『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ·ナムジュの新作長編小説!!
空と海も区別できない、恐ろしく黒い夜。
その夜のように茫漠としていた心。
互いの本心だけなく
自分の本心もはっきりわからなかった。
(本文より)
まるで自分のことが描かれているかのようだと、女性たちからの高い共感と支持を集めてきた著者が新作小説『ミカンの味』で主人公に選んだのは、4人の女子中学生。
中学校の映画サークルで出会ったソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは「いつも一緒にいる4人」として学内で知られている。中学3年生になる直前、済州島に行った彼女たちは衝動的に一つの約束を交わし、タイムカプセルに入れて埋める。未来が変わるかもしれないこの約束の裏には、さまざまな感情と計算による四者四様の理由が隠されていた。
本作は、この約束をめぐる4人の少女たちの話を交互に生い立ちや現在を語る形で展開。幼なじみとの関係が突然終わってしまった傷を抱えるソラン、教師からの期待が大きく学校一モテるのにいつも寂しいダユン、古くさい父親と突然の困窮にイラ立ちを募らせるへイン、理由がわからないまま仲間外れにされた経験を引きずるウンジ。
言葉にできない感情の狭間で揺れながらも何かを摑もうともがく少女たちの物語は、いつかの自分の姿に重なり、うずく心を優しく包み込んでくれる。まったく新しい「私たちの物語」の始まりだ。
■著書プロフィール
チョ・ナムジュ/1978年、韓国・ソウル生まれ。梨花女子大学社会学科卒。卒業後は放送作家として社会派の「PD手帳」「生放送・今日の朝」など時事・教養番組を10年間担当した。2011年、長編小説『耳をすませば』で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。16年に発表した『82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国で130万部を超える大ベストセラーになり、世界25カ国で翻訳されている
学生時代は時代も国も関係なく、悩んで苦しんで、それでも必死に前に進むしかない。
そんな彼女たちはいつかの私だったのではないかと、大人になって忘れていた感情があふれてきました。
―― 岩瀬書店 富久山店 吉田彩乃さん
懐かしい。小学校から中学校へ。新しい友だち、そしてたった3年でまた一歩踏み出す時期。
ささいな事でケンカしたり、すぐ仲直りしたり、笑って泣いて。たくさんの思い出。
青いミカンが色づく様に成長していく彼女たち。出逢いはいつもすぐそばにある。
―― うさぎや 作新学院前店 丸山由美子さん
中学生という繊細なあの頃の不安や、押し込めたままの気持ちが、小さな泡のようにぷつぷつ沸きあがる。ミカンの味のタイトルは物語の核心部分となり、エモーショナルに胸に広がる。
韓国の高校進学事情も垣間見られた。
―― うさぎや 矢板店 山田恵理子さん
「好き」に「嫌い」が混じり、「一緒にいたい」に「一人になりたい」が混じっていたあの頃が、ありありとよみがえる。私たちはみんな、きっとこんなふうに、真っ直ぐでひねくれていて、美しくて醜かった。
―― 梅田 蔦屋書店 河出真美さん
私が少女の頃に感じたさまざまな感情がとても鮮やかに蘇ってきて何度も泣きたくなりました。今、少女である人にも、かつて少女だった人にも、もちろん男の人にも読んでほしいです。
すべての人に共感や郷愁が訪れる普遍の物語でした。
―― 喜久屋書店 豊岡店 中村美穂さん
“青春”と簡単には言いきれない10代をみんなが必死に生きていたのだなぁと、自分の姿に重なりました。主人公たちと“同世代の人”、かつて学生だった“大人たち”にもぜひ読んでほしい一冊です。そばにより添ってくれる大切な本になると思います。
―― 紀伊國屋書店 鹿児島店 大山友里麻さん
「82年生まれ、キム・ジヨン」が衝撃的で、大好きでした。受験・恋愛・家族のこと、どれも思い通りにいかない。等身大に描かれた少女たちの繊細な時期の物語は胸にくるものがありました。今回の「ミカンの味」も私の大好きな一冊になりました!
―― 紀伊國屋書店 佐賀店 鳥居清香さん
誰もが一度は通る成長の過程を爽やかに瑞々しく描くチョ・ナムジュさんはやはりタダモノではない。自分を中心に世界が回っているような、そんな懐かしい思いに浸りました。完熟した甘いミカンと、これから色んな事を吸収して熟す4人の少女の対比が、とても美しいシーンとして胸に残っています。
―― 紀伊國屋書店 広島店 池田匡隆さん
4人の主人公が考え悩みながらも“選択”をして、成長していく姿にミカンのように柔らかくフレッシュな瑞々しい優しい気持ちを頂けました!どんどん成熟していく4人の進む道をいつまでも見続けてみたいです!
―― 紀伊國屋書店 福岡本店 宗岡敦子さん
中学から高校にかけて、少しずつ世の中のことがわかりかける反面、嫌な部分も見えてしまう年頃の感情のアンバランスさと、それを支え合う仲間たちの姿は誰にも思い当たることがあるはず。
―― くまざわ書店 錦糸町店 阿久津武信さん
少女だった頃の多感でヒリヒリするような気持ちが蘇りました。
家族のこと、友達のこと。自由なようで不自由で、どこか閉鎖的な感じのする学校という空間と時間。この物語は、きっと誰もが共感してしまう。友達に会いたくなりました。
―― くまざわ書店 八王子店 堀江靖美さん
この作品を読んだ日の夜、自分が中学・高校のときの友人たちといる懐かしくも寂しい夢を見ました。わたしもこの小説の主人公たちと同じようにさまざまな痛みや反発や孤独感を抱えた思春期を過ごしていました。そのときにはうまく言葉にしきれず、大人になってからはすっかり記憶の片隅に追いやっていた感情がどうやら炙りだされてしまったようです。けれどもそれがそう悪いものでないのは作者がさしだしてくれる優しいまなざしに、“ミカンの味”に、どこかわたしも救われたからでしょうか。
―― 広和書店 重光友夏さん
かつて彼女たちのようだったわたしに、あるいは彼女たちのようだったあの子に、あるいは彼女たちを見つめるがんじがらめの母親たちに、この物語を読んでほしい。
あなたを縛ろうとするものからは、どこまでも逃げていいのだ。 この物語を読み終えたいま、わたしはあなたの手をとって、そう力強く伝えたいと思った。
―― 三省堂書店 成城店 大塚真祐子さん
ちょっとダサい映画サークルに入った4人の少女たちの物語。でも、すごく不幸とか希望に溢れているとか変にデフォルメされていない。かっこよく滑らかに加工されてもいない。友達を好きになって一緒にいたい、でも一緒にいることが嫌になったり、4人の中で亀裂が入ったり、くっついたり、関係は予想になく形も状態も変わっていく。4人の気持ちがバラバラなのは当たり前、でも4人でいることに少しずつ居心地の良さが自然に出てきて、そして正直な小説なので未来にしてもどうなるかなんの保証もない。小説はエンドがあるけど、4人の人生がまだ続くんだなと、先を読みたい気持ちになりました。
―― ジュンク堂書店 三宮店 三瓶ひとみさん
4人とも知り合って一緒にいるようになってからも自分の過去や家庭事情でギクシャクしたりケンカしたりしていて凹凸だらけの関係に見える。けれども、全員で済州島へ行くためにプレゼンまでして親を説得しようと奮闘したり、同じ高校に行く約束をして、各々事情がある中、あらゆる手を考えて本当に実現させてしまったりと、4人が4人とも一緒にいようと努力して動いていく姿がとても一生懸命で眩しく感じました。
―― ジュンク堂書店 名古屋栄店 近藤梨乃さん
いつの世も価値観の違いは悩みの種。彼女たちの求める明日は、大人たちの計画の先には存在していない。けれども、彼女たちはそんなお仕着せに屈しない。その痛快さ! 自ら考え、行動する。そのひとつひとつが、美しい未来に繋がっているのだなあ、と強く感じました。青き少女たちのしなやかな強さに拍手喝采!
―― 蔦屋書店 熊谷店 加藤京子さん
高校進学に向けての4人の約束。そして裏切りなのかと疑うような事件。ミステリなのかなと思いながら、自分の中学時代を思い出しつつ読み進めた。思春期の揺らぎが友情や嫉妬、家族との関係。身に覚えがありすぎる。そして最後に明かされる真相に切ないようなホッとするような応援したくなるような気持ちになった。
―― 東京旭屋書店 新越谷店 猪俣宏美さん
中学3年生、誰かに決められた道を進むのが最善ではないらしいと気付き始める頃。少女たちの計画的“反抗”はミカンのように爽やかだ。
―― 東山堂 イオンモール前潟盛岡店 村上さん
終盤、ウンジの母親がヘインに語りかける言葉に共感。人生にはままならないことがたくさんある。その時支えになるのは、物語の中で描かれたようないくつもの忘れられない瞬間だ。
―― 東山堂 イオンモール盛岡南店 横矢さん
主人公である中学生の4人の少女達の多種多様な悩みや、取り巻く環境の描写はとてもリアル。「まるで自分のようだ」と年の近い中高生や、かつて少女だったオトナたちも共感するに違いない。それぞれが困難に立ち向かう姿に勇気付けられます。誰もがこのお話の主人公だったかもしれない「私たち少女」の物語!
―― 東山堂 川徳店 飯村さん
遠い記憶の中学生時代を思い出しノスタルジーを感じました。あの頃の自分だったらどんな感情をいだいていただろう……。読む年代で感じ方が違う1冊だと思いました。
―― 東山堂 北上店 高橋さん
辛かったことも悲しかったことも、全て心の栄養分にして成長すれば、きっと甘くすっぱいミカンの味のような思い出となる。
―― 東山堂 肴町本店 栗原さん
誰もが経験する思春期をただの通過点と考えず、悩んだり、大変だったり……そんな時間が作者の優しい視線で描かれています。
―― 東山堂 都南店 土村さん
普段読まないジャンルですが、いつの間にか引き込まれて、一気に読み終えました。住んでいる国も事情も異なるのに、彼女たちの苦悩には多くの部分で共感できました。彼女たちの不安や葛藤は、リアルで、そしてありふれたものであり、誰もが心当たりのあるものなのではないかと思いました。彼女たちの味わったミカンの味は、彼女たちにしかわからない味であり、同時に誰もが、その人だけの特別な味の記憶を持っているのではないかと思います。少しミステリの要素もあり面白かったので、ミステリ好きにもオススメしたい作品です。
―― 東山堂 三ツ割店 鷹屋敷さん
ミカンは甘いものも、酸味の強いものも、青臭ささえ味になる。糖度表示だけでは計れないその味を想像する。作中のミカン狩りの場面の一コマで、スーパーに並ぶミカンは青いうちに収穫され、自分で甘くなっていくものとすぐに食べられるまで木になっているものを比較する場面があるが、彼女たちはその間で揺れているように感じた。青いまま1日も早く出荷を待つことはないだろうが、木になったまま誰にも手に取られず、鳥に啄まれるのもきっと嫌だろう。家庭や学校など自分ではどうにもならない環境の中で、甘えと独立心の両翼を育みながら、飛ぶ瞬間を待つヒナを描いたような作品だ。甘さと酸っぱさと巣の温かさを感じながら羽音を響かせて旅立っていく。
―― ブックマルシェ 渡邉森夫さん
中学生から高校生の多感な時期。女子の間の仲良しの時間は、ちょっとしたことですぐにも崩れる、複雑であいまいなお年頃。自分の立場もうやむやにしてしまいたい、と思ってしまう重要案件が突然発生したりする。大人になるにつれて、重大な事件もそれぞれ違った形になり、その時々に思い悩んだりするが、この多感な時期は、少し特殊なのではないかなぁと思ったりする。言葉では言い表せない、漠然とモヤモヤした感情は、どのようにやり過ごせばよいのか。その術を分からないまま、モンモンと過ごすうちに、やがて季節は移ろいゆく。あんなに苦しくて辛かった感情は時が解決してくれる。今となっては懐かしい。酸っぱくて優しい、そう、ミカンの味なのだ!
―― 芳林堂書店 高田馬場店 江連聡美さん
女の子同士の友情って、そうそうこんな感じだったなあと思いだしながら読みました。 とつとつと流れていく日常、ささいなことが起こり続ける毎日。そしてそれぞれの人生がゆるやかに変化していく。いつか離ればなれになる女の子の友情。仲良しグループの優しい人生の一部分をシェアしてもらったような気持ちになりました。
―― 有隣堂 藤沢店 佐伯敦子さん