
朝日新聞出版PR誌「一冊の本」2022年10月号に掲載された
著者・小川哲さんによるエッセイを特別に公開します。
僕のクイズ
作家・小川哲(Ogawa Satoshi)
人生において、僕たちはさまざまなクイズと出会う。面接官に「志望動機は?」と聞かれ、準備していた答えを口にする。食卓に置かれたカレーの「隠し味は何だと思う?」と質問され、もう一度じっくり味わってみる。自宅で、職場で、学校で、僕たちはよくクイズを出題される。
クイズプレイヤーたちは、クイズが好きで得意な人たちだ。彼らが得意としているのは「競技クイズ」という種目で、広義のクイズとは多少異なっている。「競技クイズ」で出題されるクイズには基本的に答えが存在していて、その答えが正しいことを何らかの手段で証明することができる。「競技クイズ」には早押しクイズや多答クイズなどの形式が存在し、勝ち抜けのために必要なポイントなどが定められている。「競技クイズ」とは、客観的な基準によってクイズに正解する能力を競う種目である。
僕が「競技クイズ」とはじめて出会ったのは高校2年生のときだ。もっともそのときは競技クイズという言葉も、概念も知らなかった。当時たまたま見ていたテレビで高校生クイズをやっていて、ちょうど決勝ラウンドの早押しクイズだった。
君のクイズ
発売日2025年4月25日(金)
クイズ番組の決勝で、僕の対戦相手は1文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たす。彼はなぜ正答できたのか? 推理作家協会賞受賞&本屋大賞6位、圧巻のエンターテインメント。文庫化に際し短編小説「僕のクイズ」を収録!
解説は田村正資氏。
店頭飾り付けコンテスト開催決定!
書店店頭用拡材はこちらから
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「君のクイズ」文庫化を記念して、
全国書店にて飾り付けコンクールを開催します。
飾り付け写真を順次掲載いたしますので、ぜひご覧ください。
※コンテストの結果はこちらのサイトで7月頃の発表を予定しています。
Coming soon…
著名人・書店員から絶賛の声多数!
クイズ番組を見るのが好きだ。クイズは知っている、知らない世界で、そしてそれは時とともに正解が更新されていく。クイズは客観的な外側の世界だと思っていた。この作品を読んでむしろ人生を含む内側の世界じゃないのかと思えた。クイズを見る目が180度変わった。驚くべきミステリーの謎の真実となるほどと、心から感心させられる解釈。こんなことが存在するなんて。やられた!面白すぎる。
ジュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん
『君のクイズ』、とても面白く読ませていただきました。
「音楽は記憶の栞」などと言うことがありますが、三島にとってはクイズがまさに記憶の栞。すべてのクイズ(の答え)が過去につながっている少しノスタルジックなパートと、不正か魔法か?本庄のゼロ文字解答の謎に迫るミステリアスなパートの二つの緩急がすさまじく、先へ先へとページをめくる手が止まりませんでした。
端的に言って傑作では??店頭に並べてお客様に手に取っていただくのが楽しみでなりません。
喜久屋書店豊岡店 中村美穂さん
何だ!?クイズの本?と思ってページをめくると、もうとまらない。
クイズにこんなエンターテイメントと謎があるとは…クイズって奥が深い…
ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん
クイズ番組の面白さ。勝負だからこそ、かけひきもあるんだろうな。
目の前で見ているかの様に楽しめました。
うさぎや作新学院前店 丸山由美子さん
「たかがクイズ」なんて二度と言いません。競技クイズがこんなにも論理的なものだったとは!(神業だと思っていました。) クイズというものが、こんなにも奥深いとは!私たちが見ているのに見えていないものをクイズプレイヤーはちゃんと見ているのですね。世界が広がりました。
とてもおもしろかったです!!ありがとうございます。
明屋書店MEGA大内店 延永ひとみさん
クイズって知識量で戦うものじゃないんですね、奥深い。
ずっと"クイズとは何か"を探し続ける様が哲学的でした。クイズをしない自分でも面白いんだから、プレイヤーはどう感じるのか知りたいです。
文信堂書店長岡店 實山美穂さん
ここ最近読んだ小説の中でもダントツの面白さでした!著者の競技クイズに対する理解の深さに驚きますが、何より魅力的な謎、クイズを通して一人の男の半生を辿る構成とその描写。どれもが素晴らしく本当に一気読みさせられました。読みながら、「これは面白い…面白いぞ…。」と呟きながら読みました、単行本が発売されたらこの本の面白さを声高に叫びたいと思います。
金高堂 野市店 小松航輝さん
クイズ番組に出ている人達は、超人だと思っていました。これを読むまでは。
解答者がボタンを押して答えるまでのあの間。今まで何となく見ていましたが、これを読んだあとはあの瞬間にもドラマを感じずにはいられない。
未来屋書店 碑文谷店 福原夏菜美さん
クイズの持つ緊張感と楽しさがヒシヒシと伝わってきてとても面白く読めた。自分自身もクイズ番組を見ていて、出題前に正解できたことが二度あるので他人事とは思えませんでした。
くまざわ書店 錦糸町店 阿久津武信さん
読んでいて、どこにたどり着くのか、全くわからなかった。
クイズ大会決勝でのあの答えは「やらせ」なのか。何なのか。
クイズを通して見る世界は奥深くて、ややこしくて、そしておもしろかった!!
東京旭屋書店 新越谷店 猪股宏美さん
クイズの解答を導く思考の道筋に人間が知覚する記憶の神秘に触れたように感じました。
世界は知っていることと知らないことでできているという真理に思わず唸ってしまいました。生きている間は選択の連続で、どこで間違ったのか、何が正しかったのか分からぬまま、無数に枝分かれする未来の一つしか選べない。神聖なクイズという競技をビジネス的に解析し、足蹴にして踏み台にした本庄絆は許せない!三島玲央のようなプレイヤーが活躍する舞台であり続けてほしい。
≪Q.ゼロ文字解答や魔法がヤラセでないのなら本庄絆は何をしたのか?≫
三島玲央の推察からの解答、とても面白かったです!!
ジュンク堂書店名古屋栄店 西田有里さん
ただ知識を競うだけじゃなく、様々なテクニックを駆使して戦っていたなんて、まるでスポーツのようだと思いました。クイズに救われた人たちの、人生をかけた一問一問クイズでこんなに興奮したのは初めてかもしれません。対戦相手が問題を一文字も聞かずに正解できたのはなぜか?この難問に挑んだ主人公が導き出す解答はお見事としか言いようがありませんでした。
ジュンク堂書店郡山店 郡司さん
問題文が読みだされる前に早押しボタンを押して解答し、しかも正解する。通常ならあり得ない状況が「ヤラセ」なのかを検証しながら、主人公のクイズ人生を振り返り、ライバル本庄とのクイズの真相に辿り着く。いや素晴らしい着想と作品だと思いました。
小川哲さんのことだからSF的展開(コンマ数秒先の未来が見える、みたいな)を見せるかと思いきや、実に正面からクイズの世界に対峙していく作品でした。
「ベタ問」「確定ポイント」など、クイズプレイヤーのテクニックもふんだんに織り込まれ、クイズの魅力と奥深さ、プレイヤーたちの凄さが分かります。
ミステリーというよりは「本格クイズ小説」の大傑作ですね。
短いですが読み応えもありました。小川哲さんの入門編としてもお薦めできると思います。
啓文社西条店 三島政幸さん
「なぜ彼は一文字も読まれていないクイズに正答できたのか?」こんなの、面白くないわけがない!もちろん私は知ってましたよ。面白くないわけがないと。だって小川哲だもの。だけど予想をはるかに上回って面白すぎて。今まで「正解!」のアナウンスを待つ間の◯大王のどや顔が若干ウザイと思っていたけど、あの瞬間に彼らの人生の証が刻まれているんだなと思ったら、クイズってめちゃくちゃエモい!!そしてどんな題材もこんな風に最高のエンタメに仕上げてくれる小川哲さんがやっぱり凄すぎる!!!すいませんいろいろ考えたんですが、結局これ尽きます。
一生ついていきます。(怖い)
TSUTAYAウイングタウン岡崎店 中嶋あかねさん
「君のクイズ」めちゃめちゃ面白かったです!!そしてクイズがとても良い…。
かみしめるように、一つ一つの問いに向き合えてしまいました。クイズの問題と人生、そして本庄の謎、この長さですごい読みごたえ!さすが小川哲さん、毎回脳内どうなってんだ…とうなります。
よむよむ坂戸入西店 阿部千鶴子さん
クイズは奥深い。クイズの世界はとても興味深い。知らなかった。こんなに面白いんだ。
序盤、読んでいたらいつの間にかクイズになっていたのがたまらなく好きです。斬新で趣深い小説。
福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん
なるほど!人生は、クイズそのもの。クイズも、人生そのもの。知識は過去の自身の集積で、そこにもう一人の自分がいる。そうか、そうか。軽いエンタメのようで実は深い。色々と考えてしまう作品でした。存在感あります。
蔦屋書店 熊谷店 加藤京子さん
これは青春だと思った。
好きなもののことを誠実にずっと考えていられる、幸せな時間が描かれている。
HMV&BooksOKINAWA 中目太郎さん
この人の頭の中はどうなっているんだろう、と思うことがままある。
自分の中でも思い出に紐づいて覚えていることや何かの出来事が起こった時にちょうどあんなことがあったとつられるように思い出すことがある。
まさかクイズの答えを探す数秒の中で、こんな思考回路になっているとは露ほどにも思っていなかった。
クイズの世界の内と外の違いはもちろんだが、読み終わった後で、私は主人公三島のことをまるで旧知の知り合いにでもなった気分でいるほどに近くに感じている。
そういう距離感を感じさせてくれる作品だ。
ブックマルシェ 我孫子店 渡邊森夫さん
「問題を読み上げるたった数秒間。ライバルとの間で繰り広げられる頭脳戦がアツい!クイズは頭脳と頭脳が激しくぶつかり合う、知的スポーツだったのか!」
以前から、司会者が問題の最初の言葉を読み上げただけで回答をする、クイズ研究サークルの大学生達の頭の中はどうなっているのだろうと思っていました。
先日伊沢拓司さんの『クイズ思考の解体』も読んだのですが、「回答を出す思考+問題を作る思考」その両輪がないと、クイズを解く力は備わらないものだと感じました。とてもじゃないが、同じ人間だとは思えないなと。しかし本書を読むと、なかなかに人間味がある。
たった数秒間で決着するクイズに対する三島の葛藤が、非常に面白い。
様々な分野に関する知識がバーッと広がってはその中から1つだけ選んで回答する。
クイズを回答するには、知識や読み解く力だけではなく、直感や運も味方にしていかなければいけないことがよくわかりました。
これは、新しいスポーツ小説ですね。大変に楽しませていただきました。
株式会社文教堂 青柳将人さん
「世界が変わり続ける以上、クイズも変わり続ける」
読みながら賢くなるようなクイズの魅力も存分に伝わります。
さらにはヤラセじゃないかという強烈な違和感から、いつしか自分語りが溶け出して切れ味鋭いラストに雪崩こむ・・・
(痛快なこのラスト、大正解だと思います!)
まったく飽きさせない展開に高揚感を抑えきれません!
テレビが演出する虚像のような番組の中から、自分と対戦相手の生き様、その真実を炙り出す・・・
エンタメど真ん中の設定にして極めて高度な文学性も感じました。
まさにこの著者にしか再現できない世界でしょう。
心底「これは凄いぞ」と思えた大満足の一冊です。
しっかりとたくさんの方に届けたいですね。
ブックジャーナリスト 内田剛さん
「クイズ」がこんなにもスリルとサスペンスに満ち満ちていたなんて、知りませんでしたよ、いやほんと。テレビでやっているクイズ番組、一緒に問題を解くのはもちろん、その問題を解いている人を見ているのも面白い。なんでこんな問題で間違えるかなー、なんて笑ったり、よくこんな問題を知っているよな、と感心したり。
でも一番面白いというか驚くのは問題の途中で回答者がすでに答えに達しているとき。なぜこの段階で分かったんだ、と。その、「なぜこの段階で分かった」の極致がここにあった。
賞金一千万円のクイズの決勝、「問題…」というアナウンスの時点で回答ボタンを押した本庄。なぜわかった…しかもその答えの異様さ。これは「やらせでしょう」と誰もが思う。
そこから始まる「謎解き」。「なぜ本庄は回答できたのか」。
この過程がもう興味深くて面白くて!
テレビの前で気軽に楽しんでいる「クイズ」。その奥の深さ、回答者たちが「正解」へたどり着くその思考。
あぁ、面白い面白い。面白い以外の言葉が思い浮かばない。
精文館書店 中島新町店 久田かおりさん