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社長メッセージ

すべての人に、価値ある一冊を

代表取締役社長 市村 友一

 朝日新聞出版は古くて新しい会社です。事業の源流をたどると、朝日新聞社が創刊された1879年(明治12年)の秋に文芸誌を発行したところにさかのぼります。一方、会社組織としては2008年4月に新聞社から独立したばかり。いわば伸び盛りです。

 事実、「活字離れ」「出版不況」と言われるなかにあって、朝日新聞出版は元気です。『ゲッターズ飯田の五星三心占い2025』(12分冊)は175万部に達しました。毎年150万部を超える本を出し続けている著者は世界でもまれでしょう。子どもたちに大人気の「科学漫画サバイバル」シリーズは累計1500万部となり、テレビアニメ化され、マクドナルドのハッピーセットにも採用されました。

 文芸作品では辻村深月さんの『傲慢と善良』が電子書籍を含めて100万部を突破し、鈴木裕生さんの『ゲーテはすべてを言った』は第172回芥川賞を受賞しました。さらに、サンリオのキャラクターと世界の古典を組み合わせた「Ichigo Keywords」シリーズは累計120万部。TOEIC受験時の必須本とされる『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』は240万部を超えました。

 ラインナップの幅広さがお分かりいただけたでしょうか。こうしたバラエティーに富んだ作品を送り出す原動力になっているのは、当社の多彩な人材です。従業員約200人のうち8割は独立後の入社です。同業他社や異業種から様々なスキルやバックボーンを持つ人たちが集まり、新卒の社員も加わってアイデアを形にしてきました。女性の活躍も目覚ましく、管理職に占める女性の割合は45%です。2023年秋には月刊誌『ニュートン』を発行するニュートンプレスの全株式を取得し、グループとしてコンテンツの幅を一段と広げています。

 いま力を入れているのはデジタル化とIPビジネスです。二つあわせて、「DXIP(ディグジップ)戦略」と呼んでいます。ニュースサイトと雑誌AERAの編集部を統合して新たに AERA DIGITALがスタートし、子育て世代向けのサイト、AERA with Kids+も厚い支持を得ています。さらに、電子コミックの強化とIP展開のためにマンガ部門に多くの経営資源を投入しています。

 私たちのモットーは「すべての人に、価値ある一冊を」です。2012年に『週刊朝日』が橋下徹大阪市長(当時)をめぐって、著しく人権を侵害する記事を掲載したことへの反省を踏まえ、策定したものです。私たちは、この言葉を胸に刻み、いい雑誌、いい本、いいコンテンツを届けてまいります。ご期待ください。

市村 友一