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非ネイティブによる英文学のパイオニア

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非ネイティブによる英文学のパイオニア

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'Heart of Darkness 闇の奥'、'Lolita ロリータ'、'Things Fall Apart 崩れゆく絆' といった作品をはじめとする数え切れないほどの英文学の古典が、第一言語が英語ではない作者によって書かれているということをご存じですか?非ネイティブの作家による英文学の貢献についてもっと詳しくみてみましょう。

非ネイティブによる英文学のパイオニア

英文学を専攻している学生であれば、'Heart of Darkness 闇の奥'、'Lolita ロリータ'、'Things Fall Apart 崩れゆく絆' といった作品をすぐに思い浮かべることができますよね。これらをはじめとした数え切れないほどの英文学における有名な作品が、第一言語が英語ではない作家によって書かれているのです!

Joseph Conrad はポーランド出身で、大人になってから英語を学びました。それでも彼の作品はそれが書かれてから100年がたった今でも研究の対象となっています。映画化された作品も数多く、Francis Ford Coppolaによる 'Apocalypse Now 地獄の黙示録'の元となったのが 'Heart of Darkness 闇の奥' なのです。

ロシア人の Vladimir Nabakov は彼の最も有名な(そして賛否の分かれる)作品、'Lolita ロリータ' に決して満足することはありませんでした。というのも、彼の英語が“imperfection 不完全である”ということなのですが、彼の作品はその繊細で熟達した言葉遣い、つまり洗練された表現、巧妙な言葉遊び、そして頭韻によって英語圏の国全体で賞賛されたのです。

Chinua Achebe はアフリカ英語文学の父として称賛されています。彼の処女作である'Things Fall Apart 崩れゆく絆' では、彼の生まれた国であるナイジェリアの歴史や文化が描かれていて、これに刺激を受けた Chimamanda Ngozi Adichie のような他のアフリカ人の作家がイギリスの植民地主義を批判する英語作品を書くきっかけとなりました。

現在では、英語を話す非ネイティブの数がネイティブスピーカーの数を上回っているため、他の言語を母国語とする英文作家が顕著になっていることは驚くほどのことではありません。英語圏の子供たちは、児童文学のベストセラー作家 Roald Dahl の作品を読んで育ちますが、彼自身は子供の頃家でノルウェー語を話していました。日本人のHaruki Murakami は子供の頃から西洋文化に触発されいて、現在では彼の作品によって西洋文化に、貢献しています。

毎年最高の英文学を表彰するMan Booker Prizeの受賞者を見れば、それがイギリス人、カナダ人、オーストラリア人の作家によって独占されている訳ではないということがわかります。受賞者には、トリニダード出身のV.S. Naipaul ('In a Free State')、ナイジェリア人のBen Okri ('The Famished Road')、日本人のKazuo Ishiguro ('The Remains of the Day') 、インド人のKiran Desai ('The Inheritance of Loss')、Aravind Adiga ('The White Tiger')、Arundhati Roy (息をのむほど美しい作品 'The God of Small Things')が並び、Salman Rushdie の'Midnight's Children' は、Booker of Bookers でも最高位を受賞しました。

非ネイティブの作家らは、自分のストーリを物語るのに単に英語を借りてきて不器用に使用してみたり、ネイティブスピーカと同じように使おうとするのではありません。Chinua Achebe の言葉を借りれば、彼らは「英語の境界を拡げている」のであって、他の文化を表現するように英語を形作り、育みながら、文学の何たるかに対して価値のある継続的な貢献をしているのです。彼らのようなパイオニアの力なくしては、英語の豊かさや多様性そして表現力はもっと劣ったものとなることでしょう。