Q1 今回のお話の読みどころを教えてください。
殺人者(マーダラー)によって、SNSの、奇譚を語るルームに参加している人たちが、次々と消されていきます。次に消されるのは誰か、殺人者(マーダラー)の正体は誰なのか、ドキドキしながら読んでほしいです。
Q2 今回のお話の舞台をSNSにしたのはどうしてですか?
今回は、編集の人から「江戸川乱歩のようなお話を作ってほしい」と頼まれたのが始まりです。乱歩の作品の舞台として僕ら乱歩をよく読んでいた大人がイメージするのが、空き地や古びた洋館といった妖しい場所です。でも、それらは今の子どもたちにはなじみがありません。それで、乱歩がもし今の時代に生きていたらどこを舞台にお話を書くだろうか。そう思った時に、SNSを思いつきました。昼間遊んでいる空き地が、日が暮れるとどこかよそよそしくなって不気味に思える……。それと同じように、ふだん気軽に使っているSNSだけど、相手の顔が見えないために、背筋がゾクッとする経験があるかもしれない。かつて、乱歩の作品で僕が感じたような妖しげな怖さを感じてほしいと思って書きました。
Q SNSはよく利用していますか?
自分ではあまり使いませんね。ラインで家族と家族トークをするくらいです。ですから、今回のお話を書くにあたって、SNSやバーチャルリアリティについていろいろ調べて勉強しました。そして、「ルーム」という、自分なりのSNS空間を作り上げていったんです。
Q アイデアはどんなところから出てくるんですか?
アイデアを出すために、特別なことはしていません。お話のことを考えているうちに、ふと思い浮かんでくるんです。例えば今回は、今の時代「乱歩ならどう書くかなー。」と思いをめぐらすと、アイデアが出てきて、1つのアイデアが出てくると、それをきっかけに、どんどん広がっていくんです。
実は今回のお話では、みなさんをびっくりさせる仕掛けを用意していますが、これも最初は「何か驚く仕掛けをしよう」と思っていただけで、どんなものにするかは思いついていませんでした。でも、書き進めているうちに突然、「これだ!」と思い浮かんだんです。
Q3 読者のみなさんにメッセージをお願いします。
『奇譚ルーム』は、僕から読者のみなさんへの挑戦状です。このお話の真相にたどり着くには、かなりの読解力が必要だと思っています。もし、真相にたどり着くことができたら、国語の受験問題なんて楽々解けますよ。