門田次郎取材写真ギャラリー

横浜・港の見える丘公園

 店から出て近くのビルの前で止まった茂が、庇の下で両手のバッグを置いた。自らの腕を労るように交互に揉んだ後、「はぁ、はぁ」と呼吸を乱しながら、紙切れの文字を読み上げた。

 『港の見える丘公園』の展望台に、金を置いてすぐに去れ。警察がいないことを確認したら金を回収し、その後、孫を解放する。一人でも刑事がいれば、孫は……死ぬ」 (「序章――誘拐――」より)