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國華清話会 第6回特別鑑賞会

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 平成17年(2005)5月18日(水)、國華清話会の第6回鑑賞会が岡山県倉敷市の大原美術館および隣接する大原氏邸、有隣荘、新溪園を会場に開催された。会員約100名が集った新溪園では、大原美術館理事長・大原謙一郎氏により「大原家のひとびと」、同館長・高階秀爾氏により「大原美術館のコレクション」をテーマに特別講演が行われた。
 昼食会を挟み午後からは、清話会のために特別に公開された大原氏邸と有隣荘に会場を移し、特別鑑賞会が行われた。二百数十年前に建てられた大原氏邸では、座敷の床に岡田米山人(1744〜1820)筆「青緑山水図」が掛けられ、脇床に同じく米山人筆の「伊丹紀行書画巻」が展げられた。次の間に掛けられた木米(1767〜1833)筆「菊石図」、控の間に飾られた與謝蕪村(1716〜1783)筆「田家春景図」とともに、雨上がりに萌える新緑の庭を望みながらの文人画鑑賞となった。格子の間は、床に掛けられた浦上玉堂(1745〜1820)筆「山雨染衣図」(重文)に、河井寛次郎(1890〜1966)作「笹絵注子」、黒田辰秋(1904〜1982)作の円卓、棟方志功(1903〜1975)揮毫の扁額「河風」が合わされ、各室に置かれた黒田辰秋作の箪笥とともに、民藝派の作家たちを組み合わせた趣向が楽しまれた。
 大原謙一郎氏の祖父で大原美術館の創設者・孫三郎氏(1880〜1943)が夫人のために建てたという有隣荘では、1階の洋間に、現代作家の福田美蘭氏による「雪舟『山水図』」のほか、フスタート遺跡出土の陶器片や棟方志功筆「阿吽の柵」のうち「阿の柵」、重文の「流水文銅鐸」などが取り合わされるという異色の展示が行われた。上の間には、床に浦上玉堂筆「雲山静望図」が、次の間には、同じく玉堂による「野橋可立図」と「南山壽巻」が飾られ、玉堂独特のが鑑賞者を魅了した。2階の客間では、窓下に倉敷の町並みを望みながら木米筆「宇治朝暾図」(重文)、次の間では、伝韓滉(723〜787)筆「五牛図巻」が鑑賞された。
 浦上玉堂筆「賣茶翁図」が掛けられた新溪園のお茶席では、裏千家流・中村宗艶氏のお手前により抹茶が振る舞われた。小雨模様にいっそう鮮やかさを増した新緑のうちに、大原理事長をはじめ大原美術館の温かな協力のもと、第6回鑑賞会の幕を閉じた。