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バリアフリー 2005年10月1日号
「横須賀市壮快システム」の開発を担当した横須賀市健康福祉部長寿社会課の本石篤志氏は、「現場の声を反映した使いやすいシステムを構築することで、行政サービスに対するバリアフリー意識が定着すれば、福祉の視点から行政改革が行えるはず」と語る。
端末の入出力は、市および市内30カ所にある在宅介護支援センターの職員を通じて行われる。相談の対応記録もデータベースに書き込めるようになっており、職員の手を介在するシステムにしたことによるメリットは大きいようだ。(写真提供:横須賀市)
文・写真 中和正彦
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誰もが使いやすいシステムが福祉・介護の行政改革を促す
ITが生活弱者を救う。
神奈川県横須賀市が構築した「横須賀市壮快システム」が、大きな効用をもたらしている。
横須賀市壮快システムは高齢者への福祉サービスを、より効率良く提供するためのシステム。
市内に在住する65歳以上の高齢者の情報をデータベース化し、市内に30カ所ある在宅介護支援センターに用意されたパソコンから光回線を通じて、必要な情報にアクセスできるようにしたものだ。
職員は、利用者から相談を受けた際に窓口で名前と生年月日を聞くだけで、担当の民生委員や緊急連絡先、受けている福祉サービスなどといった情報を一覧できる。
たとえば「寝具丸洗いサービス」「出張理容等サービス」「ふれあいお弁当サービス」「入浴利用券の交付」など、今後受けられるサービスもわかる仕組み。
「利用者が自分自身でタッチパネル入力するキオスク端末や、インターネットで自宅から使えるようにはせず、あえて職員を介する方式にすることで、高齢者の利便性を高めました」と語るのは、壮快システムの開発を担当した、健康福祉部長寿社会課の本石篤志氏である。
「最寄りのセンターを窓口にすることで、介護サービスの認知度を高められますし、直接話を聞くことでさまざまな情報が得られ、システムにフィードバックできるようにもしています」
将来的には救急車との
連動も予定
システムを利用してもらうには、職員にとって使いやすい仕組みにしなければならない。そのヒントを得るため、本石氏は課の職員と協力して、支援センターや現場関係者のヒアリングを1~2カ月かけて行い、要望を拾い上げていった。次に従来のワークフローを洗い出し、業務を視覚化することで、必要な機能を検討した。
「特にITアレルギーをなくしてもらうため、ユーザーインターフェースを含む使い勝手の良さを高めることに力を入れました。最終的には、あらかじめ用意された質問項目を、相談者の回答を聞いてクリックしていくだけで、相談者が利用できるサービスの可否を判定したり、申請用紙の作成までできるようにしました」
システムの構築には、約4年3カ月かかったが、苦労のかいあって、初めて使う人でもスムーズに利用できるシステムが出来上がった。
現場からの評価がいかに高いかをうかがわせるエピソードがある。職員向けの研修でのこと。本石氏がシステムの説明を終えたとたん、会場は拍手喝采につつまれたそうだ。7月20日から本格的に運用を開始しているが、相談者からも「身近なセンターで相談できるので安心感があり、サービスも受けやすくなった」と上々だ。
壮快システムは、自治体の高齢・介護・相談情報システムとしては、全国で初めてインターネット技術を採用したことでも注目されている。
「ネットワーク専用の回線を光ファイバーに変えただけで、年間で4分の1近く経費削減ができました。また将来的には、ほかの課で運用しているデータベースとの連動や、外部との情報連携がしやすくなるというメリットがあります」
緊急時には消防署や警察署と連携を図り、救急車で搬送する場合には、車内に搭載された情報端末から壮快システムにアクセスして、過去の病歴を確認できるようにするなどといった計画も進められている。
来年4月から国の先導で始まる介護予防システムとの連携も決まっており、子育てや教育など役所で行うあらゆる相談に対応する、総合的な相談窓口システムとしての発展を目指している。
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