選書
歴史
ようこそ地獄、奇妙な地獄
星 瑞穂 著
ISBN:9784022631091
定価:1870円(税込)
発売日:2021年6月10日
四六判並製  320ページ  選書1022 

ドSな鬼、滑稽な閻魔王、図々しい亡者――
平安から明治まで、「地獄」を辿ると見えてくる、切なくも面白い日本人の性(さが)。
近年やってきた空前の“地獄”ブーム。しかし、私たちの祖先は、仏教とともに「地獄」の存在を知って以降、常に地獄を身近に感じながら生きてきた。ある時代の人々は死後の地獄堕ちを心底怖れ、時代が下ればパロディのネタにした人々もいた。地獄堕ちを免れるためのガイドブックや地獄行き体験のエピソードを記した紀行文、文字が読めずともひと目でわかる鮮やかな地獄絵――地獄の様子はさまざまな説話や絵図に写し取られ、残されてきた。
本書ではぜひ、これら古典文学や絵画をひもときながら“三途の川”までの道のりを同行し、“閻魔王”を紹介する地獄巡りにご案内したい。そこには日本人が辿ってきた時代の空気、世相、死生観がありありと映し出されている――。

【構成】
はじめに――ようこそ地獄
第一章 仏教が運んだ輪廻と地獄
第二章 極楽往生のガイド、『往生要集』
『往生要集』が説く六つの世界
八層の地獄
熱い地獄と冷たい地獄
第二章 地獄に堕ちるは因果応報
罪の報いのサンプル集
膳臣広国の場合
大和国の瞻保の場合
石川の沙弥の場合
田中真人広虫女の場合
罪の意識のバリエーション
藤原敏行の場合
藤原永手の場合
変容する罪の解釈――妄語の場合
紫式部堕地獄伝説
罪の意識のみなもと
源氏供養の時代
女たちの「罪」――邪淫の場合
第三章 地獄は何処に?
地獄に「堕ちる」というだけに
吉志火麻呂の場合
地獄の底へ直行、親不孝の罪
証言者が語る地獄へのアクセス
山上に生まれた地獄――立山地獄と温泉の話
山岳信仰と山中他界観
「あの世」と「この世」を分かつもの
「三途の川」をめぐる奇妙な話
第四章 地獄のお役所仕事
魔王は何者か
「中陰の旅のスケジュール
何より大切な「後世を弔う」
十王も地獄もヴィジュアルが大事
いざ、裁判
冥官たちは合議制?
あの世の使者は「お役所仕事」
小野篁冥官伝説
獄卒からは逃げられない
第五章 地獄なんか怖くない
獄卒たちのノルマ
衣女の場合
「お地蔵さん」と地獄
地獄の探検
「地獄」ネタコメディ
日本の武将オールキャスト
第六章 パロディ化した地獄
地獄を笑いとばせ
地獄だって世知辛い?
この世の地獄――災害…
応挙の『難福図巻』
病と地獄
暮らしの中で
ファッションとしての地獄…
地獄太夫が語るもの
さいごに――奇妙な地獄

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