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第20回國華賞贈呈式
第20回國華賞(2008年度)の受賞者が決まり、次の3作、5名の方々に贈呈されました。同賞は日本および東洋の美術に関する優れた研究に対して、毎年、國華賞顕彰基金から贈られます。本年度の選考は、紺野敏文氏(慶応大学名誉教授)を委員長とする14人の國華賞選考委員により行われました。
今回からは國華賞の一部門として展覧会図録を選考対象とすることになり、上記の3作のうち1作は第1回目の展覧会図録賞に選ばれたものです。
美術史研究のうえで展覧会活動を正当に評価すべきだという声は選考委員会・運営委員会の中でも数年前から高まり、検討を続けてきました。本年は『國華』創刊120年を記念して7〜8月に『対決─巨匠たちの日本美術』展(東京国立博物館)が開催され、國華賞は20周年を迎えましたので、図らずも展覧会図録賞を新設するのにふさわしい年だったといえるでしょう。
 第20回國華賞受賞者の方々。前例右から日高、浅野、田辺、後列右から相澤、橋本の各氏。 |
[國華賞]
相澤正彦氏(成城大学教授) 橋本慎司氏(栃木県立美術館特別研究員)
『関東水墨画─型とイメージの系譜』 (国書刊行会、2007年5月)
日高薫氏 (国立歴史民俗博物館准教授)
『異国の表象─近世輸出漆器の創造力』 (ブリュッケ、2008年2月)
[國華賞(展覧会図録賞)]
浅野秀剛氏(大和文華館館長) 田辺昌子氏(千葉市美術館主任学芸員)
『鳥居清長─江戸のヴィーナス誕生』』 (千葉市美術館主催、2007年4月)
贈呈式は10月30日、東京・築地の朝日新聞本社レセプション・ルームで行われました。秋山耿太郎朝日新聞社社長が冒頭にあいさつ、続いて河野元昭國華主幹から受賞者に賞状・副賞・記念品が手渡され、紺野敏文選考委員長が選考経過を報告しました。
■選考理由
著者2人は1998年から神奈川県立歴史博物館、栃木県立博物館で開催された『関東水墨画の二百年』展にかかわり、その成果を踏まえたうえで、長年の調査研究によって収集した関東地域の室町水墨画の作例と史料を分類・検討して本書(本文編・図版編・資料編の3部)にまとめあげた。さらに「祥啓と夏珪様式の導入」「雪村と雪舟、牧谿・玉澗様式」「関東における狩野派様式」「牧谿様式の伝統」などの論考を通してこの分野に様式史的展望を与え、今後の研究に大きな拠り所を築いた。
■略歴
相澤正彦氏
1954年、横浜に生まれる。82年早稲田大学大学院文学研究科美術史学科博士課程修了、77年同大学文学部副手、82年神奈川県立博物館(現歴史博物館)学芸員、2004年成城大学文芸学部芸術学科教授。
橋本慎司氏
1963年、宇都宮に生まれる。86年立教大学文学部史学科卒業。高等学校教諭を経て91年栃木県立博物館研究員。2001年同県立美術館主任研究員となり、現在、同館特別研究員。
■選考理由
近世を通じて海外へ輸出された漆器は、英語では「ジャパン」と呼ばれ、日本の美術工芸品の代名詞とされるほどもてはやされた。その研究も海外のほうが先行したが、著者は地道な現地調査と国内外の研究成果を踏まえ、輸出漆器を日本漆芸史との関連で、より広い視野から体系的に捉え直し、その特質を明らかにした。近世輸出漆器の全体像を示し、多くの論点を整理した点で、今後の研究に大きな可能性を与えるものである。
■略歴
日高薫氏
1961年、鹿児島県に生まれる。85年東京大学文学部卒業、90年同大学院博士課程単位取得満期退学。同大学文学部助手、共立女子大学国際文化学部研究助手を経て、94年国立歴史民俗博物館情報資料研究部助手、2002年助教授、現在同館研究部准教授。08年より総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専攻准教授を兼任。
■選考理由
鳥居清長は浮世絵史上重要な絵師の一人として名は知られながら、今日にいたるまで学術的考察が充分とはいえなかった。その彼の作品を千葉市美術館「鳥居清長」展で多数、収集・展示し、図録に収録。質の高い図版と論文により清長の浮世絵の真価を示したことは、この分野の美術史研究に大きな意味をもつものである。同館における過去の一連の浮世絵展も、清長展につながる重要な要素として評価された。
■略歴
浅野秀剛氏
1950年、秋田県に生まれる。74年立命館大学理工学部数学物理学科卒業。85年千葉市教育委員会勤務、91年同市教育委員会美術館開設準備室学芸員、95年千葉市美術館学芸員、2003年同館学芸課長。08年財団法人大和文華館館長。
田辺昌子氏
1963年、東京都に生まれる。86年学習院大学文学部哲学科卒業、88年同大学人文科学研究科博士前期課程修了、美学美術史専攻。88年財団法人永青文庫学芸員、91年より千葉市美術館開設準備室を経て千葉市美術館学芸員。現在、同館主任学芸員。
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