阿部和重 プロフィール
 一九六八年山形県生まれ。九四年『アメリカの夜』(講談社刊、応募時のタイトルは「生ける屍の夜」)で第三十七回群像新人文学賞を受賞。同作は第百十一回芥川賞の候補にもなった。九五年「ABC戦争」を「群像」に発表。蓮實重彦による朝日新聞の文芸時評において高い評価を受ける。九七年「新潮」に発表した『インディヴィジュアル・プロジェクション』(新潮社刊)が上梓され、文芸ジャーナリズムの話題をさらう。著者の意図を離れて、「シブヤ系文学」「J文学」などの造語まで生む作品となった。同作をめぐっては東浩紀(「波」九七年五月号、東浩紀著『郵便的不安たち』所収)、高橋源一郎(「すばる」同年十月号)、渡部直己(「文藝」九七年夏季号、『現代文学の読み方・書かれ方』所収)らと対話。全く新しい書き手として、その名を決定的なものにする。
 九九年『無情の世界』(講談社刊、表題作の他に「トライアングルズ」「鏖(みなごろし)」を収録。二〇〇二年、新潮文庫『ABC戦争─plus2stories』に収録。二〇〇九年、講談社文庫『ABC〈阿部和重初期作品集〉』に収録)にて第二十一回野間文芸新人賞を受賞。同年十月より「アサヒグラフ」にて「シンセミア」の連載を開始。その連載中に『ニッポニアニッポン』(二〇〇一年、新潮社刊。二〇〇四年、新潮文庫。二〇一一年、講談社文庫『IP/NN』に収録。)が「新潮」二〇〇一年七月号に発表され、第百二十五回芥川賞候補となった。二〇〇四年、『シンセミア』(二〇〇三年、朝日新聞社刊。二〇〇六年、朝日文庫)により、第十五回伊藤整文学賞、第五十八回毎日出版文化賞を受賞。二〇〇五年、「群像」二〇〇四年十二月号に発表された『グランド・フィナーレ』(二〇〇五年、講談社刊。二〇〇七年、講談社文庫)により第百三十二回芥川賞、二〇一〇年、「群像」二〇〇七年一月号から二〇〇九年十一月号に連載された『ピストルズ』(二〇一〇年、講談社刊)により、第四十六回谷崎潤一郎賞受賞。
 著書に『公爵夫人邸の午後のパーティー』(一九九七年、講談社刊、表題作の他に「ヴェロニカ・ハートの幻影」を収録。二〇〇二年、新潮文庫『ABC戦争─plus2stories』に収録。二〇〇九年、講談社文庫『ABC〈阿部和重初期作品集〉』に収録)、『ミステリアスセッティング』(二〇〇六年、朝日新聞社刊、二〇一〇年、講談社文庫)、エッセイ集として『アブストラクトなゆーわく』(二〇〇〇年、マガジンハウス刊)がある。また、共著としては『ロスト・イン・アメリカ』(二〇〇〇年、デジタルハリウッド出版局刊、青山真治・黒沢清・塩田明彦・安井豊らとの共著)、『青山真治と阿部和重と中原昌也のシネコン!』(二〇〇四年、リトルモア刊、青山真治・中原昌也との共著)、『映画覚書 Vol.1』(二〇〇四年、文藝春秋刊)、『ケータイ・プチポエム』(二〇〇四年、集英社刊、加藤千恵との共著・コバルト編集部編)、『シネマの記憶喪失』(二〇〇七年、講談社刊、中原昌也との共著)、コミックとして『鏖みなごろし』(二〇〇七年、小学館刊、三宅乱丈との共著)がある。