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戦後60年が、ようやく終わってくれる。 戦後の日本外交にとってもっとも惨めな年が、ようやく過ぎ去ってくれる。 先達が営々と築いてきた対中、対韓外交の足場が音を立てて崩れていった。日本外交はゼロから出直しである。 そこで、新年を迎えるに当たり、心機一転、日本外交の新たなブランドを構築するための見取り図を描いてみたい。 それには、戦後の日本の歩みの中から、普遍的な価値を持ちうる経験と理念を抽出し、それを外交力に結集させることだ。 それらを結晶化させれば日本外交のブランドをつくれる。それぞれが光を発する多面体のブランドである。その力を以下の七つに絞り、それを日本外交レインボー・ブランドと名付けよう。 ◆経済・技術力 ◆民生力 ◆地域安定力 東アジア共同体づくりに向けて日本が果たすべき役割は大きい。このほどワシントンでロバート・ゼーリック米国務副長官と政策協議をした中国の戴秉国外務次官は、「日本は開発面でいろいろなアイデアを持っているのが強み」と述べたという。 もちろん、日米同盟が日本の大きな強みであることは間違いない。それは20世紀に日本が手に入れた最大の外交資産といっても過言ではない。しかし、日米がそれに独占的、排他的に立てこもるのではなく、アジアのための安定力として地域協力を促すために役立てるべきだ。日米同盟を維持、進化させつつ、それをアジアの多角的地域協力と結びつける、つまり、アジア力と同盟力を結びつける。それができれば確固とした地域安定力を持つことができる。 ◆文化力 ◆海洋・森林力 これほど、海の幸のお世話になっているのに、日本が世界とアジアの海洋保全と海洋秩序に主導的な役割を果たしたという話はついぞ聞かない。もったいない話である。森林にしても同じことだ。これほど立派な森林を受け継いできたのに、土建・コンクリ国家建設に邁進してきたため、疲弊させてしまった。それに労働力不足が加わって、森林の保全と管理に手が回らなくなっている。21世紀の大国の風格は、見事な海洋と森林を持つ国かどうか、で決まる。海と森の力は、両方相まって、よりよく引き出せる。「森は海の恋人」(注)なのである。 ◆共感力 そうした日本への共感を聞くことはいまではほとんどなくなった。時たま、ワシントンでエチオピア人やナイジェリア人やバングラデシュ人のタクシー運転手が、見事に“離陸”した日本へのあこがれを語る。 むしろ、日本の私たちが、それらの開発途上国の人々の境遇と挑戦への想像力を持ち、相談に乗るという共感力を研ぎ澄ますことが必要だ。その素地はいまなお日本人にはあると私は思う。その関心をもっと専門的、実践的、国際的に高め、役立てる方法論とネットワークを確立するときだ。 ◆融合力 「文明間の対話」は、21世紀の世界政治においてきわめて戦略的な課題となってきた。 日本は、古くから文明の交差点──あるいは吹きだまり──に位置し、諸文明の滋養を適当な時差を置きながら吸収してきた。文明の融合力の冴えを発揮してきた。21世紀、日本文明は、米国文明と中国文明のはざまに置かれる。それをも持ち前の融合力でうまく調合する柔軟性を維持したいものである。そうした日本は「アジア太平洋フュージョン(融合)」の貯水池ともなるだろうからである。 七つの力は、顕在力と潜在力と、さまざまである。それらをレインボー・ブランドにするには、それを再発見し、その力を発揮する意思と覚悟が要る。 注 『森は海の恋人』(畠山重篤著、北斗出版) |
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