「種同一性障害」を自認し、「犬になりたい」と夢想する房江は、思いをよせる女性陶芸家・梓の飼い犬となるため、謎のバーテンダーと魂の契約を交わす。ところが、めでたく犬になったものの、飼い主の家族は決定的に崩壊していた。性的虐待を続ける兄、その兄ばかり偏愛する母親。オスの仔犬となった「フサ」は、梓を守ることができるのか? 『親指Pの修業時代』の著者による本格長編小説、待望の文庫化。解説は蓮實重彦。
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