Step ahead 日本女性としてさらに輝く先へ

戸田恵梨香

Erika Toda 1988年、兵庫県生まれ。2010年は現在放送中の『ライアーゲーム シーズン2』(毎週火曜21時~、CX系)のほか、映画『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』(松山博昭監督、3月6日公開)、1月11日スタートの連続ドラマ『コード・ブルー─ドクターヘリ緊急救命─2nd season』(毎週月曜21時~、CX系)、ドラマスペシャル『奇跡の動物園2010~旭山動物園物語~』(放送予定)が待機中。 http://www.flamme.co.jp/ErikaToda/flm_profeto.html

森 鈴香(ジェイヌード)
=インタビュー、文
奥村恵子(Image)=写真


戸田恵梨香 インタビュー
ココロヲヒラケバ

一度買った本は捨てられないんです。
幼いころから本のおもしろさを
話してくれた父が
何十年もおなじ本を読み続けていて
「読むたびに読みかたがかわって
おもしろいよ」っておしえてくれた。
だから将来のわたしのために
置いておきたいんです。


読むクセがついたときは
もう本のなかにいました


「最近、台本を手放したことがないので、なかなか本が読めないんです」
 本に囲まれて、戸田恵梨香さんはぽつりとつぶやきました。
「本を読みだすと止まらなくなってしまうんです。考えこんでしまうし。だから台本を手にしたら本は我慢(笑)!」
 そんな戸田さんも幼いころは本が苦手だったそう。読んでいたのはもっぱら絵本だったといいます。
「父からもずっと本を読みなさいって言われてたんですけれど……。でもこのお仕事をはじめて、マネジャーさんから『感性が磨かれるし日本語の美しさも学べるから読んでごらん』ってたくさん本を渡されたんです。最初はおっくうだったけれど、文字を追っているうちに、いつしか本が好きになったんです」
 ぶらりと本屋に立ち寄って、タイトルや装丁が気になると手にとってみる。戸田さんの本との出合いは、そんな直感と友人やファンからの贈りものだそう。
「『不思議の国のアリス』のしかけ絵本(大日本絵画)をファンの方からいただいたら、偶然にも親友が誕生日に英語版(Little Simon)を贈ってくれたんです。この2冊はずっと大切に部屋に置いています。それから、ある女性のファンの方が贈ってくださったパウロ・コエーリョの『アルケミスト─夢を旅した少年』(角川文庫)は、その当時の自分が求めていたこと、だいじなものをおしえてくれた特別な本。だから何度も読み返してしまうし、おなじ作家の作品をそろえてしまいました」
 役者という仕事をするなかでの、もうひとつの本との出合いは出演する作品の原作。戸田さんにとっては、物語を知るということより、自分が演じる役を“探る”ための本だといいます。
「でもたとえば『流星の絆』(TBS系)では東野圭吾さんと宮藤官九郎さんが描く有明静奈ではまったくちがうんです。台本を読ませていただいたとき『原作を読まなければよかった!』って思ったほど(笑)。でもそのちがいこそがおもしろくもあり、観てくださる方々にも楽しんでいただけたんじゃないかなと思います」
 現在出演中の連続ドラマ『ライアーゲーム シーズン2』、そしてまもなく公開する映画『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』の原作『LIAR GAME』は2年半前、連続ドラマ『ライアーゲーム』ではじめて神崎直を演じる前に読みはじめたそうです。
「でもあえて最後までは読まなかったんです。いつしかドラマのなかの直は直として歩きはじめていたから」


「いつかはあの地へ」
その想いは明確です


「『ライアーゲーム』を映画にしたい」という念願がかなったよろこびと、2年半という年月を経て変化した自分自身と直との距離への不安や恐れ。戸田さんは複雑な心境に襲われたといいます。
「完成作を観るのは怖いです。外見的にも内面的にも変わったわたしが演じる直を受け入れてもらえるのかなって。でも、このスタッフでつくる世界観はテレビのなかでも、まちがいなくいい意味でほかにはない異様な空気を発しているという自信もある。『シーズン1』でこの作品のもつ力に影響されたりひきずられたり考えつくして、それを乗り越えて今があると思っています。だから映画は確実にパワーアップしているはずです。主演という肩書にもすくなからずプレッシャーはありました。でもそれも撮影初日に消えました。ただ、お芝居がほんとうに好きで、どんなに未知で苦しい挑戦だって楽しめる自分にもどっていたんです」
 戸田さんが演じる神崎直は、頭脳と感覚を研ぎ澄ませ、騙しあい蹴落としあう人びとのなかで唯一、正直すぎる女の子。だからこそあえて作品世界にどっぷりつからず、フラットな状態を保つことを意識したといいます。観るひとが共感できる人物でありつづけることで、作品に潜むメッセージを伝えられる。それも直の役目だと戸田さんは考えます。
「それに、ほかの個性的なキャラクターたちがさらに際立ちますよね。わたし、どちらかというと受け身なんです。お芝居ってコミュニケーション。だから受けたものを受けっぱなしにするのではなくて、返していかなければいけません。相手の役者さんから受け取ったものをすなおに感じとるお芝居って、自分の枠にけっしてはまらないし、幅も広がる。だからそんなお芝居のやりかた、在りかたが好きなんです。そして役者としてそうあらねばならないと思っています」
 そして「わたし自身もオープンなんです」と笑います。壁をつくらないのは、ひとが好きだから。「もっとあなたをおしえて!」とこころを全開にしているから、お芝居でも相手を受けられるのかな、と戸田さんはいいました。
 そんなふうに開いたこころは新しい年になにを感じとっていくのでしょう。
「2009年もまた! あっというまでした(笑)。その前の年の年末からイタリアで撮影をしていて、帰国したらすでに3月。完全にタイムスリップです(笑)。もう春だ!って。そのあとの季節も怒涛のように過ぎていきました。ひとことでいうなら“動”の年。いろんな役と出合って、闘いもしたけれど濃くて楽しい一年でした。でも2010年は季節をちゃんと感じたいし、そのときそのときを生きている自分を感じていたいんです」
 周囲からも「仕事しすぎだよ」と心配されるほど。でも心配してくれた監督から出演のオファーが来ることも。
「呼んでいただいた作品にはすべて参加したいんです。でも役を“こなす”ことだけは絶対にしたくない。それは作品にかかわるすべての方、そして役に対しても失礼なことです。だからひとつひとつの役に没頭する時間がほしい。そう言いながら、どの作品も『すてきだな』って思ってしまって、バタバタバタと怒涛の日々が……(笑)。でももう22歳になりますし、自分をプロデュースできる余裕をもっていきたいんです。ゆったりと自分を見ながら、年を重ねていきたいんです」
 そして強くまっすぐな目を向けます。
「役に近づくためにできることって、まだたくさんあると思う。自分なりにもっと追求できるはず。たとえばハリウッドの役者さんは、ひとつの役づくりにとても時間をかけられるそうで、いつかそういう環境でお仕事がしてみたいんです。それはすごく明確な夢ですね‼」