門田次郎取材写真ギャラリー

滋賀 高島・海津

 見渡す限り、四方に棚田がある。一定の規則性を持つ〝大階段〞は、自然と人の共存を歓迎するように美しかった。

 里穂の耳に、せせらぎの音が大きく響き始めた。

 流れる水が陽に当たってきらめき、目に入る光景が全て澄んで見えた。

 門が額縁の役割を果たし、長方形に切り取られた鮮烈な青の世界が向こう側に見えた。琵琶湖は藍色に近く、その湖面の色と気ままに浮かぶ雲の純白とを混ぜ合わせたようなライトブルーの空がまぶしかった。(「第五章――交点――」より)