大学受験生の保護者を知る②「受験生の保護者のお悩み」


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イラスト:Gettyimages

こんにちは。「大学ランキング」編集長の国府田です。
前回から引き続き「大学受験の保護者を知る」をテーマにしたブログ、第二弾をお届けします。今回はずばり「受験生の保護者のお悩み」について。

お金のこと、進路選択のこと……。受験生の保護者がどんなことで悩んでいるのか、また、その解決のために誰に相談したいと思っているのか。

高校1~3年生の保護者を対象とした「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)のデータをもとに、マイナビ進学総合研究所研究員の青木湧作さんにお話を伺いました。

■悩みのタネは“お金のこと”

◯データ:子どもの進路について困っていることや悩んでいること

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
進路選択や学校選びについて困っていることや悩んでいることはなにかという問いには、「特に困っていることはない」の回答 を除くと、「学費の工面」についての回答が多く得られています。

青木さん:一番高いのは学費の工面。二番目に高いのは「子どもの学習時間が足りない」。これは経年変化をみてもあまり変わっていません。いつの時代も親の悩みは、お金の問題とお子さんの成績のようです。「オープンキャンパスに参加できない」という悩みはコロナ禍だったときの2年前(13~18%)に比べれば減ってきています。

■保護者が相談したい相手は?

◯データ:進学検討時に話を聞いてみたい人

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
進学検討時に話を聞いてみたい人(学校関係者)は誰か?という質問について、2021年の調査では「教員 」が トップで「在校生」の回答割合が比較的低い傾向だったが 、2023年調査では「卒業生」がトップ項目 、次いで 「在校生」の回答割合が高くなっています。子どもとより近しい世代から話を聞きたいという傾向にあるようです。

青木さん:「大学の情報について、どういう人の話をききたいか」という質問に対しては、現役大学生の話を聞きたいと答えてくれた方が増えている傾向もあります。ある親御さんが言うには、「ネットで情報を調べても情報が溢れすぎていて何を信じたらいいかわからないから」といっていました。学部数や専攻数が増えて、名称もどんどん変わっていたり、制度も多様化し調べきれない。だからこそ、卒業生や在校生が、どうやって進路を選んでいるのか、リアルでわかりやすい生の声をききたいという気持ちの現れでしょうか。

ある程度の情報は高校の教員に聞かずとも、自分でネットで調べることができる現代。保護者の方々が求めているのは、「情報」よりもよりリアルな「体験談」なのかもしれません。

■学び、資格、就職率…。志望校選びで重視することは?

◯データ:子どもの志望校を検討する際の重視するポイント

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
子どもの志望校を検討する際に重視するポイントは?という問に対しては「学べる内容」「取れる資格」「学部・学科名」「就職率の高さ」が多く選ばれています。

青木さん:この回答結果については例年概ね変化は見られません。
着目したいのは、大学進学志望の高校生に「志望校の決め手」をきいたときの回答も同じく「学べる内容」がトップにきていること。「学部・学科名」は同じ高校生の回答でも2位です。
一方、「就職率の高さ」は保護者の回答では上位ですが、高校生の回答だとあまり重視されていません。
高校生はやはり「自分は何をしたいか」「将来どうなりたいか」というところから志望校絞っていく傾向にあるようです。そのため、学べる内容や取れる資格を重視するのでしょう。(※高校生への調査は「高校生の進路意識と進路選択に関するアンケート調査(2023年3月)」より)

それに比べると、保護者は自身の経験上、「就職率の高さ」も始めから重要視しているのかもしれませんね。
私たちが大学案内やWEBサイト等の制作のお手伝いをするときに、「就職率に関わる、大学のサポート」「学びの先にある卒業生の活躍ぶり」など、「大学の出口(卒業生の進路)をしっかり見せましょう」というご提案をよくしています。それはこういった調査でわかった高校生、保護者の要望が根底にあります。

■進路を決定するときの決め手は?

◯データ:子どもの進学先を最終的に決定する際の決め手

「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」(マイナビ調べ)
 
子どもの進学先を最終的に1校に決定する際の決め手はなにかという問いについては、「学びたい内容の授業があるか」「就職活動に有利か」「資格を取得できるか」の回答がいずれの学年においても多く選ばれています。

青木さん:これも高校生に同じ質問をしているのですが、赤い四角で囲っている3つの項目が保護者同様、上位でした。保護者と高校生の回答で違いがでたのは、「学校の雰囲気が子どもに合うか」という回答について。保護者が全体23.9%に対して、大学進学志望の高校生は13.5%。親の方こそ、雰囲気がわが子に合うかどうかを気にしているんですね。

重視するポイントが親と子では違うということはとても参考になりました。大学関連情報誌や、大学案内、広報誌、WEBサイト等の記事をつくるときは、誰に届けるのか(保護者なのか、高校生なのか、両方か)を意識していきたいと思います。
*次回は、「保護者を知る③ 受験の情報収集について」をテーマにした記事をお届けします!
 
【今回ご紹介したデータの詳細】
「2023年 高校生の進路に関する保護者調査」
調査主体:株式会社マイナビ
調査回収期間:2023年5月19日~2023年5月21日
調査対象者:全国の高校 1~ 3 年生の保護者(回答時に 40 歳以上で、長子として高校生を養育する保護者)
有効回答者数:1,200名

「高校生の進路意識と進路選択に関するアンケート調査(2023年3月)」
調査主体:株式会社マイナビ
調査回収期間:2023年3月27日~4月3日
調査対象者:2023年3月に卒業予定の高校3年生(マイナビ進学会員登録者)
有効回答者数:3,244人(Web調査)
(進路決定先・・・大学:2,287名/短期大学:98名/専門学校:441名/その他:418名)

【お話をお伺いした方】
【お話をお伺いした方】
マイナビ進学総合研究所 研究員  青木湧作さん 高校生の進路選択に関する調査全般に携わる。前職はトヨタ自動車株式会社。中南米地域の事業企画を担当。京都大学経済学部出身。2014年マイナビに入社。高校訪問を通じ進路サポート活動に従事。その後、上級学校向け募集管理システムを扱う部署や事業戦略、コンテンツ編集の部署を経ながら、2022年より現在の調査業務に従事。
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