武道家で医師の著者による、刺激に満ちた身体論! 身体知性が人の感情と判断を担っている。フーコーの『臨床医学の誕生』や肉眼解剖学をもとに、西洋医学の言葉による身体の分析的追求の特徴を読み解く。しかし現実の臨床現場では、分析だけでは太刀打ちできない短時間で合理的な判断が必要だ。このとき活躍するのが身体知性である。救命救急医のクロスケリーは医師の感情変化が誤診へとつながり、神経生理学者のダマシオは「ソマティック・マーカー仮説」を唱え人間の判断に影響を与える感情の形成と身体の関係の筋道をたどる。
また武道における東洋的な身体の見方と経験は、人間の判断において重要だ。天才チェスプレーヤーが出会った太極拳、精神疾患の新しい治療法「オープンダイアローグ」、北海道浦河町の「べてるの家」を、身体知性から分析するとどうなるのか。合気道家で思想家の内田樹氏との「武道と医学と身体を結ぶ」対談を収録。
●「目次」から
第1章 西洋医学が身体を取り扱うことば
第2章 肉眼解剖学に見る西洋医学の身体観の変化
第3章 「医師の身体」が西洋医学の分析の隙間を補完している
第4章 感情は身体によって作られている――ダマシオのソマティック・マーカー仮説
第5章 身体知性I 統合的な身体機能
第6章 身体知性II 身体を通して感情を整える
第7章 身体知性で読み解く「オープンダイアローグ」と「べてるの家」
対談 内田樹・佐藤友亮 武道と医学と身体をむすぶ