お金がなくても地域のつながりや、人情味あふれる商店街があって幸せ。「ALWAYS三丁目の夕日」のような世界が地方にはまだ残っている、というのは「東京の勝手な幻想=おしつけ地方論」にすぎない。格差・貧困・仕事などリアルな地方を見つめることで、日本の本当の姿、問題点が見えてくる。
I お金がなくても地方なら幸せなのか?──格差と貧困のリアル
第1章「お金ないけど幸せでしょ」とか言うな!
─―金持ちをうらやむのはどこも同じ
マイルドヤンキーは幸せか?
お金がなくても幸せな若者たち──『HIGH&LOW』の表象
お金はないけど上を目指す若者たち
──『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の表象
地域間格差から地域内格差へ
お金がなくて不満な若者たち──『悪人』の表象
第2章「貧乏は自己責任」とか言うな!
─―地方には抜けられないしがらみがある
『東京難民』への違和感
『そこのみにて光輝く』
貧困のもうひとつの側面
自分のこととして考える
第3章「上京=成功」の時代はもう終わった?
──豊かな子ども時代の思い出が団塊ジュニアの不安を加速する
豊かな子ども時代と団塊ジュニア
団塊ジュニアの転落人生とパラサイト・シングル
団塊ジュニア世代の不安
団塊ジュニア世代と権威主義的志向
II ノスタルジーで飯は食えるのか?──仕事と文化のリアル
第4章 地域の人と仲良くなっても仕事なんてもらえない!
―─グローバライゼーションにさらされる地方のための就労支援
「地域PR映画」と地方活性化
地域コミュニティから乖離した仕事
就労支援と仕事のリアル
第5章 「ノスタルジックな商店街」に気をつけろ!
─―ノスタルジーが覆い隠す過去のリアル
新しい商店街から古くさい商店街へ
古くさい商店街からノスタルジックな商店街へ
つくられた「昭和」とそれを知らない世代
コミュニティの中核としての商店街?
第6章 昭和ノスタルジーと1990年代
─―アジアブームと東京の変化
アジアブームと過去の日本への憧憬
ライトなバックパッカーブーム
「東京」の見方の変化
おしつけ地方論としての「昭和ノスタルジー」
第7章 「東京には売っていない○○」に震える……!
─―東京人よりイケてる俺たち
地方都市の中心街の個性的な店のナゾ
地方都市の若者文化の独自性
東京発のトレンドのコピーとしての地方の若者文化
ベルボトムの制服
ローカライズド文化としての地方の若者のファッション文化
ボウリングシャツの夏
ビジュアル系と地方都市
ローカライズド文化の仕掛人
私だけが注目している○○
海外文化の紹介者としてのバイヤー
ここまでのまとめ グローバライゼーションの時代のおしつけ地方論
表象の多様性と「リアリティ」
グローバライゼーションのもたらしたもの
絶望から出発する
III 「おしつけ地方論」の先へ──その限界と可能性
第8章 「見る」から「見られる」へ
─―おしつけ地方論を克服するもう一つの方法
子どもに見られることで「父親」になる
「観察する」ことの背後にある欲望
「東京の欲望」を顕在化させる
第9章 地方の問題から自分の問題へ
―─旅における「気づき」の可能性
マルクスとエンゲルスの予見
「非日常性」からくる「勘違い」
旅することの意義
第10章 郊外のロードサイドの風景はなぜ魅力的でないのか?
─―おしつけ地方論の正の側面
郊外のロードサイドの風景
『ブレードランナー』と表象の転換
わたせせいぞうとワシントン村
挫折する「夢の郊外」
おわりに 「新しい公共」の危機と可能性
90年代とアメリカ的価値観
「新しい公共」と団塊ジュニア
「古い公共」の復活
「新しい公共」をつないでいくために