「大学ランキング」制作エピソード③[本誌独自]学長アンケートについて



「大学ランキング」では毎年、あらゆる大学の「学長の声」をご紹介しています。

特集企画にご登場いただくほか、独自の学長アンケートも行っています。今年も全国の国公私立大学780校の学長にアンケートを送付し、564校から回答をいただきました。

学長アンケートでは、すでに大学として決まっている方針、発表されている事実だけではなく、学長自身の意見、展望を率直に語っていただいています。我々が大学への理解を深めるにあたってとても貴重な資料であり、記事や企画の参考にもさせて頂いています。

今回のブログでは「大学ランキング」制作エピソード③として、学長アンケートの内容についてご紹介したいと思います。

学長アンケート特集「日本の大学が生き残るために何をしたらいいか。国はどうすべきか」

長年「大学ランキング」の編集にも携わっている教育ジャーナリストの小林哲夫さんは、「いま、学長の多くは危機感を抱いている」と言います。

「教育方針だけではなく、経営手腕も問われ、昔よりも学長のリーダーシップが求められています」(小林さん)
 
そこで「大学ランキング2025」では「日本の大学が生き残るために何をしたらいいか。国はどうすべきか」をテーマに学長の声を紹介する特集を組みました。その一部をご紹介します。
※「学長アンケート」は2023年7月、全国の国公私立大学780校の学長にアンケートを送付し、24年1月下旬までに回答のあった564校の学長の意見をまとめたもの。

――少子化、学生の多様化、グローバル化、オンライン授業、研究力の強化など、大学はどのような政策を打ち出すべきですか。国の大学政策に対するご意見もお願いします。

「教育、地域貢献、産学連携、国際貢献など、大学における活動の原動力は研究である。質の高い活動は高い研究力を基盤とすることによってこそ達成される。また、わが国の研究力の強さは、地方大学も含めた裾野の広さにある。地方大学の研究力を高めるための政策を強く願う。」(島根大学 服部泰直学長

「少子化は大学にとって極めて深刻な問題であり、多様な入学者層を視野に検討する必要がある。そのなかで、中期的な観点として、社会人入学を積極的に進める必要がある。このためには個別大学の努力は言うまでもないが、国の大きな政策の後押しが必要である。リカレント教育、リスキリング教育への支援だけではなく、現在の雇用構造にもより弾力的な形を実現するように政策を進めるべきである。」(熊本学園大学 細江守紀学長

「より多くの留学生が日本に来て学び、日本を第二の故郷と感じる政策が求められます。」(慶應義塾大学 伊藤公平塾長

~「大学ランキング2025」より一部抜粋~

都市部集中ではなく、地方大学にも届く大学施策が重要であるというご意見。また、少子化のこの時代、高校生のみならず社会人や海外の学生にも目を向けた方がよいというご意見が多く寄せられました。

■女子枠の設置について

アンケートでは、すでに大学として発表されている事実のみならず、これからの予定、展望についてなども聞いています。その一部をご紹介します。

「大学ランキング2025」大学入試の女子枠設置について(男女共学の大学に質問)

①実施を考えていない…345校
②すでに実施している…36校
③実施を検討している…53校
④わからない…31校
⑤数年後に実施する予定…12校

※編集部実施、学長アンケートから集計。質問は「昨今、大学入試において『女子枠』を設けるところが出てきました。『女子枠』設置についてどのように考えていらっしゃいますか。学部を問わず、以下の項目から一つ選んで○をつけてください」

~「大学ランキング2025」より一部抜粋~

上記アンケートで「②すでに実施している」と回答のあった36校はこちらでした。

愛知工科大、愛知工業大、嘉悦大、花園大、宮崎大、玉川大、金沢大(※令和6年度入学者選抜から実施)、熊本大、広島工業大、山梨大、芝浦工業大、湘南工科大、常磐会学園大、新潟工科大、神奈川大、神奈川工科大、太成学院大、大阪工業大、大同大、大分大(※令和6年度入試より実施)、中国学園大、島根大、東京工業大(※令和6年度から実施)、東京都市大、東京理科大、東北公益文科大、東北工業大、敦賀市立看護大、富山大、福井工業大、福島大、兵庫県立大、北見工業大、名古屋大、名古屋工業大、琉球大

■「学長からの評価ランキング」

「大学ランキング2025」では学長アンケートをもとにした「学長からの評価ランキング」も掲載しています。各学長の他大学の評価をしていただいたものをまとめた独自のランキングです。その一部も以下にご紹介します!

○「学長からの評価ランキング」
Q.総合的(教育+研究)に注目する大学はどこですか?



Q.注目する学長がいる大学はどこですか?



※2023年7月、全国の国公私立大学780校の学長にアンケートを送付し、24年1月下旬までに回答のあった564校の学長の意見をまとめた。アンケートでは「教育面での制度や成果」「研究面での制度や成果」「入試選抜(一般、総合型、学校推薦型)で工夫されている」大学について、それぞれ6大学まで名前を挙げてもらった。「総合」は「教育面」と「研究面」を足したものである。

~「大学ランキング2025」より一部抜粋~

「大学ランキング2025」では、さらに多くの学長の声をご紹介しています。ぜひお手にとってご一読ください!


(文/「大学ランキング」編集部 国府田直子)


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