ベーカー街221B。ここで名探偵ホームズとワトソンのため、長年料理の腕をふるってきた下宿の女主人・ハドソン夫人が、引退後、彼らの好きだった料理のレシピと、当時の思い出を語る。二人が好きだったビールのスープ、スコットランド・ヤードの警部たちに出したマコロン・ガトー、ホームズが旅に出るときのお弁当に必ず入れるチーズと玉ねぎのパイ、イギリスならではの臓物料理の数々。『シャーロック・ホームズ』のパスティーシュ小説のようでありながら、ヴィクトリア朝全盛期のロンドンの食文化・風俗の貴重な記録でもあるユニークな一冊。