緊急事態宣言後、巣ごもり生活が続き大量のごみが毎日排出されている。エッセンシャル・ワーカーと称されるごみ収集に従事する人々への関心は一時集まったものの、日ごとに薄れていき私たちは日常に戻りつつある。
だが、ごみ収集とはさまざまなイシューを背景に持ち、共存と共生の示唆を含む、社会を照らし出す鏡でもある。
本書は、ごみ収集という清掃事業の奥深さを伝えるとともに、清掃事業を体系的に理解するための手がかりを提示する。コロナ禍での東京都北区での清掃労働体験、新宿二丁目での参与観察などを通し、現場で活躍している人々を活写し、同時に清掃行政、清掃差別の実態に迫る。また、女性の活躍、住民と行政の協働による繁華街の美化、さらには産業廃棄物業界の概要とそこで推進されているDXまでにも視野を広げる。
「顔」のある人びとの場で共に歩き視線を同じにして追った、著者のフィールドワークの集大成。
<目次>
はじめに/第1章:大都市の清掃事業/第2章:清掃の現場/第3章:行政改革と今後の清掃事業/第4章:コロナと清掃行政/第5章:感謝の手紙と清掃差別/第6章:清掃現場と女性の活躍/第7章:住民参加と協働による繁華街の美化/第8章:事業系廃棄物と産業廃棄物業界のDX/おわりに