書籍
小説
介護者D
河﨑 秋子 著
ISBN:9784022518552
定価:1870円(税込)
発売日:2022年9月7日
四六判上製  288ページ 

私は介護者「D」ランクなのだろうか──東京で派遣社員として働く30歳の琴美。父親の体調のため札幌へ戻ることを決意したが、慣れない父子生活、同級生との差異に戸惑う。現代的な問題を軸に描く著者の新境地。

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「雪かきに来てくれないか」
父親からのこのメールで東京から札幌に戻った琴美。このメールの一言だけでも胸が苦しくなった。タイトルの『介護者D』この意味がわかってくるとさらに苦しくなる。
介護が必要となっても威厳を保とうとする父親、姉に介護を頼む妹、郷里で久しぶりに会った友人の言葉、とてもリアルに描かれていた。
介護やコロナ禍での閉塞感の風穴となり心の支えとなる推し活。
家族が介護が必要になったときの心境が私自身とも重なり読んでいてとても苦しかった。コロナ禍も重なり誰しもなにかに夢中になり閉塞感から抜け出そうとしたのではないだろうか。琴美の姿と自分を重ねる人も多いだろう。

介護、コロナ禍、自分の生活の手の届く範囲での出来事の今作もとても苦しかった。
私は苦しくとも読んでしまう河﨑さんの作品に、答えを求めようとも救ってもらおうとも思って読んではいない。ただ自分と重ね追体験し感じたままの苦しさを心に留めるようにしている。それがいつか自分が苦しいときに少しでも救われる何かのヒントになるのではないかとも思っている。
ここまで心を追い込んでくれる河﨑さんの作品をこれからも読んでいきたいと思う。

レビュアー NetGalleyより

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河﨑秋子さんの作品、初めて読ませていただきました。
今まさに渦中のコロナ禍、東京から父のいる故郷へ戻り、父と愛犬トトの介護に足を踏み入れる状況。そんな重苦しくなっていく中での推し活。
友達の心無い一言や遠く離れた妹との会話など身近に起こりえそうなことも多く、考えさせられました。

レビュアー NetGalleyより

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「介護」と「推し」二つの観点からの感想。「介護」は、本当に深い。なんでもそうかもしれないが、関わった人でなければ、わからない。本書は、まだ認知症でもなければ、一人で留守番も出来る父の介護を引き受けるところから始まるが、傍らで未来を見せられる様な飼い犬の現状も見る。読者である私も、これからの親の介護を想像させられ、自分がどの程度納得し、引き受けられるかを再確認させられた。片や、「推し」もこれまた他人にはわかってもらえない。自分を支えている大切なものを勝手に想像され、気をつかわれ、納得されるというもどかしさ。いずれも、そして本当に、なんでもそうなのかもしれないが、寄り添う事はできても、本人にしか分からない事がある。他人を理解しようと努力し、否定せず、自分の大切なものを温めながら、日々過ごしていきたい。そんな事を考えさせられた本でした。

レビュアー NetGalleyより

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タイトルである「介護者D」のDって何なんだろう?と思って読み始めたがDの意味を知った時にどうしようもないやるせなさに飲み込まれそうになった。
介護に関する描写もとてもリアルですごく考えさせられ読んでいて辛くなる場面もあったけれど推しとのエピソードに救われた。
私の周りの人もそうだけれど推しの存在は生きていく力になるんだととても眩しく羨ましく思った。

書店関係者 NetGalleyより

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なぜDなの?と思いつつ読み進むうちにDの意味がわかり、切なくなりました。
とにかくさまざまなこと
父の介護
父の愛犬の介護
妹との乖離
推しの行末
同級生との違い
切ないことが多すぎて読むのがつらくなりましたが、これはフィクションであるけど、
実際には似たような現実の人がたくさん存在するのではと想像すると
現代社会への警告や問題提議を突きつけられているように感じてなりません。
介護とはまだ縁がない人にこそ薦めたい作品でした。

図書館関係者 NetGalleyより

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親の介護、自分にはまだまだ先のことだと思っているけれど、いつ琴美と同じ状況になるか分からない。
日々の介護にうんざりする気持ちも、介護施設に任せる罪悪感も、分かる気がする。そんな中でも、アイドルの推し活という気晴らしがあることで、琴美は毎日を乗り切っている。周りからどう思われようが自分の大事なものをしっかり持っていられる強さが、琴美にはある。
いずれ迎えるであろう未来を、少し早く予習しているような、そんな気分で読み終えた。綺麗事だけではなく、シビアな現実が描かれているけれど、希望の見えるラストで良かった。

レビュアー NetGalleyより

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脳卒中の後遺症で左足に麻痺が残った父親のため北海道の実家に戻った琴美。母親は5年前に他界している。出来の良い妹は海外在住で、自分が面倒を見るしかないという状況に追い込まれた琴美の唯一の楽しみは「アルティメットパレット」というアイドルグループ。推しは“ゆな”だ。機会があれば東京のライブに足を運んでいたが、コロナ禍がすべてを変えてしまう……。
介護と“推し活”という、まったく合致しない組み合わせの妙に唸った。悪化こそすれ、良くなることは決してない介護という闇に、“推し”がもたらす光は本当に救いだと思う。

レビュアー NetGalleyより

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六月に刊行されたばかりの「鯨の岬」を読了した直後。
間違いなく北海道を代表する表現者だという思いをあたらにしたばかりだった。
「新境地」という言葉がしっくりくる。道東は根室の地に根差し、羊飼いとして生きた生活の中から生まれる文学が紡ぎ出される。安易な感傷を排したと感じられる厳しい筆致の背後には、生き物全てを圧倒する過酷な自然の中に生きる実感に根差す言葉がある。自然界の中で人間を特別視していない。

本作は、徹底的に人間の心の動きに焦点をあてている点で、河﨑秋子としては新鮮な感じがする。
時は平等に流れゆく。誰でも少しずつ歳をとる。自分の身の回りのことができなくなってきた時どうするか。その時誰かそばにいるのか。家族は寄り添えるのか。その時日常はどう変わるのか。誰の身にも起こりうること。
Dの意味がわかった時の切なさ。
家族それぞれの心のひだひだを描きながら、現実は進む。
でも。どこか全て危うくて、一歩間違えば悲劇だとも感じた。
足元のどこかにのぞく深淵。
それでもみんな生きてゆく。どうにかして生きてゆく。

レビュアー NetGalleyより

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30歳独身で東京で派遣社員として働く琴美。
父が脳卒中で倒れ、
その後遺症で生活に不自由が出たことから、
実家のある北海道へ帰ることに。

母は5年前に事故で他界、
妹は海外在住、
父と暮らせるのは自分しかいない中で、
父と2人での生活が始まる。

当事者ではない周囲からの言葉に苛立ちを覚えたり、
逃げ場のない状況への不安や恐怖、
そんな自分に対して感じてしまう蔑み、
決して良くなることのない父の現状、
琴美の生活に介護はどんどん侵入していく。

そんな琴美の心の拠り所になっていたのは、
女性アイドルグループの推しの存在。
たまに会いに東京へ行くことでリフレッシュしていたが、
コロナ禍となりそれもままならない状況になっていく。
それでも続いていく日々。
自分を守りながら、父と娘はどう向き合っていくのか。

推しへの思い、周囲への苛立ち、
父への感情、自身のもどかしさ、
琴美のすべてにリアルを感じた。
タイトルの意味がラストに向け重みを増す感じがした。

レビュアー NetGalleyより

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読んでいて辛かった。
だけどいつか自分もなりうるであろう介護する側、される側のリアルが描かれていて、
琴美に自分を重ねて読んだ。

30代独身、無職の琴美。
父親の介護と家事に追われる日々。
この先、何十年と続くであろう父親の介護。
どんなに頑張っても認めてもらえない理不尽さ。
先の見えない自分の未来への不安。
自分とは出来が違う優等生の妹。
そんな日々に苛立ち、いつも悪態をつく琴美。
唯一の心の拠り所がアイドルの推し活。
キラキラと輝くゆなを追いかけることで自分個人の時間を
大切にし、生きがいを求める。

今はまだ元気な両親でも他人事ではない現実に直面する時、
琴美のように私も何かに生きがいを求めるのだろう。

介護という重いテーマに、推し活というポップさで重すぎず前向きになれる作品でした。

レビュアー NetGalleyより

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浅学にして初めて読む作者だが、ものすごく引き込まれた。
東京でのどん詰まりの生活の中、30歳の派遣社員の女性は父親の介護のため田舎に帰る。生きがいは推しのB級アイドル。
田舎での毎日に希望はない。だが生きていかなければならない。
生きていれば人生は拓けていく。
ものすごく暖かな気持ちになれた一作。

メディア/ジャーナリスト NetGalleyより

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読んでいくうちに「介護者D」のタイトルの意味が重苦しくなる。なるほどDか。
子供時代に感じた妹に対する劣等感、父親や同世代の生き方や言動に読んでいる私まで傷つけられるよう。
大人になっても、ふとしたことがきっかけで沸き上がる感情にシンパシーを感じてしまった。
頭では介護の為に優先すべきことはわかっている。だけど!って叫びたくもなります。
いくつになっても親にとっては子供だし、違和感がありつつもそれを甘んじて受け入れる関係がどの家族でもあり得るのではないでしょうか。
推し活が重たくなりがちな物語のガス抜きをしてくれていて良かった。
推しはパワーの源ですもんね。
長期戦である介護は正解はないのかもしれません。
私自身が今まさに経験しているテーマだったのでネガティブな感情も否定せずにいようと思えました。

書店関係者 NetGalleyより

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推し活と介護の共通点。
他人事だと見逃してしまう
偶像化対象の人間性。
親身になれば成る程感情も昂り
一方的に贈与しているつもりで
いても気付かずとも
返報を享受しているもので
擦れ違う事が度々あっても
その中でしか後に回顧できない
一時を過ごす。
ここまでしかできない罪悪感
と折り合いをつけながら
対象と適切な距離を保ち
いつか来る別れも視野に入れ
伴走者と共に自分の足でなんとか
進んでいく道を探し求めていく。

レビュアー NetGalleyより

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「介護」とゆうあまりにも身近なテーマに惹かれて手にしました。
東京で一人暮らしの姉の唯一の楽しみはアイドルの推し活、しかし北海道の一人暮らしの父が介護が必要になり実家に戻ることに。一方妹は、結婚出産離婚して今は子供とアメリカ暮らし。重い負担が姉一人に。しかしも愛犬までもが認知症に。タイトルの「D」が姉に重くのしかかる。帰省した妹や孫に対する父の態度、再会した旧友との距離感、これから先の事を考える姉の思考の数々はまさにリアルそのもの。終盤に展開される推し活エピソードに救いと安堵され思わず涙してしまった。

レビュアー NetGalleyより