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第21回國華賞贈呈式


第21回國華賞(2009年度)は選考の結果、國華賞、同賞(展覧会図録賞)、國華奨励賞がそれぞれ次の受賞者に贈呈されました。同賞は日本および東洋の美術に関する優れた研究に対して、毎年、國華賞顕彰基金から贈られます。本年度の選考は、佐野みどり氏(学習院大学教授)を委員長とする13名の國華賞選考委員により行われました。
展覧会図録賞は昨年度から國華賞の一部門として新設されたもので、今回は第2回目です。
同賞受賞作は最終選考に残った図録4点(栃木県立美術館ほか、徳川美術館、府中美術館開催の展覧会図録)のうちから、とくに収載論文の充実度や企画と図録の構成力が評価されて選ばれました。



第21回國華賞受賞者の方々。中央が代理出席の小川夫人、右が塚本、左が森實の各氏。

[國華賞]

小川裕充氏(東京大学東洋文化研究所教授)

『臥遊 中国山水画—その世界』
(中央公論美術出版、2008年11月)



[國華賞(展覧会図録賞)]

塚本麿充氏(大和文華館学芸部学芸員)

『崇高なる山水—中国・朝鮮、李郭系山水画の系譜』
(大和文華館主催、2008年10月)



[國華奨励賞]

森實久美子氏(奈良国立博物館研究員)

『華厳海會諸聖衆曼荼羅についての一考察—図様の源泉と思想背景を中心に』
(『國華』1362号所載、2009年4月)



贈呈式は10月29日、東京・築地の朝日新聞本社レセプション・ルームで行われました。秋山耿太郎朝日新聞社社長が冒頭にあいさつ、続いて河野元昭國華主幹から受賞者に賞状・副賞・記念品が手渡されました。國華賞受賞の小川裕充氏は海外調査で不在のため、夫人が代理出席。佐野みどり選考委員長が選考経過を報告したあと、同会場で和やかな祝賀会が催されました。

[臥遊]

■選考理由
「臥遊」は中国南北朝時代の画家・宗炳が提唱した山水画作画の概念で、「画家自身が過去に訪れたことのある場所を自ら画いてそれを眺め、坐したり臥したりしながら、居ながらにして再訪、三訪し遊ぶこと」。著者は具体的な作例に即しながらこの概念を分析して、山水画の造形手法と原理を導き出し、その視点から壮大な中国山水画史の流れを論述。また世界各地に遺る作品から厳選された137点の作例と論考、および巻末の網羅的な資料・索引を綜合して、中国美術研究の理論と絵画史に大きな拠り所を築きました。
■略歴
小川裕充氏
1948年、大阪市に生まれる。73年、東京大学教養学部教養学科卒業、79年、同大学院人文科学研究科博士課程中退(美術史学専攻)。同年、東京大学東洋文化研究所助手。東北大学・東京大学助教授を経て、92年より、東京大学東洋文化研究所教授。その間、ハイデルベルク大学客員教授(90年)、北京日本学研究センター客員教授(93年)、美術史学会代表委員(2000〜02年)、東方学会理事(03〜09年)を歴任。

[崇高なる山水]

■選考理由
五代・北宋の画家、李成と郭煕の山水画様式が清代の中国・朝鮮の山水画に至るまで広く深い影響を与えたことを企画展の収集展示作品によって示し、図録の論文では北宋の都・開封に開設された文化施設、三館秘閣が地方画の収集を含めて李郭画の集大成に大きく貢献したこと、北宋の国家的な意思として郭煕画が高麗に下賜され、そのことが中国・朝鮮の山水画の太い柱となって後世にまで影響を与えていることを論述して、この分野の新たな研究に確実な視点を提供しました。
■略歴
塚本麿充氏
1976年、福井市に生まれる。2001年、東北大学文学研究科東洋・日本美術史博士前期課程修了、同年9月〜03年8月、南京師範大学美術学院(中華人民共和国政府奨学金給付)、03年9月〜04年8月、国立台湾大学芸術史研究所に留学(中華民国教育部奨学金給付))。05年より現職。

[華厳海會諸聖衆曼荼羅についての一考察]

■選考理由
京都・高山寺所蔵の「華厳海會諸聖衆曼荼羅」に関する論考。鎌倉時代初期の高僧、明恵上人の思想・信仰を絵画化したとされる本曼荼羅の図様を分析し、諸聖衆の形姿が新知見の高麗の華厳経関連遺物に描かれたものと近似していることを論証し、その背後に中国・宋時代の源流が想定されることを論述している。また高山寺内の曼荼羅の存置の場所についても明恵の思想的背景との関連に精緻な論考を加えている。本曼荼羅と図様が類似した具体例の発見は画期的であり、その点が論述の的確さともに評価されました。
■略歴
森實久美子氏
1980年、静岡生まれ。2003年、大阪大学文学文学部卒業、05年、大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。09年7月より奈良国立博物館研究員。