古代以来<歴史がおだやかに流れつづけてきた>秋田県で、<"人間の蒸留酒"とおもわれるような>人々の生きた跡を訪ねた。まず戦友が住職を務める象潟の蚶満寺を訪ね、かつてこの地を訪れた文人たちや、景観を守るために立ちあがった19世紀の住職・覚林のことを考えた。秋田市では、漂泊の学者・菅江真澄の墓や、真澄が滞在した住居を訪れ、その生き方について考察、能代の「風の松原」では、防砂林を作るために尽くした佐竹藩士・栗田定之丞や能代の豪商を想う。そして大館、鹿角では、安藤昌益を発見した明治の特異な学者、狩野亨吉の生家跡や、彼によってアカデミズムの世界に進出した近代東洋史学の祖、内藤湖南の旧居などを訪ねた。