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翻訳で失われゆく原文の意味

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翻訳で失われゆく原文の意味

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翻訳過程で失われる原文エッセンス。自分で読めたなら。

翻訳で失われゆく原文の意味

あなたは英語を話せない、なのに、会議に出席して英語の書類を読まなくてはならない。さあ、どうしますか?翻訳文に頼り切る?答えはノー!翻訳は、暫定的な解決策としては役立ちますが、翻訳がなされる過程で、どれほどの意味や情報が失われてしまうか、それを認識している人は多くありません。

では、どんなlost in translationがあるのでしょうか?世界中で展開している企業の失敗例(?)を元に見てみましょう。

- イタリアのトニックウォーター会社が行った販売促進キャンペーンでは、tonic(トニック) が toilet(トイレ)と訳されました。

- ベルギーの自動車製造会社が展開したキャンペーンでは、彼らの製造している車の車体が、body by Fisher(フィッシャー社製の車体)である、といううたい文句だったのが、フラマン語に訳された時には、corpse by Fisher(フィッシャー社製の死体)となっていました。

- 日本の刃物を販売する会社が米国で販売した製品に、「注意」として、Caution: Blade extremely sharp. Keep out of children.(注意:刃物注意。子供から遠ざかるように。)と載せたことがありました。

- フランスの輸入業者が、Made in Turkeyをフランス語に訳した際、Fabrique en Dindeと訳しました。確かに、Dindeは、フランス語で turkeyですが、これは七面鳥のこと。国を意味するturkeyは、Turquieが正しいのです!

どんな言語にも、独特の文法や、幾千通りもの単語の意味やニュアンスがあります。母国語で誰かと会話するときでさえ、何度その意味を確認しながらでないと進まない会話が多いことか!まして、これが英語からの翻訳ともなれば、翻訳にだけたよることで、どれだけたくさんの意味が失われているか、想像してみてください。

翻訳は芸術と同じで、その理解が一通りであるとは限りません。たとえ最高の翻訳者であっても、言葉の微妙なニュアンスまで伝えきることができるわけではないのです。たとえば、翻訳される前は非常に高い評価を得ていた本や詩であっても、翻訳の質によっては、原語からは想像できないほどのひどい評価を受けることもあります。

たとえば、18世紀の有名なスコットランドの詩人ロバート・バーンズがその良い例です。彼の詩は、たくさんの国で翻訳され、今も世界中で根強い人気を保っています ― 日本以外では・・。ある研究者の最近の「発見」によると、彼の詩を美しくしている英語の表現が、日本語版ではまったく失われているそうで、彼の詩の最も有名な一節は、英語に直すとこんな感じになるそうです:"Good luck to your honest friendly face, Great King of the sausages."(あなたの率直で親身な顔に幸あれ、ソーセージの偉大なる王よ。)・・・なんてことでしょう!日本人が誰も、バーンズの詩に心を打たれなかったのは当然ですね!

日本語版のバーンズに起こった悲劇は、翻訳にだけ頼るようになったら、あなたにも容易に起こりえるのです。特に、会話でさえも翻訳ソフトのようなものに頼るようになったら、一体どうなってしまうことでしょう!

翻訳に頼らずに英語を理解しようとするのは、なかなか大変なこと。とはいえ、本当に深く英語を理解し、英語で表現ができるようになるのに最適な方法は、「自分でやる」ことなのです。もしあなたが、この方法で「英語道」を極めたなら、自分を表現するまったく新しい方法を見つけるという、素晴らしい見返りがあることでしょう。