2024年度大学入試状況分析③「私立大」志願者数最多の大学は?


写真はイメージ(Gettyimages)


こんにちは。「大学ランキング」編集長の国府田です。

前回から引き続き、「2024年度大学入試状況分析」をテーマにした記事をお届けします。第3弾は、私立大の入試状況分析です。

駿台予備学校が分析し発表している速報データをもとに、駿台予備学校の入試情報室部長 石原賢一さん(※肩書は取材当時)にお話を伺いました。(※データは2024年3月29日時点のもの)

■新課程移行への不安が影響?

◯データ:私立大志願者数推移


駿台予備学校「2024年度 私立大入試状況分析【全体概況】」より
 
駿台集計による私立大146大学の一般選抜で志願者数が確定した募集単位を合計した延べ志願者数は、約256万人でほぼ前年度並となっています。この数値から、最終的な全私立大の述べ志願者数は、前年度308.4万人と比べて約1%増加の312万人前後と予想されます。
 
その背景には以下の3点が考えられると石原さんは言います。
①成績上位層の積極的な難関大志向による併願校数増加
②都市部の難関国公立大志願者の、難関私立大への併願数増加
③コロナ禍の収束に伴い、地方から都市部の私立大への志願者数の回復

 
上記②は、2025年度入試の新課程移行への不安によるものが大きいと石原さんは分析します。

■文系の反動増が目立つ動向

◯データ:私立大一般選抜 系統別志願状況


駿台予備学校「2024年度 私立大入試状況分析【系統別志願状況】」より
 
「今の受験生の気持ちを表しているのは、私立大の系統別志願状況を見るとよい」と石原さんは言います。複数校受けられる私立大と違い、国公立大の系統別志願状況は、共通テストで志望校を再調整した後のものなので必ずしも本当に行きたかった学部とは限らないからです。
2024年度の系統別では、文系の外国語、社会が増えるなど、近年の一般選抜における「理高文低」の状況から一点して、文系の反動増が目立つ動向となっています。

■志願者数5万人以上の大学は16大学

◯データ:志願者数が多い大学


​​​​​​​駿台予備学校「2024年度 私立大入試状況分析【志願者数が多かった大学】」より
 
上記の表は、私立大146大学の一般選抜の志願者数集計において、大学全体の志願者数が3万人以上の大学を上位20大学までまとめたものです(福岡大を除く19大学は志願者数が確定)。
 
志願者数が最も多かったのは近畿大。2年連続やや減少し、3年ぶりに15万人を下回りましたが、11年連続全国最多となっています。
志願者数10万人以上の大学は近畿大、千葉工業大、明治大、法政大、東洋大の5大学。
2023年度から2年連続で志願者数が増加したのは、明治大、同志社大、立命館大、関西学院大の4大学となっています。

■2025年度以降の傾向は?

最後に石原さんに今後の大学入試動向についてお伺いすると、以下の3つのポイントをあげてくれました。
 
*コロナ禍の影響が緩和し、減少していた「地方から大都市部への移動」が戻ってくる
*顕著だった「理高文低」の傾向が緩和
*成績上位層は共通テスト利用、一般入試での難関大受験を目指す一方で、中下位層は共通テスト・一般入試を避けて、推薦・総合型選抜へとシフト。二極化が進展する

 
「戦わない受験生」が増え、浪人する人の数は減っていく一方だろうとも予測されます。
 
社会状況や教育内容の変化とともに、大学入試の状況もどんどん変化していることが、石原さんのお話でよくわかりました。ここまで3回にわたって2024年度大学入試状況分析をお届けしましたが、いかがでしたか? お読みくださったみなさんの参考になれば嬉しいです。
 
【今回ご紹介したデータの詳細】
駿台予備学校「2024年度 私立大入試状況分析

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