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國華清話会 第1回特別鑑賞会

会場の写真

会場の写真

 平成14年(2002)12月7日(土)、國華清話会発足会並びに第1回特別鑑賞会が畠山記念館を会場に開催された。発足会は約50名の会員諸氏を迎え、午前11時から記念館講堂にて執り行われた。会場となった講堂には、『國華』1227号誌上で山根有三氏によって紹介された狩野山楽筆「梅に山鳥図屏風」(個人蔵)と壇上には『國華』の創設者・岡倉天心(1863〜1913)から国学者・黒川真頼(1829〜1906)へ送られた『國華』への寄稿に関する書簡(個人蔵)が掲げられ、清話会発足に相応しい用意が整えられた。

 昼からは茶室の浄楽亭へ会場を移し、昼食を囲んでの親睦がはかられた。午後1時からは、明月軒、沙那庵へと会場を移し、特別鑑賞会が開かれた。明月軒の本席の床には尾形光琳(1658〜1716)筆「躑躅図」(重要文化財/國華142号掲載)、同「禊図」(國華155号掲載)が共に掛けられ、脇床には同じく光琳作「紅葵蒔絵硯箱」(國華1123号掲載)が置かれた。控間には竹に鳥をあしらった二曲一隻屏風が立てられ、さらに奥の座敷の床には伝夏珪筆「山水図」(重要文化財/國華385号掲載)、「碪青磁花入」が飾られた。翠庵では「清瀧権現図」(重要文化財/國華90号掲載)と、同図にちなんだ龍口をもつ香爐が取り合わされた。別棟の沙那庵には、尾形乾山(1663〜1743)筆「拾得図」が掛けられ、本席とは趣の異なる草庵風に侘びた風情が鑑賞者を迎えた。

 光琳作「紅葵蒔絵硯箱」は特別のはからいにより、明るい縁側での鑑賞をお許しいただいた。錫で表された立葵、貝の螺鈿で表された蕾、鉛による葉、それぞれの材質の違いが金の平蒔絵と相俟って自然光のもとで見事な調和を成し、鑑賞者一同の感嘆を呼び起こした。

 また鑑賞会会場では、お茶が振る舞われ、美術品鑑賞のあいまに心なごむひとときをご提供いただいた。

 当日はあいにくの小雨模様であったが、庭内の紅葉が雨に濡れて色鮮やかに映えるなか、記念すべき國華清話会発足会並びに第1回特別鑑賞会が、多くの方々の協力により滞りなく終了した。