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終わりと始まり 2.0
池澤 夏樹
950円(本体価格)/1045円(税込価格)
●文学と科学とジャーナリストの眼をもち移動する文化人は、被災地、沖縄、熊本、水俣、ベルリン、ギリシャへと足を運ぶ。苦境の人びとの話に耳を傾け続け、日本の危機、戦争のできる国への変貌を憂える。
「日本文学全集」の個人編集で評判の著者による、コロナ禍の今も読みごたえのある、朝日新聞好評連載の名コラム文庫化第2弾。解説・中島岳志。
かたや小説家として『古事記』の現代語訳にとりくみ、心は古代日本へとぶ。正倉院の御物、高千穂の夜神楽、伊勢神宮へ。映画では有名ラッパーの「アート・オブ・ラップ」の意外な面白さ、トルコの「雪の轍」とウクライナの「ザ・トライブ」から言葉と身振りに注目し、妥協のない検証の姿勢をみる。鶴見俊輔の融通無碍な思考法、ピカソの「フランコの夢と嘘」から政治の国をまとめる詐術、与那国島からの本ではウマとヒトとの仲……縦横無尽な知性がとらえる繰り返し読んでも発見のある59の名コラム。
●「目次」より
憲法をどう論じようか 第一次世界大戦の教訓 災害体験という資産 弱者の傍らに身を置く 隣人と認め合う努力 死にかけの三権分立 東電の責任と倫理観 難民問題を考える トランプ大統領と「事実」 ビッグデータとAI それでも、愚直に選ぶ
●「あとがき」より
一か月を単位として現代史を追ってきた。
明るい話題は少なかった。なんと言ってもこの間の安倍政権というのがひどかった。日本という立憲民主国の品位をとことんまで落とした。更にアメリカには安倍を派手に、大袈裟に、「まさか嘘(うそ)でしょう」級のパロディーにまで拡大したトランプ大統領が登場した。冗談の域を超えた冗談で、しかしこれが現実。そういう五年間だった。それを嘆いても、レトリックを駆使して彼らを揶揄(やゆ)しても、選挙の結果が変わるわけではない。どこまで行ってもぼくたちには言葉しかない。(略)日本についてこうして行きつ戻りつの思考を重ねる。それがこの時代と歩調を合わせて生きるということなのだろう。大義名分を立てて、それに沿って思いを立てるだけなら楽なのだが。
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終わりと始まり 2.0
池澤 夏樹
1500円(本体価格)/1650円(税込価格)
●「日本文学全集」の個人編集で評判の著者による、朝日新聞好評連載中の名コラム書籍化第二弾。
文学と科学とジャーナリストの眼をもち移動する文化人は、被災地、沖縄、熊本、水俣、ベルリン、ギリシャへと足を運ぶ。苦境の人びとの話に耳を傾け続け、日本の危機、戦争のできる国への変貌を憂える。
かたや小説家として『古事記』の現代語訳にとりくみ、心は古代日本へとぶ。正倉院の御物、高千穂の夜神楽、伊勢神宮へ。映画では有名ラッパーの「アート・オブ・ラップ」の意外な面白さ、トルコの「雪の轍」とウクライナの「ザ・トライブ」から言葉と身振りに注目し、妥協のない検証の姿勢をみる。鶴見俊輔の融通無碍な思考法、ピカソの「フランコの夢と嘘」から政治の国をまとめる詐術、与那国島からの本ではウマとヒトとの仲・・・・・・縦横無尽な知性がとらえる繰り返し読んでも発見のある59の名コラム。
●「目次」より
憲法をどう論じようか 第一次世界大戦の教訓 災害体験という資産 弱者の傍らに身を置く 隣人と認め合う努力 死にかけの三権分立 東電の責任と倫理観 難民問題を考える トランプ大統領と「事実」 ビッグデータとAI それでも、愚直に選ぶ
●「著者あとがき」より
一か月を単位として現代史を追ってきた。
明るい話題は少なかった。なんと言ってもこの間の安倍政権というのがひどかった。日本という立憲民主国の品位をとことんまで落とした。更にアメリカには安倍を派手に、大袈裟に、「まさか嘘(うそ)でしょう」級のパロディーにまで拡大したトランプ大統領が登場した。冗談の域を超えた冗談で、しかしこれが現実。そういう五年間だった。/ それを嘆いても、レトリックを駆使して彼らを揶(や)揄(ゆ)しても、選挙の結果が変わるわけではない。どこまで行ってもぼくたちには言葉しかない。(略)日本についてこうして行きつ戻りつの思考を重ねる。それがこの時代と歩調を合わせて生きるということなのだろう。大義名分を立てて、それに沿って思いを立てるだけなら楽なのだが。
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終わりと始まり
池澤 夏樹
700円(本体価格)/770円(税込価格)
移動する文化人として、さまざまな土地を訪れ深い思索を積み重ねてきた作家がつづる、感動、怒り、戸惑い、落胆、祈り──。3.11の大震災と福島原発事故を経て、少数者の居場所、民主主義の多数決の欺瞞などを問う、明晰で情のある名コラム。
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終わりと始まり
池澤 夏樹
1400円(本体価格)/1540円(税込価格)
常に動き続ける遊撃的な作家が、2008年から2013年まで朝日新聞本紙に毎月書いてきた名コラムの単行本化。土地の名や戦争の名はどのようにつけられるか。ミュージカル映画「キャバレー」の一場面で、その老人はなぜ歌わないのか。私たちはデジタル化によって、またテクノロジーの発展によって何を失ったのか。連載開始の3年後にやって来た3.11の震災と原発崩壊。はじめはみんな泣いた。作家は仙台に住む高齢の叔母夫婦のもとへかけつけ、被災地に幾度となく足を運び、考え続けた。天災は避けられないが人災は避けることができる。核エネルギーは原理的に人間の手におえるものではない。原発が生み出す放射性物質を永久に保管するのは不可能だ。東電の言動は、かつての水俣のチッソの言動と重なっていないか。戦後の日本は原発を経済繁栄の道具としてきたけれど、それは「間違いだらけの電力選び」だった。その一方、東北にはこれからの日本を照らす人々がいる。たとえば、悲惨な思いをしてきた人々が集まって一緒に何かをするための陸前高田の「みんなの家」造りに関わった現地の人。あるいは平日は勤めながら、週末は、無人家屋の泥出しや放置された納屋の整備、土木や電気工事など、肉体系のボランティアに当てる女性たち。使命感や義務感を言わず、高邁な理想や隣人愛などを理由にすることもなくさりげなく黙って働く人々。彼らもまた日本の「人的埋蔵資源」なのではないか。原子力、沖縄、水俣、イラク戦争の問題を長年問い続け、東北の被災地に立って深い思索を重ねた作家の、廉直な名コラム48本。
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静かな大地
池澤 夏樹
1000円(本体価格)/1100円(税込価格)
短い繁栄の後で没落した先祖たちのことを小説にするのは、彼らの物語を聞いて育ったぼくの夢だった--明治初年、淡路島から北海道の静内に入植した宗形三郎と志郎。牧場を開いた宗形兄弟と、アイヌの人々の努力と敗退をえがく壮大な叙事詩。著者自身の先祖の物語であり、同時に日本の近代が捨てた価値観を複眼でみつめる、構想10年の歴史小説。第3回親鸞賞受賞作。〔解説・高橋源一郎〕
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静かな大地
池澤 夏樹
2300円(本体価格)/2530円(税込価格)
朝日新聞連載小説の単行本化。明治初年、淡路島から北海道の静内に入植した宗形三郎と志郎。開拓にいそしむ宗形兄弟とアイヌの人々の繁栄と没落をえがく壮大な叙事詩。日本近代が捨てた価値観を複眼でみつめる、構想10年の歴史小説。
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むくどり通信 雌伏篇
池澤 夏樹
1000円(本体価格)/1100円(税込価格)
《むくどり》が飛んでいった先はハワイ・ネパール・北米大陸・欧州・エーゲ海・インド・バリ島などなど。あるいは沖縄のさまざまな事柄を定点観測。新世紀を見据えつつ世界各地の人々とリンクしたいわば池澤夏樹版のホームページ。
【むくどりシリーズ】
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むくどり通信 雄飛篇
池澤 夏樹
1000円(本体価格)/1100円(税込価格)
江戸時代田舎から江戸に出てきたものを「むくどり」と呼んだ。そのむくどりならぬ著者は大いなる好奇心で日本と世界の各地を飛び回り時に思索を重ねて綴ったクロニクル。ikezawa・modeで発信する新世紀へのメッセージとは?
【むくどりシリーズ】
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むくどり最終便
池澤 夏樹
1600円(本体価格)/1760円(税込価格)
沖縄に巣ごもりして5年春風にふかれて壺屋でやちむん(焼物)をみたりなんと言っても夏には慶良間諸島へ。バリで公金横領について考えたりときには県知事候補の応援演説をした。『週刊朝日』好評連載「むくどり通信」完結編。
【むくどりシリーズ】
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むくどりとしゃっきん鳥
池澤 夏樹
1600円(本体価格)/1760円(税込価格)
沖縄でスモウを見たことある?ドリーム・キャッチャーって知ってる?「借金返しちくりー」と鳴く鳥の正体は?藤沢周平の魅力を一言でいうと?イズラエル・カマカウィウォオレって誰だ?『週刊朝日』好評連載むくどりシリーズ第5弾。
【むくどりシリーズ】