあるということを、松山さんは「ひさしぶりに帰っても、時の移り変わりを感じることがない」という言葉で表現します。
そのふるさとを舞台にした映画が誕生しました。
「ロケ地の風景は、幼いころに見たものとおなじでした。ひさしぶりに土いじりもできたし、近くに祖母の家があって、顔を見にいったりもしました。そういう状況だと役をはなれて自分自身に戻ってしまう。休日のような感覚になることもありましたし。オンとオフの感覚がメリハリなく交ざりあいながら演じていました。こういう体験ははじめてでおもしろかった。青森で撮ったことに意味があったんでしょうね」
最新作『ウルトラミラクルラブストーリー』は監督の横浜聡子さんも青森出身。
「こんなに青森色が濃い作品に参加する機会は、この先もう来ないんじゃないかな(笑)。そういう意味でも、ぼくにしかできない役だと思ったんです」
この作品で松山さんが演じたのは、ヘンテコ農業青年の陽人。子どもみたいに大地をかけまわり、まっすぐな気持ちでぶつかっていく。その言動は奇想天外で、ストーリー全体もやはり奇想天外。
「でもぼくは現実にいる人間として陽人を演じていました。どんな役であっても、現実に存在する人間として成立させることが、役者としての最低限の仕事だと思うんです。でも現実のなかにもファンタジーはある」
陽人が恋する町子の元恋人、要は交通事故に遭い首が行方不明。すでにこの世にいない要にあてて、陽人は町子への想いを手紙にしたためて送り続けています。するとある日、道端で首のない要にバッタリ会い、ふたりは他愛もない会話を交わし、こころをかよわせる。なんの違和感もなく。
「この作品では現実感とファンタジーの両方をうまくまぜあわせることができました。劇とよばれるものは、ファンタジーの要素を色濃く入れながらも、現実のこととして成立させることができる。それはすごいことだし、ぼくもそれを意識して演じています。ぼくは役というものに夢や希望、あこがれを感じていたい。陽人はその欲求を満たしてくれるキャラクターでした」
そして「陽人のテンションは松山ケンイチにはないテンション。撮影中はカメラがまわっていないときも陽人でいたいと思わせてくれた。作品のなかで自分が自由を感じる、そういう感覚をはじめて体験させてくれたのも陽人でした」と松山さんは笑顔で話してくれました。
「芝居の技術的なことは、まったくわかりません。でもすこしずつ技術はついてきているんじゃないかな。以前、『技術や演技力はあとからついてくるもの。大事なのは気持ちだよ』と教えられたことがあって、心配してないんです。自分に必要なのはひととのコミュニケーション。周りを知るということなんです」
そしていま大切にしていることを、もうひとつおしえてくれました。それは自分のなかや周囲で響いているたくさんの“リズム”。
「ひとにはそれぞれリズムがある。物語の登場人物にも、です。そのリズムを感じるのが、いますごく好きなんです。きっかけは音楽を聴いていたら、メロディーや歌詞よりもリズムが気になるようになってきたこと。このリズム好きだな、気持ちいいなって。心地いいリズムは自分のなかにも響いています。そうしたら、いろんなもののリズムが感じられるようになってきた。それを感じることが、いま大事なんです」
そのリズムの存在に気づかせてくれたのは連続ドラマ『銭ゲバ』で演じた風太郎。
「撮影中、自然に指が机なんかをコツコツとたたいていたんです。しかもそのリズムは、一定じゃなくて刻々と変化していく。おもしろいですよね。それだけたくさんのリズムを風太郎は感じていたんです」
ではここ最近、松山さんに響いているのはどんなリズム?
「3拍子、かな?」と照れ笑いをしながら、松山さんの指はテーブルの上で軽くリズムを刻んでいました。
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