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國華清話会 第11回特別鑑賞会

 平成19年(2007)11月2日(金)、11回目を迎えた國華清話会特別鑑賞会が九州国立博物館ならびに太宰府天満宮を会場に開催された。

 太宰府天満宮崇敬者会館におよそ60名の会員が集まり、はじめに河野元昭國華主幹より太宰府天満宮ならびに九州国立博物館に対し清話会を催すことができた謝意が述べられ、ついで太宰府天満宮39代宮司西高辻信宏氏より歓迎の御挨拶を頂いた。

 続いて太宰府天満宮文化研究所味酒(みさけ)安則氏の講演が行われた。味酒家は菅原道真公と供に京都より大宰府に下って以来、現在まで1105年間にわたって道真公の墓守として、別当職の西高辻家と共にこの地に住まわれている。今でこそ、太宰府天満宮といえば「学問の神様」として全国に浸透しているが、この名称とキャッチフレーズは意外にも新しく昭和22年につくられたもので、もとは道真公を葬った廟(安楽寺)としておよそ900年間あり、明治維新後に神社となった経緯など、太宰府天満宮の歴史的変遷についていろいろなエピソードを交えながら興味深く話された。

 昼食をはさみ、午後からは宮司の西高辻家で特別見学会が行われた。同家は、江戸時代には天皇の御撫物(なでもの)(御使用品)の祈祷御用を勤めていた。また、幕末には五卿のうち三条実美がおよそ3年間滞在しており、西郷隆盛、坂本龍馬をはじめとする維新の志士たちがしばしば訪れては会談の場としていた。こうした長い歴史をもつ同家に伝わる文物を拝見した。

 その後、九州国立博物館ミュージアムホールに会場を移し、はじめに大塚芳正國華社事務局長より清話会5期目の収支報告、運営状況、6期目予算などが報告され、承認された。

 続いて講演があり、九州国立博物館の三輪嘉六館長が「博物館の新たな取り組み?九州国立博物館」というテーマで、これまでになかった博物館像を模索し実践に取り組んでいる様子を画像を交えながら説明された。

 その後、館内の写場(撮影スタジオ)に設営された特別鑑賞会に移った。「麻布山水図」、伝牧渓筆・簡翁居敬賛「布袋図」(重文)、狩野正信筆「周茂叔愛蓮図」(国宝)、伝曽我蕭白筆「群童遊戯図屏風」、工芸品の「花樹鳥獣蒔絵螺鈿洋櫃」、「山水花鳥螺鈿蓋付ナイフ入れ」と、『國華』にも掲載された名品の数々がならべられた。小松大秀学芸部長、畑靖紀学芸員による作品解説があり、有意義な鑑賞会となった。

 デジタル化の進む現代に、すぐれた美術品と直に向き合い鑑賞する楽しみを味わうという、清話会の趣旨が伝わる一日となった。