内容紹介ページ

乾いた心に、藤沢周平。

藤沢作品の魅力をビジュアルに展開する、全30冊
2006年11月2日(木)創刊

蝉しぐれ(創刊号)用心棒日月抄シリーズ(2号)三屋清左衛門残日録(3号)
たそがれ清兵衛(4号)隠し剣孤影抄/隠し剣秋風抄(5号)など続々登場。

●創刊号
 特別綴じ込み別冊(20ページ)

・藤沢周平の書斎再現イラスト
・座談会「藤沢周平の魅力を語る」
・年表、単行本全装幀
 ほか

 

●創刊号~5号
 綴じ込み付録

・蓬田やすひろ
 渾身の描き下ろし表紙絵のポストカード

2号は11/16発売、以降毎週木曜日発売
創刊号サービス定価400円(税込)第2号以降定価560円(税込)
A4判変型・逆中綴じ・オールカラー36ページ(創刊号は44ページ)
お求めは書店、ASA(朝日新聞販売所)でどうぞ。
※輸送事情により一部地域の発売日が異なります。→内容一覧はこちら

逆境の中でも凛として生きる男と女。
珠玉の時代小説を描き続けた藤沢周平。

藤沢周平の主人公たちが生きた時代をリアルに再現。
深く豊かな作品世界、そのさまざまな楽しみ方をお伝えします。

 
特色1 小説のハイライトを美しい写真とともに。

 小説の名場面を、その舞台となった土地やイメージを喚起する美しい写真とともに紹介。藤沢周平の端正な日本語が存分に味わえます。


 
特色2 「あの時代」をイラストで再現。

 立派な天守閣をもつ海坂城や城下の小料理屋。江戸・小伝馬町の牢内、長屋や大店。浪人の生活や武士の処分など、小説に登場する「あの場所」「あのシーン」「この生活」をイラストで克明に再現。小説の世界に深く入り込めます。


 
特色3 人気作品のストーリーが、マップで一目瞭然。

 架空の藩「海坂藩」で展開するストーリーも、江戸時代の切絵図で精密に場所を特定できる江戸ものも、毎号掲載「ストーリー・マップ」で一目瞭然です。「人物相関図」で、複雑な人間関係も整理でき、藤沢周平作品がますます楽しくなります。


 
特色4 作品を楽しむための歴史的知識を。

 作品の時代背景や、作品に登場する実在の事件、人物などを第一線の専門家が解説します。豊富な写真や歴史図版で、歴史や風俗がよくわかります。



◆作家、エッセイストが綴る藤沢文学の魅力。

 山本一力、杉本章子、関川夏央、宇江佐真理、重松清、出久根達郎、北原亞以子、岸本葉子ら、著名な作家やエッセイストが、藤沢文学の読みどころやポイントを綴ります。独自の視点で作品の見方が広がります。

 

◆著名人が愛する「この一冊」。

 仲代達矢、小室等、倉田真由美、篠田三郎ら各界の著名人が、藤沢作品の魅力について語るコラム「この一冊」。藤沢文学の新たな魅力に出合えます。


◆松本健一による本格的評論。

 評論家・松本健一が毎号鋭い切り口で、藤沢文学を解剖します。三島由紀夫や司馬遼太郎などとの比較も交えて縦横無尽に論じます。

 

◆お役立ち「旅」情報と庄内の「味」。

 旅をするときのお役立ち情報「作品の舞台を訪ねる」や、レシピもわかる「海坂の食卓」で、藤沢周平の世界を追体験できます。


自作再見 藤沢周平
 小説は想像力の産物である。たとえば歴史小説にしても、いくら事実を積み重ねてもそれだけで小説が出来るわけではない。そこによき想像力が働きかけて、はじめて小説が生まれる。まして時代小説は、ひとことで言えば想像力が命だろうと思う。
 こういう考え方からすると、時代小説を書く場合には、想像力の自由な飛翔をさまたげる制約は、少ないに越したことはない。一例をあげれば、裏長屋に住む素姓も知れない浪人者などというのは恰好の素材で、私がむかしから夢みている物語の主人公と言ってよい。
 しかし実際にはそういう小説はなかなか書きにくくて、私は謎の素浪人を書くかわりに、大ていは日日の城勤めに追われる微禄の藩士の話などを書く。なぜそうなるのかといえば、ひとえに物語に真実らしさを付与したいからにほかならない。嘘が見え透くような小説を書いても、人は読んではくれないだろう。
 といっても、真実らしさ、つまり現実感を取り入れることが物語の虚構性をうすめるなどと言っているわけではない。話はむしろ逆で、現実もまた虚構の巨大な集積なので、現実に似ている虚構が、描こうとしている真の虚構により近いと言っているにすぎない。
 そんな次第で、私はやむを得ず主人公の剣士に藩という枠をはめ、身分や役、家といった制約をあたえる。制約のない人生などどこにもなく、人は社会や家、肉親のしがらみに縛られている。それがすなわち現実を生きるということの中身だとすれば、私の小説の主人公たちも、あたえられた制約によって、虚構の中の現実を生きるわけである。
『ふるさとへ廻る六部は』「自作再見──隠し剣シリーズ」より

『藤沢周平の世界』を推薦します。

岸本葉子

エッセイスト。1961年、神奈川県生まれ。旅や日常生活をテーマにした著書多数。近著に『がんから始まる』『ぼんやり生きてはもったいない』など。


藤沢さんが描く女性たちは、抑制が効いているけれども必ずしも運命に従順ではないところが好きです。『蝉しぐれ』のおふくも『海鳴り』のおこうも、要所要所では決断し、行動を起こす。その姿に、時代を超えて共感を覚えるのです。

 

松本健一

評論家。1946年、群馬県生まれ。日本の近代思想・政治と近現代文学についての著書が多い。主な著書に『評伝北一輝』『泥の文明』『三島由紀夫の二二六事件』など。


藤沢周平は、生き方がすっきりしていて背筋が伸びた人びとを描く。背筋の伸び方は男と女、登場人物それぞれで違うけれども、あり得べき日本人の生き方が生き生きと描かれているから、ここに心のふるさとがある、と懐かしく感じるのです。

仲代達矢

俳優、「無名塾」主宰。1932年、東京都生まれ。映画、ドラマ、舞台で活躍。1993年、NHK金曜時代劇「清左衛門残日録」で三屋清左衛門を演じた。


藤沢さんは、人間は結局は死にゆくもの、そのはかなさゆえに愛すべきものだと思っていたのではないでしょうか。三屋清左衛門を演じながら、この晩年の明るさは、虚しさや暗さを知ったうえの超越だと思いました。藤沢作品は映像化したいシーンに満ちています。

専用ファイルも同時発売
 

価格 1,200円(税込)/1巻
本誌10冊収納(ファイル3巻で全冊収納)

お得なファイル3巻セットもあります。(本誌30冊収納)
創刊サービス価格(2007年1月末日まで)2,500円(税込)


※写真はイメージです。色・デザインを変更する場合があります。あらかじめご了承ください。