市場無き後の築地は
築田に任せろ!
築田まり絵(2016年入社 新卒採用)
- 営業部門
- 販売・書籍
- 3年目
築田まり絵(2016年入社 新卒採用)
いつもならば打ち合わせや電話対応などで、がやがやしているはずの18時前のフロア。今村夏子さん「むらさきのスカートの女」が芥川賞候補、そして柚木麻子さん「マジカルグランマ」が直木賞候補に選ばれ、いよいよ受賞作が発表となる2019年7月17日の夜の社内は静まり返っていました。販売部や書籍編集部の社員たちが、受賞した時に店頭に並んでいる本の帯を巻き替えるための受賞帯を持って、書店で待機していたからです。販売担当の私はネットの生中継を見ながら、緊張していました。と、そのとき社長室から「おお!」という声が。もしかして!?と顔を上げた瞬間に、電話が鳴りました。「『むらさきのスカートの女』、受賞おめでとうございます!さっそくですが重版出来日のスケジュールはいかがですか?」という取次会社のご担当者からの電話を皮切りにそれからがてんやわんや。注文の電話が鳴り響き、メールもどんどん届き一瞬で時間が過ぎました。みなさまからの「おめでとうございます!」の言葉が本当にありがたくて、忘れられない一日になりました。
実はちょうど2年前も、今村夏子さんの『星の子』という作品が芥川賞候補になり、販売担当として結果を待っていました。そのときは残念ながら落選してしまい、本の売り上げや自分の力が結果に関わるわけはないとわかっていても後悔が続いていました。
今回はできることすべてをしようと決めた『むらさきのスカートの女』。発売前から今村さんのファンの書店員さんへゲラを送付したり、発売時により目立つように今村さん選書フェアとセットで新刊を案内したり。晴れて受賞後には、何度も版を重ね累計11万部を超えるヒット作品になり、充実感を得ました。
悔しさとうれしさが味わえたこれらの経験は本当に貴重だと思います。うまくいかないこともあり試行錯誤の毎日ですが、電車や街で担当している本を持っている人を見かけると、話しかけたくなるほどうれしくなります。同時に、もっと一人でも多くの人に読んでもらいたいという気持ちが強くなります。そんな販売の醍醐味に気づける機会を一緒に掴みましょう。お待ちしています。
(2019年12月執筆)
2016年7月より、営業本部販売部書籍課にて、文芸書の他、ベストセラー『科学漫画サバイバルシリーズ』、大ヒットの『頭に来てもアホとは戦うな!』などの児童書や一般書、新書を担当した。その後、書籍本部書籍編集部員として、『ゲッターズ飯田五星三心占い』シリーズを担当。現在は、主にビジネス書の編集を担当。
今年のヒットを祈ります。
電話対応や、重版会議に向け、担当書籍の実売予測を計算。
あ!年末年始で売上が伸びて、重版出来そうな商品があります!
毎週、前週の売上上位書籍の実売予測や、市場の消化率を書籍課全員で共有し、更なる売り伸ばしの方法などを話し合います。
いつもお弁当を持参しています。社員食堂で、築地市場跡とレインボーブリッジを眺めながら、ミカンを食べて独りごちてみたり。
どんな人をターゲットにどんな拡材を使うかなど、意見交換します。著者の方の本への思いも聞き、たくさんの方に手を取ってもらうために何ができるかヒントを得ることも。
完成した読者プレゼントを販売部Twitterで宣伝するために撮影。いろいろな方法で当社の書籍を知ってもらおうと試行錯誤しています。
水曜日はお得に映画を観に行っています。
業務部デスク井関英明
お仕事の醍醐味はなんですか?(築田)
業務部の仕事の醍醐味は「目に見えにくいファインプレー」ができるところです。(井関)
テレビで本が紹介されたり、賞を受賞したりすると全国から注文が殺到してパンク状態になることがあります。業務部には受注というセクションがありますが、そこの電話が一日中、鳴りっぱなしになります。少しでも早く、全国の書店やお客さまのところへ本を届けたい。そうなったとき、わが業務部の出番となります。
具体的には、放送日や受賞日の何日も前から印刷所さんや用紙代理店さんと連絡を取り合って準備します。反響があった場合には、すぐに動けるようにするのです。印刷機は確保できたか、紙は不足しないかなどチェックします。そうしておけば、慌てずに対応できます。ときには無駄になってしまうこともありますが、この小さな準備が、最終的には大きな差(ベストセラー)を生み出すこともあるのです。
当日は、緊張しながらみんなで結果を待ちます。それで重版の指示が出たら、すぐにホットラインでお取引先さまへ連絡、「印刷開始!」となるわけです。ここでグズグズやっていると、お客さまの買いたいという気持ちが消えてしまいます。また、事前に準備ができないときもありますが、そのときも大至急で手配します。こんなときに協力してくださるお取引先さまには本当にありがたく思います。ヒット作を飛ばした編集者が脚光を浴びがちですが、その陰には、このような準備があります。
たとえば、編集者が自分の企画した本に定価をつけるとします。するとどうしても高くなってしまう。しかし、本の内容やターゲットを考えると、たとえば1,200円よりも1,000円にした方が、より多くのお客さまに購入していただけるだろうと予想されることがあります。そうしたときも、わが業務部の出番です。
具体的には、編集者に対して、何をどれくらい節約したらいいかアドバイスします。たとえば112ページ、オールカラーの本だとしたら、どうしたらいいか? 内容をダイエットして96ページにすることはできないのか、オールカラーでなく、32ページだけモノクロにしたらどうかなど、本の魅力を失わせずに、より少ないコストで作るために、編集者といっしょに知恵を絞ります。価値ある一冊を作るためには、業務部の力が必要なのです。
撮影:写真部 小山幸佑