大学受験生の保護者を知る①「親と子のコミュニケーションについて」

イラスト:Gettyimages

​​​​​​​こんにちは。「大学ランキング」編集長の国府田です。私たちは日々、大学にまつわる情報を記事にしているのですが、最近感じるのは、「親の大学受験への関わり方が変わったな」ということです。親世代が大学受験をしていた20~30年前と、今では、保護者と受験生の親子関係や、保護者の大学受験への関わり方も大きく変化しているようです。

そこで今回から3回に分けて、「大学受験の保護者を知る」をテーマにしたブログをお届けします。わが子の進路についてどれくらい会話をしているのか? どれくらい意見を伝えているのか?

高校1~3年生の保護者を対象とした「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)のデータをもとに、マイナビ進学総合研究所研究員の青木湧作さんにお話を伺いました。

親は子どものことをどれくらい知っている?

そもそも親は子どもの進路に関する意向をどれくらい把握しているのでしょうか?
 
◯データ:子ども自身のキャリアについてどの程度話しているか

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
 
◯データ:子ども自身のキャリアについてどの程度知っているか

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
 
「子ども自身のキャリアについてどの程度話しているか」という質問については、「頻繁に話している」「たまに話している」の回答が約5 割程度。およそ半数が「話したことがある」と回答しています。
一方、「子ども自身のキャリアについてどの程度知っているか」という質問については、「よく知っている」「少し知っている」の回答が約4 割程度。
 
青木さん:『話している』のパーセンテージに比べて、『よく知っている』の数値は少ない。話はしているけれど、子どもも決められないし、親も確定情報は持っていないし……という状況が読み取れるかと思います。

親は子どもの進路選択にどれくらい“口出し”している?

◯データ:子どもの進路支援についてご家庭の状況

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
 
「子どもの進路については、子どもの意志を尊重するが、親は意見を言う」の回答が約6割以上となり最多回答となっています。また、全体の約8 割以上が子どもの進路に対して意見を言う、という結果も。
 
青木さん:「進路選びについては子どもに100%任せている」という回答は、高1、高2、高3と学年があがると増えていくので、受験が間近に迫ってくると子どもの意見を尊重するという傾向にあるのでしょう。ちなみに、高3については、2023年調査では13.8%だが、2021年調査では21.5%でした。
代わりに「子どもの進路については、子どもの意志を尊重するが、親は意見を言う」という回答が、2023年調査では67.3%だが、2021年調査では59.8%でした。
進路選びについては、親もそれなりに意見を言うという傾向にあるようです。よく言えば「一緒に考える」というご家庭が増えているのかもしれません。

子どもの進路選択のために、親はどれくらい行動する?

資料請求をする、大学に足を運ぶなど、子どもにかわって具体的な行動を起こす保護者も増えているようです。
 
◯データ:子どもの進路支援について「取り組んでいる」「取り組む予定であること」

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
 
2021年調査では「特に何も実施してない/する予定はない」の回答が25%前後だったのに対し、2023年調査で15%前後と約10ptダウン。何かしら進路支援のアクションをする回答割合が全体的に増加していることがデータからも読み取れます。
 
青木さん:高3生の保護者への「オープンキャンパスや入学体験に参加するか」という質問に対して、2021年調査の回答は20.3%だったのに対して、2023年調査では38.3%と、かなり増加しています。やはり親もなにかする、やってあげるという傾向にあるようです。ちなみに各学校が高校生宛てに送るDMについても「保護者(母親)と一緒にみる」という高校生の声をよく聞きます。「大学進学は費用の面で親の支援を受けるので親の意見も尊重したい」「自分ひとりで考えるよりも、親の意見が参考になる」というのが理由だと。
 

ここ数年でも、親の「子どもの受験」への関わり方は深くなっていることが分かりますね。
*次回は、「受験生の保護者の悩み」をテーマにした記事をお届けします!
 
【今回ご紹介したデータの詳細】
「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」
調査主体:株式会社マイナビ
調査回収期間:2023年5月19日~2023年5月21日
調査対象者:全国の高校 1~ 3 年生の保護者(回答時に 40 歳以上で、長子として高校生を養育する保護者)
有効回答者数:1,200名

【お話をお伺いした方】
【お話をお伺いした方】
マイナビ進学総合研究所 研究員  青木湧作さん 高校生の進路選択に関する調査全般に携わる。前職はトヨタ自動車株式会社。中南米地域の事業企画を担当。京都大学経済学部出身。2014年マイナビに入社。高校訪問を通じ進路サポート活動に従事。その後、上級学校向け募集管理システムを扱う部署や事業戦略、コンテンツ編集の部署を経ながら、2022年より現在の調査業務に従事。
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