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  • また会う日まで

    また会う日まで   池澤 夏樹

    3600円(本体価格)/3960円(税込価格)

     海軍軍人、天文学者、クリスチャンとして、明治から戦後までを生きた秋吉利雄。この三つの資質はどのように混じり合い、競い合ったのか。著者の祖母の兄である大伯父を主人公にした伝記と日本の近代史を融合した超弩級の歴史小説。 『静かな大地』『ワカタケル』につづく史伝小説で、円熟した作家の新たな代表作が誕生した。朝日新聞大好評連載小説の書籍化。 〇 長編小説の冒頭は印象的な場面からはじまる。主人公の秋吉利雄は病におかされ、死を前にして自らの生涯を思い返す。息子と一緒に行った球場で驟雨に打たれながら、自分の生きてきた道筋はどのようなものだったのか、改めて考える。 天文学者として自分の手がつむぎだした計算結果が飛行機や軍艦を導き、人の上に爆弾や砲弾を降らせた。海軍の軍人であることは、クリスチャンとしての第六戒「汝、殺すなかれ」にあきらかにそむいたのだ。戦争に加担してきたことを悔いる。 * 長崎の熱心なクリスチャンの家庭で育った秋吉利雄は、難関の海軍兵学校に入学、優秀な成績で卒業した。その後、海軍大学校を経て東大で天文学を学び、海軍の水路部に入った。幼なじみのチヨと結婚したが、10年共に暮らしたチヨは長女の病気を世話するうちに感染して他界した。妻を失った利雄は職務に専念する。 1934年、日本統治下のローソップ島へ、国内外の研究者を率いて皆既日食観測に向かい、大きな成果をあげた。島を離れる時に交流をふかめた島民がうたってくれた賛美歌「また会う日まで」が思いおこされる。この日にこそ私は帰りたい。 アメリカへ留学経験もあるヨ子(ルビ・よね)と再婚し、養子にむかえた亡き妹の次男、チヨの遺した長女も交えて新たな生活がはじまった。1937年、天皇陛下が水路部に行幸されることになり、天文・潮汐を掌理する部門を率いる立場からご説明を申し上げた。水路部で日本近海の調査業務にかかわったが、1941年、山本五十六大将によばれ、真珠湾の精密な潮汐表を求められた。アメリカとの戦争がついに始まる。ミッドウェー海戦では、海軍兵学校の同期、加来止男(ルビ・かくとめお)が空母「飛龍」の艦長として戦死した。この年、養子にした甥の文彦が17歳で天に召された。ついに学徒出陣がはじまり、戦況は悪化したため、水路部は分散疎開がすすみ、東京郊外の立教高等女学校に水路部の井の頭分室を設置した。ここで生徒の協力を得て、天測暦が作られた。築地では信仰の仲間でもある聖路加の日野原重明医師とすれちがって、長い立ち話をした。1944年、甥の福永武彦が山下澄と結婚して、その後、夏樹が生まれた。 1945年3月10日の東京大空襲により、築地の水路部も被災したので、かねて準備していた岡山の笠岡に家族とともに疎開した。戦争が終わって、一家は東京に戻ったが、公職追放で次の職場はなく、軍人恩給も停止された。妻のヨ子はGHQの仕事を得て活躍するようになった。兵学校の同期のMとなじみの居酒屋で、あの戦争を振り返る。 そして娘の洋子が父の秋吉利雄の最期を記す。病床の父は聖歌の「主よ、みもとに」を歌って欲しいと言った。 父が亡くなったあと、洋子と4人の弟妹の歩みが記され、水路部の部下によるお墓まいり、そして作者からのことばで「また会う日まで」は終わりをむかえる。 〇目次から 終わりの思い 海軍兵学校へ 練習艦隊 第七戒 海から陸へ、星界へ 三つの光、一つの闇 チヨよ、チヨよ ローソップ島 ベターハーフ 潜水艦とスカーレット・オハラ 緒戦とその先 戦争の日常 立教高等女学校 笠岡へ 終戦/敗戦 希望と失意 主よ、みもとに コーダ  

  • 終わりと始まり 2.0

    終わりと始まり 2.0   池澤 夏樹

    950円(本体価格)/1045円(税込価格)

    ●文学と科学とジャーナリストの眼をもち移動する文化人は、被災地、沖縄、熊本、水俣、ベルリン、ギリシャへと足を運ぶ。苦境の人びとの話に耳を傾け続け、日本の危機、戦争のできる国への変貌を憂える。 「日本文学全集」の個人編集で評判の著者による、コロナ禍の今も読みごたえのある、朝日新聞好評連載の名コラム文庫化第2弾。解説・中島岳志。 かたや小説家として『古事記』の現代語訳にとりくみ、心は古代日本へとぶ。正倉院の御物、高千穂の夜神楽、伊勢神宮へ。映画では有名ラッパーの「アート・オブ・ラップ」の意外な面白さ、トルコの「雪の轍」とウクライナの「ザ・トライブ」から言葉と身振りに注目し、妥協のない検証の姿勢をみる。鶴見俊輔の融通無碍な思考法、ピカソの「フランコの夢と嘘」から政治の国をまとめる詐術、与那国島からの本ではウマとヒトとの仲……縦横無尽な知性がとらえる繰り返し読んでも発見のある59の名コラム。 ●「目次」より 憲法をどう論じようか  第一次世界大戦の教訓  災害体験という資産  弱者の傍らに身を置く  隣人と認め合う努力  死にかけの三権分立  東電の責任と倫理観  難民問題を考える  トランプ大統領と「事実」  ビッグデータとAI  それでも、愚直に選ぶ ●「あとがき」より  一か月を単位として現代史を追ってきた。  明るい話題は少なかった。なんと言ってもこの間の安倍政権というのがひどかった。日本という立憲民主国の品位をとことんまで落とした。更にアメリカには安倍を派手に、大袈裟に、「まさか嘘(うそ)でしょう」級のパロディーにまで拡大したトランプ大統領が登場した。冗談の域を超えた冗談で、しかしこれが現実。そういう五年間だった。それを嘆いても、レトリックを駆使して彼らを揶揄(やゆ)しても、選挙の結果が変わるわけではない。どこまで行ってもぼくたちには言葉しかない。(略)日本についてこうして行きつ戻りつの思考を重ねる。それがこの時代と歩調を合わせて生きるということなのだろう。大義名分を立てて、それに沿って思いを立てるだけなら楽なのだが。

  • 終わりと始まり 2.0

    終わりと始まり 2.0   池澤 夏樹

    1500円(本体価格)/1650円(税込価格)

    ●「日本文学全集」の個人編集で評判の著者による、朝日新聞好評連載中の名コラム書籍化第二弾。 文学と科学とジャーナリストの眼をもち移動する文化人は、被災地、沖縄、熊本、水俣、ベルリン、ギリシャへと足を運ぶ。苦境の人びとの話に耳を傾け続け、日本の危機、戦争のできる国への変貌を憂える。 かたや小説家として『古事記』の現代語訳にとりくみ、心は古代日本へとぶ。正倉院の御物、高千穂の夜神楽、伊勢神宮へ。映画では有名ラッパーの「アート・オブ・ラップ」の意外な面白さ、トルコの「雪の轍」とウクライナの「ザ・トライブ」から言葉と身振りに注目し、妥協のない検証の姿勢をみる。鶴見俊輔の融通無碍な思考法、ピカソの「フランコの夢と嘘」から政治の国をまとめる詐術、与那国島からの本ではウマとヒトとの仲・・・・・・縦横無尽な知性がとらえる繰り返し読んでも発見のある59の名コラム。 ●「目次」より 憲法をどう論じようか  第一次世界大戦の教訓  災害体験という資産  弱者の傍らに身を置く  隣人と認め合う努力  死にかけの三権分立  東電の責任と倫理観  難民問題を考える  トランプ大統領と「事実」  ビッグデータとAI  それでも、愚直に選ぶ ●「著者あとがき」より  一か月を単位として現代史を追ってきた。  明るい話題は少なかった。なんと言ってもこの間の安倍政権というのがひどかった。日本という立憲民主国の品位をとことんまで落とした。更にアメリカには安倍を派手に、大袈裟に、「まさか嘘(うそ)でしょう」級のパロディーにまで拡大したトランプ大統領が登場した。冗談の域を超えた冗談で、しかしこれが現実。そういう五年間だった。/ それを嘆いても、レトリックを駆使して彼らを揶(や)揄(ゆ)しても、選挙の結果が変わるわけではない。どこまで行ってもぼくたちには言葉しかない。(略)日本についてこうして行きつ戻りつの思考を重ねる。それがこの時代と歩調を合わせて生きるということなのだろう。大義名分を立てて、それに沿って思いを立てるだけなら楽なのだが。

  • 終わりと始まり

    終わりと始まり   池澤 夏樹

    700円(本体価格)/770円(税込価格)

    移動する文化人として、さまざまな土地を訪れ深い思索を積み重ねてきた作家がつづる、感動、怒り、戸惑い、落胆、祈り──。3.11の大震災と福島原発事故を経て、少数者の居場所、民主主義の多数決の欺瞞などを問う、明晰で情のある名コラム。

  • 終わりと始まり

    終わりと始まり   池澤 夏樹

    1400円(本体価格)/1540円(税込価格)

    常に動き続ける遊撃的な作家が、2008年から2013年まで朝日新聞本紙に毎月書いてきた名コラムの単行本化。土地の名や戦争の名はどのようにつけられるか。ミュージカル映画「キャバレー」の一場面で、その老人はなぜ歌わないのか。私たちはデジタル化によって、またテクノロジーの発展によって何を失ったのか。連載開始の3年後にやって来た3.11の震災と原発崩壊。はじめはみんな泣いた。作家は仙台に住む高齢の叔母夫婦のもとへかけつけ、被災地に幾度となく足を運び、考え続けた。天災は避けられないが人災は避けることができる。核エネルギーは原理的に人間の手におえるものではない。原発が生み出す放射性物質を永久に保管するのは不可能だ。東電の言動は、かつての水俣のチッソの言動と重なっていないか。戦後の日本は原発を経済繁栄の道具としてきたけれど、それは「間違いだらけの電力選び」だった。その一方、東北にはこれからの日本を照らす人々がいる。たとえば、悲惨な思いをしてきた人々が集まって一緒に何かをするための陸前高田の「みんなの家」造りに関わった現地の人。あるいは平日は勤めながら、週末は、無人家屋の泥出しや放置された納屋の整備、土木や電気工事など、肉体系のボランティアに当てる女性たち。使命感や義務感を言わず、高邁な理想や隣人愛などを理由にすることもなくさりげなく黙って働く人々。彼らもまた日本の「人的埋蔵資源」なのではないか。原子力、沖縄、水俣、イラク戦争の問題を長年問い続け、東北の被災地に立って深い思索を重ねた作家の、廉直な名コラム48本。

  • 静かな大地

    静かな大地   池澤 夏樹

    1000円(本体価格)/1100円(税込価格)

    短い繁栄の後で没落した先祖たちのことを小説にするのは、彼らの物語を聞いて育ったぼくの夢だった--明治初年、淡路島から北海道の静内に入植した宗形三郎と志郎。牧場を開いた宗形兄弟と、アイヌの人々の努力と敗退をえがく壮大な叙事詩。著者自身の先祖の物語であり、同時に日本の近代が捨てた価値観を複眼でみつめる、構想10年の歴史小説。第3回親鸞賞受賞作。〔解説・高橋源一郎〕

  • 静かな大地

    静かな大地   池澤 夏樹

    2300円(本体価格)/2530円(税込価格)

    朝日新聞連載小説の単行本化。明治初年、淡路島から北海道の静内に入植した宗形三郎と志郎。開拓にいそしむ宗形兄弟とアイヌの人々の繁栄と没落をえがく壮大な叙事詩。日本近代が捨てた価値観を複眼でみつめる、構想10年の歴史小説。

  • むくどり通信 雌伏篇

    むくどり通信 雌伏篇   池澤 夏樹

    1000円(本体価格)/1100円(税込価格)

    《むくどり》が飛んでいった先はハワイ・ネパール・北米大陸・欧州・エーゲ海・インド・バリ島などなど。あるいは沖縄のさまざまな事柄を定点観測。新世紀を見据えつつ世界各地の人々とリンクしたいわば池澤夏樹版のホームページ。 【むくどりシリーズ】  

  • むくどり通信 雄飛篇

    むくどり通信 雄飛篇   池澤 夏樹

    1000円(本体価格)/1100円(税込価格)

    江戸時代田舎から江戸に出てきたものを「むくどり」と呼んだ。そのむくどりならぬ著者は大いなる好奇心で日本と世界の各地を飛び回り時に思索を重ねて綴ったクロニクル。ikezawa・modeで発信する新世紀へのメッセージとは? 【むくどりシリーズ】  

  • むくどり最終便

    むくどり最終便   池澤 夏樹

    1600円(本体価格)/1760円(税込価格)

    沖縄に巣ごもりして5年春風にふかれて壺屋でやちむん(焼物)をみたりなんと言っても夏には慶良間諸島へ。バリで公金横領について考えたりときには県知事候補の応援演説をした。『週刊朝日』好評連載「むくどり通信」完結編。 【むくどりシリーズ】  

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