書籍
小説
カード師
中村 文則 著
ISBN:9784022517586
定価:1980円(税込)
発売日:2021年5月7日
四六判上製  464ページ 

占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!

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***書店員のみなさんからの感想***


ページを捲る手が止まらない。
読んでいて、全身の血がドクドクと脈打ち、手が震える。
この世界で本当に怖いものとは人間の欲望だろうか。思想だろうか。

私は思考を止めてはいないか。
偏った思想に囚われてはいないだろうか。
自分を省みずにはいられなかった。

命とは、人間とは…。
私たちの中に眠る本質のようなものを、まざまざと見せつけられる作品だった。

東京旭屋書店新越谷店 猪股宏美さん

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読んでいてどんどん世界が広がっていって、私が読んでいる
本の本当の成果はどこだ?という錯覚におちいった。
本を読んでいるのか、それともこれは現実のとある人たちの話なのか…。
何があろうと、生きてさえいれば何とかなるし、
救いは自分自身の中にある、と思った。

ジュンク堂書店西宮店 水口真佐美さん

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漆黒の闇の中、散らばった色とりどりのカードが浮かび上がる。
運命、悪意、欲望、後悔、そして希望。それぞれのカードは主張し、人を翻弄し、導いていく。
もしかしたら私たちは、心のどこかで人智を超えたそんな刹那を待ち望んでいるのかもしれません。黒色の中にある真実と、その先にある何かを、目にしたくて。

蔦屋書店熊谷店 加藤京子さん

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闇の中で生きていく中で
どうやって明るい方に近付いていくかという願望は、常に向かい風が吹き、高い山を足だけで登っていくようだ。
その対照に光の深淵から下を覗きたがる人も多くいるのだろう。
このままならない世の中をカードをめくることで開くことを信じて次の扉に進んでいくのだろう。
前に進めることが決まっていない毎日ではあるが、前に進みたいと望むことで足元を明るくすることができるのかもしれない。

ブックマルシェ 渡邉森夫さん

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圧倒的な世界観に頁をめくってすぐ引き込まれ、最後まで読んでしまいました。
中村先生が描く、足を一歩踏み込んだ先にある深淵のような世界の暗さが絶対に地震では体験も対峙もしたくないと思いつつ、もっともっと読みたいと、その世界をのぞむ気持ちを止められませんでした。極上のスリルと贅沢に味わった…そんな心地です。カードの世界、手品の世界、タロットの世界、どれもなじみはあるのですが、その世界の根底はどんなものなのか、読み進めるごとに薄ぺらい紙のように感じたり、どこまでも続く海のように思えたりで、自身の価値観をぐらぐらと、ゆらされ続けた物語でした。未来は分からない、けれど選ぶことはできるのだと、月並みかもしれませんが、読み終わったとき、そんな心強さも物語からもらったように思います。ありがとうございました。

ジュンク堂書店名古屋店 清田彩乃さん

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タロット占いに一喜一憂する人、ポーカーで全財産を失い人生を狂わされる人、1枚のカードに意味を見出そうとする人間の弱さ、そしてカードには人間が抗えない力があるのかもしれないと思ってしまいました。今の日本の現状が見えていたとしか思えない話の展開と、国や時代までも飛び越えてしまうスケールの大きさ、こんな作品も頭フル回転で集中して挑まないと振り落とされてしまいそうになりました。

ジュンク堂書店郡山店 郡司めぐみさん

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力を持たない占い師のそれゆえの闘い方に親近感を持ったのかもしれない。静かにでも確実に破滅に向かう
不穏な空気に筒れたテーブルに座らされ降りられない。
作者の手のうちを知りたくて怖いのに次へ次へとページを進めて。
なのに読み終えて心がこんなに澄んでいるなんて。
“涙ぐむ自分に困りながら”のフレーズに涙ぐんでしまうなんて。
おう、仕方のない痛みにあふれるこの世界を愛していこう。こんな風に。
決められた「運命」のカードはなく「出て欲しい」カードで。

MARUZEN&ジュンク新静岡店 工島明子さん

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正気を賭けて、勝っても負けてもリターンするのは狂気のような極限状況のポーカーゲームの描写にしばらく動悸が治まりませんでした。
佐藤にとっても主人公にとってもファムファタルだった英子の強さが印象的です。
主人公にとっての英子のちょっとした復讐心から、主人公が苦境に陥ったことを知ってもなお、脱力するだけで、彼女を求める姿に、彼はきっと隠居なんかできずに、また巻き込まれた体で狂気の世界へ自ら飛び込んでいくのではないかと思いました。

ジュンク堂書店旭川店 松村智子さん

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久々だこの仄暗い感じ。誰の顔も見えてこない不気味な感じ。ポーカーが行われているとき、ハラハラすると同時に高揚感を得てしまうのがなんだかいけない感情を抱いているような…。
占いも神様も信じるかどうかは自分次第。
いつも痛い所をつかれるけど、それが心地よく感じられるのが不思議です。

三省堂書店名古屋本店 田中佳歩さん

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不協和音が聴こえる。読み始めるとたまらなく不安にさせられた。この先いったいどうなってしまうのだろう。あまりに危険なのではないか。何かよくない事が起きるなら予め示唆してくれ……。これは人生、普段の生活でもそうではないだろうか。明日、いや1時間後に自分がどうなっているかなんて誰にも分からない。分からない事に不安を覚え恐怖する。心身共に安全で健康な自分がいてほしいから。だから人は「占い」を求める。未来を知ることで安心したいのだ。読み進めていくうちに不安は少しずつだが解消されていた。作品の雰囲気になれたのか?いや主人公が生き残るために対処していけていたからかもしれない。誰かの言葉に、行動に、希望を感じる。見出すことが出来る。絶望するにはあまりに何も知らなすぎるし、この世界には光が散りばめられている。
不安な世界に生きる道筋を照らしてくれる作品でした。

紀伊國屋書店仙台店 齋藤一弥さん

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重い、暗い、しんどい―
中村さんの作品を読むといつも思うことだがでもなぜだか読後は決して嫌な気分ではない。
むしろ爽快感すら感じることもある。

世界中が目に見えないものに脅かされ、“非日常”が“日常”となったコロナ禍の現在。
こんな時だからこその中村文則作品を読むべきなのかもしれない。

紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん

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忘れてはいけないあの事。あの場にいた人々は、突然降りかかってきた理不尽な暴力に抗うことができなかった。事件、災害、疫病…風化させてはいけないあの事。
中村文則さんが紡ぐ物語の力に圧倒されました。
理不尽さに屈しない主人公の姿に救われました。
物語を通して中村文則さんが世界に放つメッセージに心が震えます!!

MARUZEN名古屋本店 竹腰香里さん

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普段何気なく扱っているカードが人の行く末を様々な形で変えていく緊張感がひしひしと伝わってくる。
ただ一枚のカードのようであってもそのカードが持つ意味は、人間の歴史をも背負ているようでめくるカードの意味を次からはいろいろと考えてしまう気持ちにさせられた。

正文館書店本店 鶴田真さん

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終始、暗闇の中で綱渡りをさせられているかのような気持ちであった。
暗闇の中欲しいと思ったのは どう進んだらいいか教えてくれる声。
それは“今の”世界が置かれている状況そのものだ。
先行き不透明な今、多くの人が求めているのは「未来は明るい」という言葉。
「占い師」ではなく「カード師」。このタイトルに、その全てが込められていると思う。
まさに今、この時代のために書かれた作品だ。

蔦屋書店イオンモール幕張新都心 後藤美由紀さん

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不安があふれていて、先のことなど誰もわからない。
理不尽な世の中にさしこむ細くて、でも強い光のような物語だった。
中村文則さんの作品は、いつも「今」読むべきだと感じるが、本書はよりいっそう、そう感じた。

大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん

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「理不尽と書いて【ナカムラフミノリ】と読む」と声を大にして言いたい。
手品師とカード師と占い師。使い方によって誰かの人生まで大きく変えてしまう、その残酷な魅力。
今、この時の選択によって、自分は堕ちていく。そうわかっていても一歩踏み出してしまう、その悪魔のような魅力。
何かを得るためには何かを失わなければならない。数字を、めくる、というその一瞬で決まる運命。
ポーカー。私の知っている楽しいカードゲームはここにはカケラもない。あるのは「快」。そう、堕ちていくのも、堕ちていく人を見るのも、すべて「快」なのだ。
それにしても、ナカムラフミノリの容赦なさよ。とことんまで世界を不条理と理不尽で埋め尽くす。
魔女狩り、ユダヤ迫害、震災、コロナ禍。誰も占うことのできなかった未来は、過去になって誰かに「観察」されたから起こったことなのか。いやそんなはずはない。現に、世界はコロナが蔓延しているじゃないか。でも…もしかすると…全身が震える。ここにあるのは「物語」だ。理不尽が描いた物語だ。と頭は理解する、でも心がついていかない。
数字が、カードが、私の明日を裂く。

精文館書店中島新町店 久田かおりさん

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カードの裏面のように、裏返す勇気が無ければ選び取れない「未来」。
その未来さえ白か黒かは分からない。ましてや自分で選んだ様でいて、待ち構えていたものごとを愛しただけなのかも知れない。
この物語こそ、見えないカードをめくるかの様で、一ページ先に何が起こるのかずっとヒリヒリしっぱなしだった。
教団Xで打ちのめされ、カード師に希望を見出す。わたしたちは不確かなものに、きっと少しだけ背中を押されながら生きている。

ジュンク堂書店吉祥寺店 田村知世さん

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この本に、中村文則に感情を支配されたような気分です。
ある文で眉をひそめても、いや、たとえにやりと笑ったとしても、すべては作者の手の内の中。その感覚(支配される)は快楽でさえある。
囚われ、揺さぶられ、自然と現実とリンクしていき『絶望』だけが残ったかと思った時「絶望なんてできないんだよ」と悪魔がささやく。
人間は脆いようであんがいしぶといのかもしれない。

明屋書店MEGA大内店 延永ひとみさん

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道の見えない未来に向かって進み続けるしかない物語。
最初から最後まで暗い。それでも読むのが止まりませんでした。
コロナ禍の現代にリンクしてきた後半の展開に思わず鳥肌がたちました。
中村文則、すごいです……。

未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美さん

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人間達の予想のつかない行動と感情、積み重なった歴史が、無表情に覆い被さる。それを浴びた我々が迎える絶望と幸福とは、興奮か堕落いずれなのだろうか。そして、破滅から手を差し伸べられた時、身を委ねる甘美と新たな道を見つけようとする足掻きが、ただただ眩しい。偶然と必然に彩られた著者の世界から、自分の大きく見開いた目を逸らす事ができなかった。

大盛堂書店 山本亮さん

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小さい頃から慣れ親しんでいるカード。そこに書かれているマークや、数字に人は様々な、そして、たくさんの思いを馳せてきた、そこに映る“記号”によって自分の人生の運命が予測すら出来ないものになっていく。
この作品を読むことによって改めて、占いをきっかけに自分がその出た結果をどう捉えて、どう解釈し、どう生きて、どの方向に進んでいくのかをしっかりと決断することが大事だと考えました。
“R”では、初めて聞いたポーカーのやり方でしたが、場の緊張感がとても良く伝わってきて、ジリジリと皮膚が焼けていくようでした。

書泉ブックタワー 飯田和之さん

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狂気に満ちた社会で何を信じて生きればいいのか?
偶然あれば必然もある。運命はいったい誰が決めるのか?
人生は筋書きのないカードゲームなのかもしれない。
天使と悪魔に弄ばれてきた人間たちの壮大な歴史は、地層となってこの世を覆い尽くす闇を深めてきた。
自由と束縛の繰り返しの中でむき出しにされる聖と性。
どんな理不尽に支配されても注ぎこまれた光は消えない。
過去から未来を貫くこの物語は時代が待ち望んでいたもの。
読み終えて確信した。紛れもないこれが世界文学だ!

ブックジャーナリスト 内田剛さん

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