朝日新聞出版は古くて新しい会社です。事業の源流をたどると、朝日新聞社が創刊された1879年(明治12年)の秋に文芸誌を発行したところにさかのぼります。一方、会社組織としては2008年4月に新聞社から独立したばかり。いわば伸び盛りです。
事実、「活字離れ」「出版不況」と言われるなかにあって、朝日新聞出版は元気です。『ゲッターズ飯田の五星三心占い2024』(12分冊)は171万6千部に達しました。毎年150万部を超える本を出し続けている著者は世界でもまれでしょう。子どもたちに大人気の「科学漫画サバイバル」シリーズは累計1400万部に達し、テレビアニメ化も決まりました。ラテン語由来の誌名通り、「時代」を切り取る雑誌『AERA』は2022年および23年上半期で、販売部数を増やした唯一の週刊誌です(日本ABC協会調べ)。
文学賞などの受賞も相次いでいます。2023年度だけでも朝比奈秋さんの『植物少女』が三島由紀夫賞に、小川哲さんの『君のクイズ』が日本推理作家協会賞に、黒川博行さんの『悪逆』が吉川英治文学賞にそれぞれ輝き、東浩紀さんの『訂正する力』は新書大賞2024の2位に選ばれました。
ラインナップの幅広さがお分かりいただけたでしょうか。こうしたバラエティーに富んだ作品を送り出す原動力になっているのは、当社の多彩な人材です。従業員約200人のうち8割は独立後の入社です。同業他社や異業種から様々なスキルやバックボーンを持つ人たちが集まり、新卒の社員も加わってアイデアを形にしてきました。女性の活躍も目覚ましく、管理職に占める女性の割合は40%です。2023年秋には月刊誌『ニュートン』を発行するニュートンプレスの全株式を取得し、グループとしてコンテンツの幅をさらに広げています。
いま力を入れているのはデジタル化とIPビジネスです。二つあわせて、「DXIP(ディグジップ)戦略」と呼んでいます。ニュースサイトAERA dot. が子育て世代向けのサイトや大学情報のページを増設して記事も動画も拡充させているほか、電子コミックの強化とIP展開のためにマンガ部門に多くの経営資源を投入しています。
私たちのモットーは「すべての人に、価値ある一冊を」です。2012年に『週刊朝日』が橋下徹大阪市長(当時)をめぐって、著しく人権を侵害する記事を掲載したことへの反省を踏まえ、策定したものです。私たちは、この言葉を胸に刻み、いい雑誌、いい本、いいコンテンツを届けてまいります。ご期待ください。