受賞した片山真理さん(左)と、横田大輔さん(撮影/朝日新聞出版写真部・小黒冴香)
受賞した片山真理さん(左)と、横田大輔さん(撮影/朝日新聞出版写真部・小黒冴香)

写真集『GIFT』(ユナイテッドヴァガボンズ)より〈bystander #023〉
写真集『GIFT』(ユナイテッドヴァガボンズ)より〈bystander #023〉

写真集『Sediment』(私家版)より
写真集『Sediment』(私家版)より

第45回(2019年度)「木村伊兵衛写真賞」(主催:朝日新聞社、朝日新聞出版/特別協賛:ニコンイメージングジャパン)の受賞者が、片山真理さんと横田大輔さんに決まりました。選考の詳細は3月19日発売の「アサヒカメラ2020年4月号」で紹介。特別別冊付録にて、おふたりの作品を掲載するほか、本人のインタビューや今回の選考過程についてもお伝えしています。

■第45回(2019年度)「木村伊兵衛写真賞」
[受賞者と対象作]

片山真理
写真集:『GIFT』ユナイテッドヴァガボンズ
展示:「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 企画展『May You Live in Interesting Times』」(2019年5月11日~11月24日)

横田大輔
写真集:『Sediment』(私家版)
展示:「The Second Stage at GG #50 横田大輔展『Room. Pt. 1』」ガーディアン・ガーデン(2019年5月14 日~6月22日)

<受賞者プロフィール>

片山真理(かたやま・まり)
1987年、埼玉県生まれ。群馬育ち。2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。先天性の四肢疾患により9歳の時に両足を切断。身体を模った手縫いのオブジェや立体作品、装飾を施した義足を使用しセルフポートレートを制作しつづけている。また、歌手、モデルとして、また執筆、講演など、多方面で活躍している。

横田大輔(よこた・だいすけ)
1983年、埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。2010年に第2回写真1_WALL グランプリ、13年にOUTSET|UNSEEN Exhibition Fund、16年にFoam Paul Huf Award受賞。『VERTIGO』『MATTER/BURN OUT』ほか数多くの写真集を発行。写真を物質としてとらえ、実体化させるなど、さまざまなアプローチで旺盛な創作を続けている。

選考にあたっては、写真関係者の方々から候補者を推薦していただき、選考委員会で決定しました。対象となったのは、2019年1月から12月に発表された写真集、および写真展などの写真活動全般。選考委員は、石内 都、鈴木理策、ホンマタカシの写真家3氏と、作家の平野啓一郎氏です。

ノミネート作家に選ばれたのは、池田宏さん/写真集『AINU』(リトルモアブックス)、片山真理さん、齋藤陽道さん/写真集『感動、』(赤々舎)・展示「齋藤陽道写真展『感動、』」(東京都人権プラザ)・「至近距離の宇宙 日本の新進作家vol.16」(東京都写真美術館)、田口和奈さん/写真集『エウリュディケー』(私家版)・展示「エウリュディケーの眼」(void+)、横田大輔さんの5名。

それぞれの作品がどのような意味を持つか、どう評価すべきかはもちろんのこと、現代の写真表現のありよう、そして向かう先も含め、丁寧な議論が重ねられた結果、片山さんは「不自由な肉体の中に精神という自由が在る。片山さんの作品はその二つのせめぎあいを彼女の美意識を持って表現している」(石内都さん選評より)こと、横田さんは、「写真の可能性を追求する彼の実験の成果として充実した内容だった」(同)ことなどが評価され、受賞が決定しました。

※第45回(2019年度)木村伊兵衛写真賞選考の詳細や、受賞者のインタビューは、3月19日に発売された「アサヒカメラ」2020年4月号の特別付録に掲載しています。

■「木村伊兵衛写真賞」とは
日本の写真文化の発展に尽くした故・木村伊兵衛氏の業績を記念して1975年に創設されました。各年1月から12月までに、国内外を問わず写真の制作・発表活動において優れた成果を挙げた新人の写真家を対象とし、第44回までに55人の受賞者を世に送り出してきました。

■授賞式と受賞作品展
第45回の授賞式は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて見送ることといたしました。受賞者には賞状、賞牌、および賞金を贈ります。受賞作品展は、4月21日~5月2日に東京・新宿のニコンプラザ新宿 THE GALLERYで、5月14日~5月20日に大阪・梅田のニコンプラザ大阪 THE GALLERYで、開催する予定です。