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國華清話会 第9回特別鑑賞会

鑑賞風景

第9回MOA美術館(平成18年11月8日)

 平成18年(2006)11月8日、9回目を迎えた國華清話会鑑賞会が、熱海市のMOA美術館を会場に開催された。

 午前11時に本館2階の能楽堂に100余名の会員が集まった。はじめにMOA美術館文化財団の志賀正雄常務理事が挨拶に立たれ、今回の清話会をMOA美術館で開催することができて心から光栄に思うと述べられ、また国宝や又兵衛を中心とした重要文化財の数々、そして美術館を取り巻く自然環境の美しさを存分に堪能していただきたいと話された。

 次に河野元昭國華主幹より、今回の清話会で名品の数々をじかに拝見できる機会を与えて下さったMOA美術館のご配慮に、深く感謝申し上げると御礼が述べられた。清話会事務局から大塚芳正國華社事務局長が、清話会4期目の収支報告、運営状況、5期目予算などが報告され、承認された。

 特別講演ではMOA美術館の内田篤呉学芸部長が「光琳屋敷の成り立ち」をテーマに、故吉岡庸治前館長の発案によって、昭和60年に美術館開館三周年を記念して復元された光琳屋敷について、間取りとその特色、成り立ちと復元経緯などを中心に画像を交えて解説された。

 続いて辻惟雄國華名誉主幹が「光琳筆紅白梅図屏風について」と題して講演した。近年提示された「紅白梅図屏風」の技法にまつわる新知見を中心に、能舞台の上に設えられた屏風のレプリカを指し示しながら、描かれたとされる金箔の筋目や、型紙を使用したとされる水流表現について、旧説と新説とを対比させて要点を解説した。

 昼食をはさんで、午後から特別鑑賞会が開かれた。本館3階の応接室には、「手鑑 翰墨城」(国宝)が大きく拡げられ、「樹下美人図」(重文)、「洋人奏楽図屏風」(重文)、尾形乾山作「色絵十二ヶ月歌絵皿」「銹絵染付梅花散文蓋物」、伝本阿弥光悦作「樵夫蒔絵硯箱」(重文)が飾られた。また「湯女図」(重文)、「機織図屏風」のほか、「山中常盤物語絵巻」「浄瑠璃姫物語絵巻」(ともに重文)、「堀江物語絵巻」といった伝岩佐又兵衛筆の絵巻類が大きく拡げられ、じかに鑑賞することのできる貴重な機会となった。

 美術館と同じ広大な敷地のなかに作られた茶苑では、庭園のなかに点在する茶室・樵亭と光琳屋敷の内部が特別に公開された。光琳屋敷では、座敷の床に尾形光琳筆「秋好中宮図」が掛けられ、茶室の床には俵屋宗達下絵・本阿弥光悦書「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」「備前砧形花生」、水屋には藤原定信筆「石山切」と「古銅柑子口花生 銘 宮城野」が飾られた。呈茶席となった樵亭では、樵人の襖絵のある茶室のなかでお茶が振舞われた。床には「宗峰妙超墨跡 秋風偈」「青磁浮牡丹文花生」「交趾鹿香合」が飾られ、「伊豫芦屋龍田川文平丸釜」「祥瑞蜜柑水指」、伝尾形光琳作「水葵蒔絵棗」、道入作「黒楽茶碗 銘 五湖」、尾形乾山作「銹絵山家文茶碗」などの茶器、茶道具類が実際に使用されながら鑑賞された。

 尾形光琳筆「紅白梅図屏風」(国宝)が本館展示室に清話会へ合わせて1日だけ特別展示されるなど、MOA美術館の全面的な協力のもと、秋晴れに恵まれた特別鑑賞会となった。