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國華清話会 第10回特別鑑賞会

鑑賞風景

第10回相国寺承天閣美術館(平成19年6月4日)

 平成19年(2007)6月4日、第10回國華清話会鑑賞会が京都・相國寺の承天閣美術館で行われた。

 午前11時に承天閣美術館2階講堂に会員約160名が集い、はじめに河野元昭國華主幹より、前日に閉展した「若冲展」の特別鑑賞会にご高配をいただいた、有馬?底管長と相國寺関係者に御礼が述べられた。

 続いて有馬管長の講話「若冲と相國寺」があり、廃仏毀釈の試練のなかで、若冲の動植綵絵30幅が宮中に献納された経緯や、今回の企画が実現するまでの裏話などを中心に話された。

 昼食をはさんで午後から鑑賞会となった。今回の鑑賞会の見所は、相國寺が所蔵する伊藤若冲筆「釈迦・文殊・普賢像」3幅対と、もともと相國寺の所蔵であったが、明治期に宮中に献納された若冲筆「動植綵絵」30幅が、120年の時を経て一堂に会する機会を鑑賞するというもの。「釈迦・文殊・普賢像」と「動植綵絵」、計33幅の展示に合わせて設計された承天閣美術館の展示室では、正面に釈迦・文殊・普賢の三幅、その左右に15幅ずつ動植綵絵が展示室を取り囲むように掛けられ、宮中献納以来の記念すべき若冲画再会の機会に立ち会った。華麗な色彩で精緻に描かれた仏画と動植物の諸相を描いた花鳥画、草虫画の数々が観る者を圧倒し、仏教の儀式である観音懺法のために若冲があらわした絵画世界を堪能した。

 相國寺大書院では円山応挙筆「牡丹孔雀図」「七難七福図絵巻」が並べられ、部屋の一角では便利堂のコロタイプ印刷で精密に再現された若冲筆「釈迦・文殊・普賢」3幅対が紹介された。

 小書院では柳孝氏のご接待による呈茶席がもうけられ、床に本阿弥光悦作「赤楽茶碗 銘加賀」、「芦屋七宝文尾垂真形釜」、「芦屋無地尾垂真形釜」が置かれた。また茶掛けに足利義満「墨蹟 行書 放下便是」、「砧青磁筍花入」に季節の花が生けられた座敷で贅沢な喫茶のひとときを味わった。